駱雲松は楚風鈴に、無双を姉として受け入れるよう要求するが、楚風鈴は不平等な「交渉」を拒否。自分が追魂令を二枚と夫人の信頼を得ていることを「脅し」の材料として主張する。しかし、駱雲松は追魂令が皆のものであり、楚風鈴個人に帰属するものではないこと、さらに駱九天が夫人の命で彼らを密かに追跡していたことから、夫人は楚風鈴を完全には信用していないことを指摘し、楚風鈴に平等を要求する資格はないと告げる。
言葉に詰まる楚風鈴。駱雲松は話し合いの必要はないと判断し、今後の行動は楚風鈴には知らせず、賀彪を彼女につけることを伝える。怒った楚風鈴は部屋に戻るが、すぐに賀彪が駱九天を連れて戻ってくる。
駱雲松は駱九天に追魂令を渡すよう求めるが、それは彼の命を守るお守りであるため、駱九天は拒否。しかし、駱九天は丁雲斉の成功を望んでおり、それだけが全員の命を救う道だと告げる。交渉は決裂し、駱雲松は涙を浮かべながら、弟を失ったことを悟る。
駱九天を追う者たちは夫人の指示を受けており、今夜駱九天を始末するよう命じられていた。駱九天は自分の命が残り少ないことをまだ知らない。
異変に気づいた薛丁峰は、自分の命と引き換えに駱九天を救う。駱九天は逃げ出し、夫人が送り込んだ刺客たちを倒すが、傷を負ってしまう。
川で手を洗っていた駱九天は、偶然、川底から人を運び上げ、薬を飲ませている二人組を目撃する。物音を立ててしまい、気づかれた駱九天は川に潜り、追っ手と水中で格闘する。二人を倒し、危険が去ったと思った瞬間、遠くから飛んできた鏢が彼の首に突き刺さる。
駱九天は駱雲松の元へ向かうが、銃声を聞きつけた丁雲斉、無双、孫三玄たちに発見される。駱九天は、息絶える寸前に無双に追魂令を託す。丁雲斉は駱九天の手に残された暗器から、天龍が彼を殺害したことを知る。
無双は駱九天を発丘に埋葬し、一行は昆仑墟を探す旅に出る。
無双は江大学問に駱九天の身に何が起きたのか調査を依頼。江大学問は、駱九天についていた者たちが全員死亡し、彼が最後に負傷したのは川辺であること、川辺にいた二人の黒装束の遺体は発丘の者ではなく、見慣れない顔であることを突き止める。江大学問は、発丘で起きたこの事件を徹底的に調査し、駱家の兄弟に説明することを約束する。
丁雲斉一行は、美しい景色が広がる「覇王卸甲」に到著。丁雲斉は、先人たちが自然の障壁を利用して昆仑墟を守ろうとしたのではないかと推測する。
無双は天龍がどこかで監視しているのではないかと心配し、敵の数も分からないため、注意が必要だと訴える。丁雲斉は、天龍に慈悲を期待せず、必ず血の代償を払わせると誓う。
第32話の感想
「天官の継承者」第32話は、主要人物たちの複雑な感情と、物語の大きな転換点が描かれた回でした。特に駱九天の死は衝撃的で、彼の最期の行動と無双への追魂令の継承は、今後の展開に大きな影響を与えるでしょう。丁雲斉たちが真実を突き止め、復讐を果たすことができるのか、緊迫感が高まります。
また、人間関係の描写も深く、駱雲松と駱九天の兄弟の絆、そしてそれぞれの正義や信念がぶつかり合う様子は、見ていて胸が締め付けられる思いがしました。楚風鈴の立ち位置も難しく、彼女が今後どのような選択をするのかも気になります。
つづく