許兮兮は、あと18時間で原稿を提出しなければならないのに、小説の執筆に行き詰まっていました。物語の冒頭、城主夫人が王美人に堕胎薬を飲ませるシーンで、呉琳がその展開に納得できず、執筆を手伝うと申し出ます。さらに、原稿料の7割を渡すという好条件まで提示しました。
呉琳の筆によって、物語は展開します。東臨城は建城以来、戦乱が絶えず、内憂外患を抱えていました。城主の弟、宋奕は出征中で、その無事と勝利を祈るため、城主夫人・呉玉琳は祈祷を提案します。城主・宋巍と共に祈祷へ向かう道中、二人は刺客に襲われます。宋巍が応戦する間、馬車は激しく揺れ、呉玉琳は重い頭飾りでバランスを崩し、頭を馬車にぶつけてしまいます。ちょうどその時、呉琳も玄関のチャイムを聞き、立ち上がった際に転倒。なんと、呉玉琳に魂が乗り移ってしまいます。
呉玉琳は馬車から出て、刺客を見て驚きますが、重い衣装に慣れず再び転倒。それが幸いし、刺客を押し倒しますが、捕らえられてしまいます。宋巍はすぐに追いかけ、呉玉琳を救出し、城へ連れ帰ります。
侍女に「夫人」と呼ばれる呉玉琳は、自分が小説の中に穿越したのではないかと疑います。一方、宋巍は寝床の血痕を見て、呉玉琳が怪我をしたのではないかと心配し、彼女の体を調べ始めます。呉玉琳は何が起こっているのか分からず、軽々しく口を開けません。
そこへ医者が到著し、呉玉琳を診察します。呉玉琳は医者に目配せをし、医者は状況を察して、宋巍に呉玉琳が妊娠二ヶ月であること、そして流産してしまったことを告げます。小説の展開を知っている呉玉琳は、わざとらしく泣き叫び、子供の後を追いたいと言い出します。宋巍は罪悪感を覚え、どんな条件でも受け入れると約束します。呉玉琳は、この機に乗じて、城主の印鑑を預かりたいと要求します。
突然、呉玉琳は意識を取り戻し、元の性格のようになってはいけないと考えます。ちょうど医者が来たので、呉玉琳は再び目配せをしますが、医者は呉玉琳が妊娠していることを報告しようとします。呉玉琳は咳き込んで、慌ててそれを阻止しようとします。
第1話の感想
「奥さまは悪女~城主が愛した花嫁の秘密~」第1話は、予想以上にコミカルでテンポの良い展開に引き込まれました。主人公が小説の世界に悪役として転生するという設定はよくありますが、転生した直後の状況が、刺客に襲われるという緊迫したシーンなのが面白いです。
主人公の呉玉琳(転生前は呉琳)が、元の体の持ち主である悪女の行動を変えようと奮闘する姿が、とても魅力的です。特に、医者に目配せをして妊娠を隠そうとするシーンは、彼女の機転と、これからの展開への期待感を高めます。
また、城主・宋巍の真面目さと、呉玉琳への不信感が、二人の関係にどのような変化をもたらすのか、今後の展開が気になります。突然の流産(実際には妊娠していない)という状況で、城主の印鑑を要求するなど、大胆な行動に出る呉玉琳から目が離せません。
つづく