顧盛寒は徐引をベッドに押し倒し、更に事を進めようとしたその時、徐引の胸に虎符があるのを発見した。しかし、二人の様子をドアの外から密かに窺っていた女官がいた。顧盛寒はすぐさま追いかけ、その女官を殺害してしまう。止めようとした徐引が駆けつけた時には既に遅かった。
徐引は激怒するが、顧盛寒は彼女を抱きしめ、自分の秘密を他言すれば、徐引が虎符を持っていることを暴露すると脅迫した。徐引は去り際に、顧盛明には危害を加えないよう言い残した。徐引の後ろ姿を見つめる顧盛寒の心は複雑だった。
徐引は部屋を出てすぐに顧盛明と遭遇する。顧盛明は徐引の胸から消えつつある虎符に気づき、全てを察したようだが、深く追求せず、徐引に休むように促した。徐引にとって、顧盛寒から令牌を手に入れることは、より困難になった。
後に顧盛寒は、虎符が物ではなく生きた人間であることを知る。部下に徐引の警護を命じ、このことは誰にも知られてはならないと厳命した。徐引に余計な危険が及ぶのを避けるためだ。一方、徐引は令牌を手に入れる方法を思案していた。彼女は顧盛寒が毒に侵されていること、そしてその毒を解けるのは自分だけだと明かし、令牌を得ようとした。顧盛寒は車椅子から立ち上がり、徐引に治療を依頼した。徐引は顧盛寒の信頼を得て、令牌を手に入れようとしていた。
顧盛寒は徐引に、将軍府にいる限りは将軍夫人であると告げた。徐引はそれを拒否しなかった。徐引は顧盛寒の傷の手当てをした。顧盛寒は自分が毒を盛られたのは、身近な者の仕業だと考えていた。徐引は顧盛寒が長年毒に苦しみ、心を落ち著かせることでしか解毒できないことを知っていた。
顧盛寒の姿を見て、徐引はかつて自分が治療した男のことを思い出した。彼女が去ろうとした時、顧盛寒は彼女の衣の裾を掴み、行かないでくれと懇願した。徐引は顧盛寒を宥め、部屋を後にした。顧盛寒は徐引の名前を呼んだが、彼女は既に遠く、その声は届かなかった。
第9話の感想
第9話は、徐引と顧盛寒の関係性が大きく揺れ動く、緊張感と切なさが入り混じるエピソードでした。虎符の秘密が顧盛明にも知られ、徐引の立場はますます危うくなっていきます。顧盛寒は徐引を守るために行動を起こしますが、その方法が時に冷酷で、徐引との間に溝を作ってしまうのも見ていて辛いものがありました。
特に、女官を殺害するシーンは衝撃的でした。愛する者を危険から守りたいという一心からの行動とはいえ、その残酷さに徐引は深く傷つき、二人の間の信頼関係はさらに崩れていくように感じます。顧盛寒の苦悩も理解できますが、彼のやり方は徐引を遠ざけてしまう結果になっているのではないでしょうか。
つづく