丁雲斉と無双一行は搬山鎮に到著したが、町は不気味なほどに静まり返り、人っ子一人いなかった。そんな中、丁雲斉はそっと無双の手を握る。
一方、賀彪は黒羽隊から、もう一隊、20人ほどの小隊が彼らを追跡しているとの情報を得る。それは孫三玄が手配したもので、彼は駱雲松が丁雲斉に危害を加えるのではないかと心配し、万が一の事態に備えていたのだ。しかし、丁雲斉はそのことを知らず、孫三玄の心配は杞憂だと考えていた。駱雲松は何も言わず、ただ賀彪に黒羽隊へ、彼らは味方同士であり、何かあれば互いに協力するよう伝えるよう指示した。
丁雲斉はこの機会に無双との距離を縮めたいと考え、彼女を道人総壇の御風宮へ連れて行こうとする。無双が驚くと、丁雲斉は孫三玄に、無双が行きたくないなら自分と一緒に行こうと提案する。孫三玄は素直な性格で、二人の関係の変化に気づかず、すぐに承諾してしまう。幸い、三斤が孫三玄を呼び出し、彼の指摘で、孫三玄はようやく自分が単なる道具として利用されていたことに気づく。
楚風鈴は無双と丁雲斉があまり接触しないように、自分と同室にしないかと尋ねるが、無双はすでに部屋が割り当てられているからと、特に深く考えずに断る。
楚風鈴は丁雲斉が御風宮へ行くことを知り、同行したいと申し出るが、丁雲斉は丁重に断る。そこは五門のうち搬山道人の総壇であり、部外者が入るのは適切ではなく、また、内部には多くの仕掛けがあり、自分だけでは全員を守りきれない。彼と無双はある程度の武術の心得があるため、二人で行くのが最善の選択だった。
楚風鈴は落胆するが、それ以上何も言えなかった。
丁雲斉と無双は二人で御風宮へ入る。そこは予想通り仕掛けだらけだった。無双は発丘の祖師の像を見て跪拝しようとするが、その瞬間に仕掛けが作動し、神龕の扉が開く。その奥には丁雲斉が探し求めていたものがあったため、無双は自分の不注意を責める。
無双は丁雲斉が搬山道人の総壇について詳しく知っていることに驚く。丁雲斉は道人の弟子と会ったことを無双に話そうとするが、無双は聞きたくないと言う。丁雲斉は無双の言葉を遮り、口をつぐむ。実は、無双は丁雲斉を裏切りたくないが、師匠の周裘海を欺くこともできず、余計なことを知らずに丁雲斉に従うだけで良いと考えていたのだ。
丁雲斉は搬山の秘密が記された書物を見つける。無双はあえてそれを避け、ただ丁雲斉のそばにいたい、他のことには興味も知りたくもないという態度を示す。丁雲斉は無双を見つめ、何か考え込んでいる様子だった。おそらく、彼は無双の真の目的を察しているが、無双が彼を裏切るつもりがないことに心を動かされていた。
丁雲斉は一度見たものは忘れないため、密室で書物を読み、持ち出すつもりはなかった。それは搬山門派のものであり、無双は彼のそばで静かに寄り添っていた。
宿に残っていた孫三玄や駱雲松たちは、丁雲斉と無双の身を心配していた。昼を過ぎても二人が戻ってこないため、彼らは二人を探しに行くことにする。
しかし、当の二人は御風宮の中で楽しんでいた。楚風鈴たちが入り口まで来ると、中から楽しそうな笑い声が聞こえてくる。楚風鈴は二人の無事を知り、安堵するとともに、悲しみを覚え、皆は踵を返す。
密室で、無双は再び丁雲斉に想いを伝える。今度は、丁雲斉は目をそらさず、拒絶もしなかった。彼は無双を優しく見つめ、ゆっくりと顔を近づけていく…。
第21話 感想
第21話は、丁雲斉と無双の関係が大きく進展する重要な回でした。搬山鎮の不気味な雰囲気の中、そっと手を繋ぐ二人の姿は、これからの展開を期待させます。
御風宮でのやり取りは、二人の心情が繊細に描かれており、特に印象的です。無双が発丘の祖師に跪拝したことで、偶然にも仕掛けが作動し、丁雲斉が探し求めていたものが見つかるシーンは、運命的なものを感じました。
また、無双が丁雲斉への想いを隠さず、積極的に行動するようになったことも見逃せません。密室で再び想いを告げ、丁雲斉がそれを受け入れる様子は、視聴者にとっても感動的な瞬間だったのではないでしょうか。
つづく