フー司令官は兵を率いて丁雲斉の住処に押し入るが、それは単なる示威行為だった。彼は福建に赴任する直前、丁雲斉に会いに来たのだ。丁雲斉の指示を受けた孫三玄は、合図の爆竹を放つよう命じられる。それを見た五門の弟子たちが集結し、周囲は騒然となる。その爆竹は司令部付近からも発射され、その勢いに恐れをなしたフー司令官は、上海に五門の弟子がこれほど多くいるとは思わず、その場を去る。
孫三玄と周裘海はそれぞれ紫色の合図弾を目撃する。それは搬山の合図であり、孫三玄は丁雲斉が何かを隠していると感じるが、丁雲斉は多くを語らない。
深夜、丁遠山が崔胭脂の元を訪れ、崔胭脂はすぐに丁雲斉に連絡する。何が起きたのか分からない丁雲斉だが、崔胭脂の使いが迎えに来たことから、緊急の事態だと察し、何も聞かずに使いの者について行く。
丁雲斉の行動は多くの者に監視されていた。
崔胭脂は住処の警備を固め、街にも見張りを配置していた。彼女は丁遠山が上海に現れたことが必ず知られると踏んでおり、いつでも戦えるよう準備し、丁遠山を守ろうとしていた。
丁遠山は以前に重傷を負っており、自分の体の状態が良くないことを知っていたため、早いうちに丁雲斉と会い、秘密を伝えることを望んでいた。
昆崙墟は実在し、そこには五門が蓄積してきた財宝があり、歴代の天官が守護してきた。しかし、第20代天官が突然外で病死し、息子はまだ6歳だったため、昆崙墟の秘密は失伝してしまった。第21代から丁遠山まで、彼らは探し続けてきたが、未だ見つかっていない。
丁遠山も五門を嫌い、憎んでさえいた。彼は天官になりたくはなく、昆崙墟を見つけ、その財宝を必要とする人々に分け与え、五門を解散させたいと考えていた。丁雲斉は父がそのような考えを持っていたことに驚き、長年誤解していたことに気づく。
丁遠山はかつて昆崙墟らしき場所を見つけたが、ある督軍に騙され、共に墓を開ける。そこは昆崙墟ではなかったものの、多くの財宝があった。督軍は財宝の誘惑に負け、裏切り、中にいる丁遠山を顧みず、爆破を命じる。丁遠山は重傷を負うが、辛うじて脱出する。
丁雲斉は督軍が誰なのか尋ねるが、丁遠山は答えず、疲れて休みたいと言い、会話を中断する。
丁雲斉は父の傷を見て、心を痛め、怒りを感じる。
丁雲斉は三斤に、孫三玄と無双、そして駱雲松を呼んでくるよう頼む。父に直接誤解を解いてほしいと願う。丁遠山は生涯誰も殺したことがなく、20年前に誰が自分を陥れようとしたのか分からず、駱雲松も義父の姓を名乗っているため、事情が呑み込めない。
丁遠山は、まるで遺言のように、自分が成し遂げられなかったことを丁雲斉に託し、昆崙墟を見つけ、五門の兄弟たちを俗世に戻すよう願う。息を引き取る間際、丁遠山は玉佩を丁雲斉に渡す。五門は解散するが、丁家で唯一の血筋である丁雲斉に、未来を託す。丁遠山は駱雲松を待つことなく、この世を去る。
駱雲松は賀彪と楚風鈴を連れて駱九天の墓参りに行く。楚風鈴は駱九天の墓前で、彼を陥れた者たちに必ず報いを受けさせ、彼らの元へ送ると厳かに誓う。
五門の掟に従い、丁遠山は水葬される。遺体は筏に乗せられ、筏は燃やされる。丁雲斉は母のことを思い出す。崔胭脂は、これも五門の千年来の掟であり、天官の妻は子供が8歳になると水に乗って山へ帰らねばならず、丁雲斉の母は毒を飲んで自ら筏に乗って去ったのだと語る。
第16話 感想
第16話は、まさに怒涛の展開でした。フー司令官の登場から始まり、五門の結束、そして丁遠山の過去と真実が明らかになりました。昆崙墟の秘密、五門の解散という衝撃的な父の願いに、丁雲斉がどう応えていくのか、目が離せません。
特に、丁遠山が過去に受けた裏切りと、その傷の深さに胸を締め付けられました。彼の壮絶な人生と、それでもなお希望を捨てない姿に感動しました。また、五門の伝統である水葬のシーンは、美しくも悲しく、涙なしには見られませんでした。母の死の真相も明らかになり、丁雲斉の背負うものの大きさを改めて感じました。
つづく