駱雲松は、血縁関係はないものの駱九天を実の兄弟のように想っていた。以前、駱九天の足を誤って傷つけてしまったことに罪悪感を抱いていた。駱九天の冷たい態度にも弁解せず、彼に安全な場所で暮らすよう願い、自分の仕事が片付いたら迎えに行くつもりだった。しかし、駱九天は行き場を失い、今の生活を続けるしかなかった。駱雲松は、駱九天が以前とは変わってしまい、自分の手には負えないと感じていた。
孫三玄は発丘総本山から戻り、駱雲松に報告した。彼らの他にも発丘の弟子たちを攻撃している者がいるが、命を奪うつもりはないようだった。駱雲松は、賀彪に雨田の遺体を調べさせたところ、発丘の印ではなく、天龍の刺青を発見した。最近の出来事から、駱雲松は周裘海が天龍である可能性が高いと推測し、雨田の遺体を囮にして天龍をおびき出し、周裘海の正体を確認しようと決意する。
一方、無双は老北風の体調を心配し、丁雲斉と共に彼を訪ねた。二人は身分を明かし、老北風はようやく安心する。丁雲斉は、自分と五門の先人たちの願いは、昆崙墟を見つけて財宝を貧しい人々に分け与えることだと老北風に告げた。老北風は丁雲斉が私欲のためではないと知り、追魂令を託した。さらに、頭の簪を外し、これは周裘海が20年以上も探し求めていたものだと明かした。老北風は周裘海を憎んでおり、彼が追魂令を手に入れ、昆崙墟を独占するために自分を20年間も監禁したと考えていた。
無双は、周裘海が老北風の言うような悪人だとは信じられず、何かの誤解だと考えていた。丁雲斉が寿無疆が天龍に殺されたと告げると、無双はさらにその考えを強くした。しかし、丁雲斉と無双は老北風から天龍に関する詳しい情報を得ることはできなかった。
地宮に入った後、丁雲斉は地宮が昆崙墟を模して造られており、伝声装置が設置されていることに気づいた。周裘海が自分と無双の会話を盗聴し、昆崙墟を開ける方法を聞き出そうとしていると知る。老北風の死後、丁雲斉は周裘海が自分を利用して追魂令を手に入れたことに気づく。各派の長が天官に忠誠を誓っているため、周裘海は彼らを発丘域に閉じ込め、老北風に追魂令を出させたのだ。今や周裘海は2つの追魂令を手に入れ、次は丁雲斉を排除する可能性が高い。そこで、丁雲斉は無双を連れて急いでここを離れることにした。
無双は、10年以上も師事してきた師匠が、実は人でなしの天龍だとは信じられなかった。師匠は善良で正義感が強く、私欲のために五門の人々を傷つけるはずがないと思っていた。丁雲斉は追魂令を無双に渡し、彼女自身と追魂令を守るよう託した。
その後、駱雲松と孫三玄は部下を率いて発丘総本山に突入し、駱雲松は周裘海の部屋に入るが、彼の遺体を発見する。この場面を花星辰に見られ、駱雲松は周裘海殺害の犯人にされてしまう。駱雲松は発丘の仇となったが、なぜ周裘海が突然死んだのか、何か裏があると感じていた。
江大学問は発丘の弟子たちの前で周裘海の遺書を読み上げ、発丘の長の座を無双が継ぎ、全員が無双の指示に従うよう宣言した。花星辰は周裘海が無双に長の座を譲るとは思っておらず、失望の眼差しを向けたが、師匠の命には逆らえず、不本意ながらも結果を受け入れるしかなかった。
最後に、江大学問は発丘域に無双と丁雲斉を迎えに行き、無双は総本山に駆けつけて葬儀に参列するが、駱雲松が自分の師匠を殺したと知らされる。この知らせに彼女は深い悲しみに沈み、今後の行動にさらなる波乱と試練が待ち受けていることを予感させた。
第29話の感想
怒涛の展開となった第29話。まず、駱雲松と駱九天の兄弟関係、そして駱雲松の抱える葛藤が切ない。信じていた駱九天が変わってしまったことへの悲しみ、そして彼を救えない無力感が伝わってきました。
一方、周裘海が天龍であるという疑惑が深まり、物語は一気にミステリーの様相を呈してきました。雨田の遺体を使った罠、老北風から明かされる周裘海の過去、そして地宮での盗聴…と、息もつかせぬ展開に目が離せません。特に、老北風が語る周裘海の真実、そして追魂令を巡る策略は、物語の根幹に関わる重要な情報であり、今後の展開を大きく左右しそうです。
無双の心情も複雑です。師匠である周裘海への信頼と、老北風や丁雲斉の言葉との間で揺れ動く姿は、見ていて辛いものがあります。しかし、丁雲斉から追魂令を託されたことで、彼女が物語の鍵を握る存在になることは間違いないでしょう。
つづく