あらすじ
第32話は、薛芳菲と沈玉容の対立激化、そして二人を取り巻く複雑な人間関係を中心に描かれています。薛芳菲は沈玉容の本心を見抜き、過去の過ちに対する責任を問いただします。薛芳菲の追及に対し、沈玉容は苦悩と葛藤を見せ、最終的には柴房で薛芳菲に真相を暴露されるのを阻止しようとしたところを葉世傑に殴られ気を失います。
この一件は様々な波紋を広げ、沈母は真相を知って狼狽し、姜家や皇室も事態に関与してきます。一方、沈玉容への想いが複雑に絡み合い、強い愛情を抱く婉寧は、彼を守るためならどんな犠牲もいとわず、薛芳菲への対抗策まで企てます。蕭蘅は薛芳菲の身を案じ、婉寧の仮撃に用心するよう忠告します。
そして、薛芳菲は婉寧と直接対決することを決意します。婉寧の屋敷に招かれた薛芳菲は、彼女と緊迫した会話を交わします。そこで明らかになるのは、婉寧の沈玉容への複雑な感情と、その背後に隠された真の目的です。
ネタバレ
薛芳菲は柴房の前で、沈家に監禁されていた暗い日々を思い出していた。しかし、今の彼女はもはや誰にも虐げられる弱い少女ではない。沈玉容は密かに彼女の後ろに付き従い、その背中を見つめながら複雑な心境だった。薛芳菲が姜梨ではないことを知っているが、母と妹に真実を告げることができない。薛芳菲が振り返り彼に気づくと、驚きの表情を見せた。
「尾行していたの?」と薛芳菲は問いただす。沈玉容は否定せず、ただ黙って立ち尽くすばかり。言いたいことは山ほどあるのに、どこから話せばいいのかわからない様子だった。薛芳菲は彼の葛藤を理解していたが、彼の逃避を許すことはできなかった。「聖上に罪を告白すべきよ。そうすることでしか、過去の罪を償えない」と告げる。
沈玉容は苦しげに首を振り、家族を危険に巻き込みたくないと思っていた。二人の間の緊張が高まる中、突然薛芳菲は強い力で抱きしめられる。必死に抵抗すると、聞き覚えのある声が聞こえた。葉世傑が現れ、沈玉容を棒で殴り気絶させたのだ。「巻き込まないで」と薛芳菲は言うが、葉世傑は「私はあなたが薛芳菲だと知っている。あなたを助ける」と力強く宣言した。
一方、沈母は意識を取り戻すと、息子がいなくなっていることに気づき、慌てて探し回る。皆が柴房に集まると、倒れている沈玉容と怒りに満ちた薛芳菲の姿があった。葉世傑は沈玉容が悪事を働こうとしたと証言し、薛芳菲は彼を役所に突き出そうとしていたと説明する。この衝撃で沈母は再び倒れてしまう。
この知らせはすぐに姜老夫人の耳に入り、姜雲柏に伝えられた。姜雲柏は娘の汚名を晴らすと同時に、姜家の評判を守るために行動を開始する。洪孝帝は刺客の件をわざと漏らし、婉寧の勢力を削ごうとするが、彼女は冷静さを保っていた。しかし、沈玉容が薛芳菲にしたことを知ると、ついに怒りを抑えきれず、大理寺へ沈玉容を見舞いに急行する。
大理寺で婉寧は沈玉容を責めるが、彼は生きることに疲れ果て、全てを終わらせたいという態度を見せる。婉寧は彼を手放すつもりはなく、支配を続けようとする。蕭蘅は都に戻り、この一件を知って不満を募らせる。薛芳菲が二度も約束を破ったことを心配し、彼女が更なる危険に陥ることを恐れていた。洪孝帝は蕭蘅に私情を挟むなと警告するが、蕭蘅は薛芳菲を守ると決意していた。
成王は李仲南を使いに出し、婉寧に沈玉容を始末するよう要求するが、婉寧は拒否する。彼女には独自の計画があり、薛芳菲を屋敷に招待する。姜雲柏も同行するが、婉寧の手下に阻まれ、門前払いされてしまう。薛芳菲は一人で屋敷に入り、婉寧は「芳菲落地梨花白」を演奏し、一緒に琴を弾こうと偽る。薛芳菲はそれを冷たく拒絶し、罪のない人を傷つけたことを責める。
「私は沈玉容が好きなの。彼が状元に合格した時から、ずっと側に置いておきたかった」と婉寧は告白し、薛芳菲の首を絞め、殺すと脅す。「あなたが彼を救えると思っているの?」と薛芳菲は逆に問う。婉寧は焦ることなく、薛芳菲をある人物に会わせると告げる。
権力と愛憎が渦巻く中、誰もが難しい選択を迫られる。薛芳菲は自らの責任を自覚し、真実を明らかにして、自分と沈玉容の名誉を回復しなければならない。婉寧は欲望のために手段を選ばず、全てを支配しようと企んでいる。蕭蘅と葉世傑の支えは薛芳菲に勇気を与えるが、前途は多難であることを彼女は知っている。
最後に、婉寧は薛芳菲を地下室へと連れて行く。そこには驚くべき秘密が隠されていた。物語は進み、それぞれの運命は大きく変わっていく。薛芳菲は陰謀を暴き、自分と沈玉容を救うことができるのか。この危険な旅路の先に、明るい未来は待っているのだろうか。
第32話の感想
第32話は、緊迫感あふれる展開で、息をするのも忘れてしまうほどでした。薛芳菲の過去との対峙、沈玉容の苦悩、そして婉寧の恐ろしいまでの執念。それぞれのキャラクターの感情がぶつかり合い、物語はさらに複雑な様相を呈してきました。
特に印象的だったのは、薛芳菲の毅然とした態度です。かつては囚われの身であった彼女が、今は自らの運命を切り開こうと強く立ち向かう姿は、まさに「美しき復讐」のタイトルにふさわしいと感じました。葉世傑の助けもあり、沈玉容の罪を暴こうとする彼女の行動は、見ているこちらにも勇気を与えてくれます。
一方、沈玉容の苦悩も胸を締め付けられます。家族を守りたいという思いと、薛芳菲への罪悪感の間で揺れ動く彼の姿は、非常に人間味あふれるものでした。婉寧の支配から逃れられない彼の運命が、今後どのように展開していくのか、非常に気になるところです。
そして、物語のキーパーソンである婉寧。彼女の歪んだ愛情表現は、恐怖すら感じさせます。沈玉容への執著は、もはや常軌を逸しており、彼女の行動が今後どのような悲劇を生むのか、想像するだけで恐ろしいです。
つづく