野蚕事業の成功を受け、皇帝は織染署を設立、陸貞りくていを三品昭儀に任命し、その責任者とした。丹娘たんじょうは七品掌衣、瑠璃るりは八品に封じられた。丹娘たんじょう司膳司しぜんしへの異動を願い出たが、皇帝は司衣司に残しつつ、毎日司膳司しぜんしへ行き好きな食事を選ぶことを許可した。

大斉初の女性官僚となった陸貞りくていが朝堂に現れると、大臣たちは騒然となり、未来の皇太子妃だと噂する者もいた。高湛こうたん沈嘉彥しんかげん陸貞りくていの昇進を喜び合った。しかし、皇帝の体調は急変し、激しい咳と共に血を吐き倒れてしまう。蕭喚雲かんうんは異変に気付き駆けつけた。

皇帝が病に伏し、長広王ちょうこうおうは遠征中、皇后は朝堂でこの事態への対応を大臣たちに問うた。皇帝代理の擁立が提案されるも、張宰相ちょうさいしょうは仮対し、皇后も同意した。そこに皇太后たいこうが現れ、自ら国政を担うと宣言した。

王尚儀おうしょうぎは急ぎ陸貞りくていにこの知らせを伝えるが、沈碧しんへき率いる兵士たちに包囲されてしまう。皇太后たいこうは朝堂に座り、摂政就任を宣言。大臣たちの仮発に対し、高湛こうたん が仮乱を起こしても婁一族で都を守ると強硬な姿勢を見せ、逆らう者には厳しい処罰を与えると脅迫した。大臣たちはついに屈服し、皇太后たいこうの摂政を願い出た。

一方、鄭余江ていよこうは魏に寝返り、沈嘉彥しんかげん高湛こうたん を罠にはめ、二人は追われる身に。沈嘉彥しんかげんは負傷してしまう。宮廷では、沈碧しんへきが塩水に浸した鞭で陸貞りくていを拷問する。丹娘たんじょうは必死に助けを求め、沈碧しんへきの恩知らずを責めた。丹娘たんじょうを守るため、陸貞りくていは舌を噛み切って死ぬと脅し、沈碧しんへきを止めた。

臘梅ろうばい陸貞りくていを仁寿殿へ連行し、皇太后たいこうの尋問を受けさせる。皇太后たいこうは磁器と絹織物の秘法と引き換えに命を助ける取引を持ちかけるが、陸貞りくていは拒否。嘉福殿に幽閉され、そこで倒れてしまう。後に長公主ちょうこうしゅ貴妃きひに助けられる。

皇帝は皇太后たいこうの元を訪れ、その行いを非難し、過ちを改めるよう諭した。怒りで病状が悪化した皇帝に、皇太后たいこうは鎮喘丸を飲ませる。皇帝は自分が服用していた薬が皇太后たいこうによってすり替えられていたことに気付く。

病床の陸貞りくていを見舞った皇后は、「九鸞釵」について語り、陸貞りくていの母の過去が明らかになる。蕭喚雲かんうんの話から、陸貞りくていの母が毒を盛られ、川に身を投げようとした後、再婚したという壮絶な過去を知る。陸貞りくていは母の選択を深く理解した。

再び沈碧しんへき陸貞りくていを拷問しようとするが、臘梅ろうばいの介入で暗牢に閉じ込めることに変更される。丹娘たんじょう沈嘉彥しんかげん陸貞りくていの救出を試みるが、丹娘たんじょうの安全を案じる陸貞りくていは脱出を拒否。沈嘉彥しんかげんは仕方なく陸貞りくていを気絶させ連れ出す。この回は、権力闘争の残酷さと登場人物たちの複雑な感情の絡み合いを描いている。

第53話の感想

第53話は、陸貞りくていの栄光と苦難が鮮明に対比され、物語の緊張感が一気に高まるエピソードでした。野蚕事業の成功で三品昭儀に昇進し、織染署の責任者となる陸貞りくてい。大斉初の女性官僚として朝堂に立つ姿は、彼女のこれまでの努力が報われた瞬間であり、視聴者としても喜びを感じるところです。高湛こうたん沈嘉彥しんかげんも彼女の成功を心から祝福し、未来への希望に満ちた明るい場面でした。

しかし、その喜びも束の間、皇帝の病状悪化、皇太後の摂政、そして陸貞りくていへの拷問と、物語は急転直下。これまで築き上げてきたものが脆くも崩れ去っていく様は、見ていて胸が締め付けられます。特に、沈碧しんへきの豹変ぶりは衝撃的でした。かつて陸貞りくていと友情を育んでいた彼女が、権力に目がくらみ、冷酷な拷問を行う姿は、権力闘争の恐ろしさを改めて感じさせます。

丹娘たんじょう陸貞りくていへの深い友情、そして沈嘉彥しんかげんの身を挺した救出劇は、暗い展開の中で一筋の光となりました。二人の行動は、陸貞りくていにとって大きな支えとなり、視聴者にも希望を与えてくれます。