2025年3月3日、月曜日。秦理は一人部屋で「臆病者」という曲を聴きながら、過去の日々を回想していた。彼の心の中には、かつていつもそばにいた黄姝の姿が浮かぶ。しかし、それは幻想に過ぎない。黄姝はもうこの世にはいないのだ。秦理は涙を抑えることができなかった。
時は2000年に遡る。范先生は王頔を連れて、重要な作文コンクールに参加していた。学校の幹部は、王頔を最も才能のある生徒だと信じ、彼に大きな期待を寄せていた。一方、秦理と黄姝は、馮雪嬌と王頔と一緒にマクドナルドで食事をする計画を立てていた。しかし、約束の場所に到着すると、二人しかいなかった。黄姝が馮雪嬌に電話をかけると、王頔は高磊とバスケットボールをしているという。秦理は少しがっかりした。
学校生活は続く。秦理は拾った子猫の世話をしていたことで先生に叱られる。先生は秦理に猫をどこかへ連れて行くように言うが、秦理は無視して教室に連れて帰ってしまう。学校に上級視察団が来る日、秦理は屋上でスピーカーを使って猫の鳴き真似をし、学校中を大混乱に陥れる。王頔はそれを見て、電源を落とし、秦理を助けようとする。その後、秦理は教室の一番後ろの席に移動し、王頔から離れた場所に座ることになった。
この事件で学校は上級部門から批判を受け、范先生は秦理と話をし、心の内を打ち明けてほしいと願う。しかし、秦理は何も語らず、ただ微笑んで范先生を見つめるだけだった。放課後、秦理と黄姝は一緒に鍋料理を楽しみ、二人だけの時間を過ごす。黄姝は秦理に秋の遠足の費用を払うと提案するが、秦理は彼女が一緒でなければ意味がないと言う。黄姝はそれを嬉しく思うが、秦理と王頔の関係が悪化していることを心配していた。
その頃、王頔は全国作文コンクールで一等賞を受賞し、両親はそれを誇りに思い、屋台で客に自慢していた。時が経つにつれ、王頔と秦理の関係は徐々に悪化していく。ある日、馮雪嬌と王頔は病院で偶然高磊と出会い、連絡先を交換する。その後、彼らは過去を振り返る。馮雪嬌は王頔に、秦理との間に誤解があるのではないかと尋ねるが、王頔は、この世に完全に無私無欲な人間はいないと考えていた。
秋の遠足で、馮雪嬌は秦理と王頔の関係を修復しようとするが、うまくいかない。王頔は、秦理が黄姝を得て、自分を必要としなくなったと感じ、秦理もまた、王頔が高磊と親しくなり、自分から遠ざかったと感じていた。最終的に、彼らの友情は完全に壊れ、秦理が王頔に贈った野球カードも高磊のものにすり替えられてしまう。
胡開智が高磊のAVを見ているところを教頭に見つかり、王頔は弁解しようとするが、事態はますます複雑になる。その後まもなく、范先生は母親が交通事故に遭ったという知らせを受け、急いで病院へ向かう。治療には多額の費用が必要となり、王頔は高磊に助けを求め、この件を秘密にしてほしいと頼む。
別の場面では、秦理は黄姝を探しに小屋へ行くが、その時、馮雪嬌から学校を守るのを手伝ってほしいと電話がかかってくる。秦理が学校に駆けつけると、ボイラー室の設備から異常な煙が出ているのを発見する。不幸なことに、ボイラー室は爆発し、この突然の出来事は物語全体の転換点となる。
第12話は、秦理が孤独と友人を失った苦しみに直面する場面で終わり、同時に将来起こりうる大きな変化を予感させる。若者たちの物語は波乱と成長に満ちており、彼らの選択が未来の道を形作っていく。
第12話の感想
『臆病者』第12話は、過去と現在が交錯し、登場人物たちの心の葛藤が深く描かれた回でした。2025年の秦理が抱える孤独と喪失感は、過去の出来事の積み重ねによるものであり、その対比が胸に迫ります。特に、黄姝が既に亡くなっているという事実は、視聴者にとっても衝撃的でした。
2000年を舞台にした物語では、秦理と王頔の関係の悪化が中心に描かれています。些細な誤解や行き違いが、友情に亀裂を生じさせていく過程は、誰もが経験しうる普遍的なテーマであり、共感を覚えます。また、学校という閉鎖的な空間における人間関係の難しさも、リアルに表現されていました。
つづく