あらすじ

第十六話は、薛芳菲せつほうひが葉家の古香緞問題における騒ぎを巧みに収拾する様子を描いています。彼女は、姜雲柏きょううんぱくの名声を利用して佟府尹とうふいんを牽製し、問題のある古香緞を高額で買い戻すことで、一時的に騒動を鎮めました。蕭蘅しょうこうは一部始終を眺めながら李瑾り きんを揶揄し、計画の失敗に憤慨した李瑾り きんは立ち去ります。

その後、織染署の唐帆とうはん李玉りぎょくが渌陽に到著し、調査を開始します。古香緞に毒性物質の陀羅が含まれていることが判明し、葉家が何者かに陥れられた可能性が浮上します。薛芳菲せつほうひ葉明煜ようめいいくと協力し、黒市の金水陣に潜入して陀羅の出所を探ります。この過程で、蕭蘅しょうこうの助けを得る場面も見られます。最終的に、頼彪らいひょうを説得することに成功し、背後に潜む陰謀の糸口を掴みます。

ネタバレ

薛芳菲せつほうひは、葉家の騒動を鎮めようと群衆の前で身分を明かしたものの、李瑾り きんに嘲笑される。群衆は官商癒著を疑い、薛芳菲せつほうひの言葉を信じようとしない。しかし、彼女はひるまず、証拠もなく葉家を捕らえた朱県尉しゅけんいを問い詰め、佟府尹とうふいんの不正を暗に示唆した。

群衆が佟府尹とうふいんに疑念を抱き始める中、薛芳菲せつほうひ姜雲柏きょううんぱくに書状を送り、織染署による古香緞の調査を依頼すると言い出した。きょ家の権勢を恐れる朱県尉しゅけんいは、部下を引き連れ、すごすごと退散した。さらに薛芳菲せつほうひは、問題の古香緞を高額で買い戻すことを提案し、群衆の怒りを鎮めた。

この一部始終を目撃した蕭蘅しょうこうは、薛芳菲せつほうひの機転と行動力に感嘆し、李瑾り きんをからかう。一方、李瑾り きん薛芳菲せつほうひの力量に驚きと怒りを覚え、姜雲柏きょううんぱくの仮応を気に病む。蕭蘅しょうこうは、李家りけが騒動の黒幕だと姜雲柏きょううんぱくが知れば、薛芳菲せつほうひを支持するだろうと予測する。

薛芳菲せつほうひに言い負かされた李瑾り きんは怒って立ち去る。蕭蘅しょうこうは、薛芳菲せつほうひきょ家と李家りけの対立を深めようとしているのではないかと考え、文紀ぶんきを通して彼女を茶に誘い、真意を探ろうとする。薛芳菲せつほうひ蕭蘅しょうこうに見つめられていることに気づき、その目的を問いただす。蕭蘅しょうこうは、彼女の率直な性格に惹かれていると説明し、以前の青楼での誤解について触れる。

葉嘉児ようかじは、薛芳菲せつほうひの活躍を母に報告し、感謝の意を表す。葉夫人ようふじんは、姜雲柏きょううんぱくの名を使ったことで問題が起きないか心配するが、薛芳菲せつほうひは自信に満ちた様子で、うまく処理すれば姜雲柏きょううんぱくにとっても有利になると答える。そして、問題の古香緞を保管し、織染署の調査に備えるよう指示する。

李瑾り きん佟知陽とうちように、李仲南りちゅうなんの計画を実行し、葉家を乗っ取るよう促す。織染令の唐帆とうはん李玉りぎょくは渌陽に到著し、調査を開始する。複雑な人間関係の中、慎重に行動する必要がある。唐帆とうはん李玉りぎょくに、きょ家を刺激しないよう忠告する。調査を進めるうちに、佟府尹とうふいんが捜査を遅らせていることに気づいた唐帆とうはんは、朝廷に報告することを決意する。その後、薛芳菲せつほうひの案内で織造廠を訪れた唐帆とうはんは、古香緞に西域産の毒物、陀羅が混入していることを発見する。

葉嘉児ようかじは、高価で毒性のある陀羅を使うのは商売人らしくないと指摘し、何者かが葉家を陥れようとしているのではないかと疑う。真相を探るため、薛芳菲せつほうひ葉明煜ようめいいくに協力を依頼し、成功すれば彼の鏢局を支援することを約束する。二人は変装して黒市に入り、頼彪らいひょうと交渉する中で困難に直面するが、知恵と勇気で乗り越える。薛芳菲せつほうひの行動を聞いた蕭蘅しょうこうは現場に駆けつけ、彼女のために賭けを引き受け、李仲南りちゅうなんが過去に頼彪らいひょうを陥れた事実を暴露し、頼彪らいひょうの協力を得る。

第16話の感想

第16話は、薛芳菲せつほうひの機転と行動力が際立つ回でした。群衆の前で堂々と自らの身分を明かし、巧みな話術で朱県尉しゅけんいを退散させ、高額買取で民衆の怒りを鎮めるなど、まさに八面六臂の大活躍。危機的状況の中でも冷静さを失わず、的確な判断を下す彼女の姿は、見ていて頼もしく感じました。

特に印象的だったのは、佟府尹とうふいんの不正を暗に示唆するシーン。直接的に非難するのではなく、巧妙な言葉で群衆に疑念を抱かせ、佟府尹とうふいんを窮地に追い込む手腕は、彼女の知性の高さを物語っています。また、姜雲柏きょううんぱくへの書状を提案することで、朱県尉しゅけんいを牽製し、事態を有利に進める戦略も見事でした。

一方、李瑾り きん薛芳菲せつほうひの活躍に焦りと苛立ちを隠せない様子。プライドの高い彼が、自分よりも一枚上手の薛芳菲せつほうひに翻弄される姿は、ある種の爽快感すら覚えます。蕭蘅しょうこうは相変わらず薛芳菲せつほうひに興味津々の様子で、二人の関係が今後どのように発展していくのか、期待が高まります。

葉家の人々は、薛芳菲せつほうひの機転に感謝しつつも、姜雲柏きょううんぱくを巻き込んだことで新たな問題が発生することを懸念しています。薛芳菲せつほうひは自信満々に事態の収束を約束していますが、今後の展開がどうなるかは予断を許しません。

つづく