雲嬌うんきょう慕容蔵ぼようぞうに何かあったのではないかと心配していた。慕容蔵ぼようぞうもまた、雲嬌うんきょうが自分を探しているという知らせを受け、彼女の元へ向かう。しかし、そこにいたのは雪晴せつせいだった。雪晴せつせい慕容蔵ぼようぞうを気絶させ、彼に新郎の衣装を著せ、自分も新婦の衣装を身にまとう。今日こそ、慕容蔵ぼようぞうと結婚するつもりだったのだ。

雪晴せつせい慕容蔵ぼようぞうを慕う理由は過去にあった。多くの人が雪晴せつせいを笑いものにする中、慕容蔵ぼようぞうだけが悲しむ彼女に傘を差し出してくれた。慕容蔵ぼようぞうはただ雪晴せつせいを哀れんだだけだったが、雪晴せつせいは彼に恋心を抱くようになった。愛のない相手と結婚することになった雪晴せつせいは、結婚前に自分の願いを葉えようとする。しかし、慕容蔵ぼようぞう雪晴せつせいの思い通りにはならない。雪晴せつせい慕容蔵ぼようぞうへの愛を語るが、慕容蔵ぼようぞうにとって愛は最も無意味なものだった。

雪晴せつせい慕容蔵ぼようぞうと関係を持つため、部屋の蝋燭を全て消してしまう。慕容蔵ぼようぞうは夜になると狂気を発症する体質(夜狂症やきょうしょう)で、雪晴せつせいはそれに乗じようとする。慕容蔵ぼようぞうは朦朧とした意識の中、雪晴せつせいの首を絞めるが、彼女は恐れることなく、慕容蔵ぼようぞうの手に掛かって死ねるなら本望だとさえ思う。

その時、雲嬌うんきょう富貴ふうきを連れて部屋に飛び込んでくる。雲嬌うんきょうが蝋燭を持っていたため、慕容蔵ぼようぞうは本能的に簪を雲嬌うんきょうに投げつける。雲嬌うんきょうの帽子が落ち、長い髪が腰まで広がる。雲嬌うんきょうが女性であることが雪晴せつせいに露見してしまう。雪晴せつせいは、慕容蔵ぼようぞうが男色なのではなく、雲嬌うんきょうが女であったために自分を拒んだのだと悟り、激しく取り乱す。慕容蔵ぼようぞうは金屋で女性を囲っていたのだと叫び、慕容蔵ぼようぞうはその場で気を失ってしまう。

雪晴せつせい雲嬌うんきょうに詰め寄ろうとした時、富貴ふうきが剣を抜いて雪晴せつせいを脅す。雪晴せつせいは、雲嬌うんきょうが必ず自分を探しに来ると信じていたと言い残し、部屋を去る。

第10話の感想

第10話は、まさに波乱の展開でした。雪晴せつせい慕容蔵ぼようぞうへの執著心と、それを利用しようとする行動には驚かされました。愛と憎しみは紙一重とは言いますが、彼女の行動は狂気さえ感じさせます。慕容蔵ぼようぞう夜狂症やきょうしょうを利用して迫るシーンは、緊迫感があり、ハラハラしました。

雲嬌うんきょうが女性であることが明らかになるシーンは、この物語の大きな転換点です。慕容蔵ぼようぞうが男色なのではなく、雲嬌うんきょうが女性だったからこそ、雪晴せつせいは受け入れられなかった。この事実は、雪晴せつせいをさらに混乱させ、悲劇的な結末を予感させます。

つづく