初春、周裘海は中秋節を祝い直すという名目で皆を集めた。彼は孤児出身の弟子たちを見渡し、「我々は皆孤児であり、ここに集い、互いに家族だ」と感慨深げに語った。周裘海は発丘一門の弟子の数が自分の世代よりはるかに少ないことに気づき、いついかなる時も発丘の弟子たちは団結し、互いに助け合うべきだという信念を強くした。無双は師匠の言葉に深く共感し、様々な経験を経て、発丘の弟子であることの幸福をますます感じるようになっていた。
一方、駱雲松は弟の駱九天とアヘン取引をしていた人物を密かに問い合わせしていたが、手がかりは掴めずにいた。しかし、駱九天が埠頭に連れて行った部下は崔胭脂から借りた者たちだと判明する。崔胭脂とフー司令官が手を組み駱九天に対抗していることに、駱雲松は困惑し、賀彪に引き続き調査を命じた。
崔胭脂は丁雲斉が早く上海を離れることを望んでいた。丁雲斉の心の葛藤を見抜いていたからだ。丁雲斉は無双に深い愛情を抱いていたが、自分たちの世代は門派の伝統や規則に縛られず、心から愛し合って一緒になるべきだと考えていた。崔胭脂は、五門の中で発丘の女性だけが天官に嫁ぐことができ、丁雲斉が天官にならなければ無双と結婚できないと忠告する。しかし、崔胭脂は丁雲斉に上海を離れることを強要せず、丁遠山を守ることに専念した。
フー司令官は竜骨を手に入れられず、駱家の兄妹に嵌められたことに不満を抱き、夫人に駱雲松のことを告げ口した。警察局長の弟がアヘンを密売し、墓泥棒の疑いもあることは、駱雲松にとって大きな痛手だった。夫人の護衛隊長は駱府へ行き、駱雲松を連行し調査するよう命じられた。楚風鈴が夫人に気に入られていることを考慮し、フー司令官は彼女には手を出さなかった。夫人は楚風鈴の顔を立て、駱雲松の職を解くだけにとどめ、より深刻な事態は避けられた。
駱雲松は楚風鈴に特派員の仕事を辞めてほしいと頼み、自分たちは官界には向いていないと考えた。全てを失った駱雲松にとって、これは大きな打撃だった。兄の落ち込む姿を見て、楚風鈴は自分の力で家を支えることを決意する。夜、楚風鈴は丁雲斉を訪ね、自分の境遇を打ち明け、二人は友人として語り合った。楚風鈴は昆崙墟を探し出し、これ以上人々が利益のために命を落とすのを阻止したいという決意を表明し、丁雲斉に助けを求めたが、丁雲斉は今はただ父親を見つけたいと考えていた。
無双は偶然、姉弟子と兄貴分が一緒にいるところを目撃する。五門の伝統では許されない行為だった。無双は姉弟子が自分に隠し事をしていたことに腹を立てたが、沈黙を守り、師匠にこのことを漏らすことはしなかった。
丁雲斉は駱雲松が罷免されたことを知り、駱府を訪ねて慰めた。丁雲斉は駱雲松に敵意はなく、これまでの付き合いから彼が正直な人物であり、悪人ではないと確信していた。だからこそ、駱雲松には立ち直り、共に敵に立ち向かってほしいと願っていた。
最後に、周裘海が駱府を「訪問」する。駱雲松は彼の訪問が簡単なものではないことを悟った。周裘海は来意を率直に告げ、今回の訪問は過去の清算のためだと述べた。彼は駱雲松が五門の名誉を傷つけたと非難し、彼の免職はその過ちを帳消しにするものだと主張した。しかし、駱九天が発丘の弟子二人を殺害したことについては、誰かが命で償わなければならない。この時、駱雲松は、駱九天のアヘン取引の件が周裘海の仕組んだ罠だったことに気づき、深い思索に沈んだ。
第15話の感想
「天官の継承者 ディン・ユンチー ~ 秘宝と愛の物語」第15話は、人間関係と陰謀が複雑に絡み合い、物語が大きく動く転換点となる回でした。
周裘海が弟子たちに語る言葉は、五門の絆の重要性を示し、特に発丘一門の団結を強調していました。無双が師匠の言葉に共感する姿は、彼女の成長と五門への愛著を感じさせます。
一方、駱雲松の苦悩と、彼を取り巻く陰謀は見ていてハラハラさせられます。弟の駱九天の行動、崔胭脂とフー司令官の策略、そして警察の介入と、次々と問題が降りかかり、彼の立場はどんどん悪化していきます。
丁雲斉と無双の関係も、五門の伝統という壁に阻まれ、もどかしい展開です。崔胭脂の忠告は、二人の未来に暗雲を投げかけますが、丁雲斉の決意は揺るがないように見えます。
つづく