徐引はこっそり箱を開け、中にある鍵を見つけた。しかし、その様子は顧盛寒に見られていた。鍵を持ち去る際、徐引は顧盛寒に不利になるのではと心配するも、自分の行動の正当性を信じていた。一方、顧盛明は徐引の正体を知っていると告げるが、顧盛寒は激怒し、顧盛明をテーブルに押さえつける。ちょうど現れた徐引は、顧盛寒が顧盛明をいじめているように見え、止めに入る。
顧盛明はすかさず弱々しい振りをし、徐引は彼をかばう。しかし、顧盛寒の手の傷からは血が流れていた。その時、老夫人の使いが徐引を呼びに来る。徐引は顧盛明と共に老夫人を訪ねる。
老夫人はまたしても徐引を家法で罰しようとする。理由は、徐引と顧盛明の関係が不適切だと言うのだ。結局、徐引は詩経の書写を命じられる。顧盛明は、良いものは全て兄のもの、虎符さえも、と不満を募らせる。
徐引は経書の書写だけでなく、祠堂で千回頭を下げなければならなかった。祠堂へ行くのは、令牌があるか確認し、持ち去るためでもあった。令牌を探していると、顧盛明が食事を持って現れる。徐引は感謝し、顧盛明は徐引の口元の汚れを優しく拭う。
徐引は照れくさそうにしていると、顧盛明は屋敷での窮屈さを語り、徐引の本名を口にする。そして、三年前のことを決して忘れないと告げる。徐引は顧盛明と再会を喜びたい気持ちもあるが、任務を優先し、冷淡な態度をとる。顧盛明は自分の言葉が誤解を招いたと勘違いする。
徐引は香炉に令牌が隠されていることを見つけ、手に入れる。しかしその時、全てを知っていた顧盛寒も祠堂に現れる。二人が話していると、顧盛明は既に扉に油を撒いていた。徐引を助けようとしていたが、顧盛寒が中にいることは知らなかったのだ。顧盛寒は気を失う前に、外に出る時は自分を支えて出るように徐引に指示する。足の怪我を偽っていることは秘密にしなければならなかった。しかし、徐引が先に倒れてしまう。顧盛寒は偽りの怪我を顧みず、徐引を抱えて燃え盛る扉を突き破り、脱出した。
第12話の感想
第12話は、徐引と顧盛寒、顧盛明の三人の関係がさらに複雑に絡み合い、緊張感が高まる展開でした。徐引は任務と顧盛明への想いの間で揺れ動き、その葛藤が見て取れます。冷静に任務を遂行しようとする一方で、顧盛明の優しさに触れ、心が揺らぐ様子が繊細に描かれていました。特に、祠堂での二人のシーンは、互いの想いがすれ違いながらも通じ合う、切ない名場面だったと思います。
顧盛寒は、徐引への想いを秘めながらも、冷徹な態度を崩しません。しかし、火事の中、徐引を助け出すシーンは、彼の隠された愛情を垣間見ることができました。徐引を想うが故の行動とはいえ、自分の怪我を顧みない姿は、見ている側もハラハラさせられました。
つづく