2025年3月3日、物語は2000年12月の秦理と黄姝の過去を振り返る。新年を迎えようとする中、二人は共に新年を祝う計画を立てていた。黄姝は秦理に最高級の補聴器をプレゼントすることを約束する。それは彼が世界の美しい音を聞けるようにするためだった。さらに、彼女はかつて約束した誕生日プレゼント、つまり彼女自身を贈るつもりだった。
一方、馮国金は曹猛を見送り、酒を酌み交わす。曹猛は過去の過ちを悔い、秦理と黄姝の事件に関する疑問を馮国金にぶつける。馮国金は、秦理が殷鵬を誘拐し、殺害したことを説明する。秦理は殷鵬が曾艶の遺体を埋めているのを目撃し、黄姝の事件と結びつけるため、遺体を「鬼楼」に運び遺棄したのだった。
范先生は馮国金に電話をかけ、学校の教頭を告発したいと告げる。彼は過去に秦理を不当に扱ったことを深く悔いていた。馮雪嬌は黄姝の母、汪茹を訪ね、黄姝が友人たちの長所を常に語っていたことを知り、自分は友人失格だと慚愧の念に駆られる。
黄姝は、張強が残した医療器具店の外で最高級の補聴器を購入する。帰り道、彼女は王頔とその母親が露店を出しているのを見かけるが、声をかけずに立ち去る。その後、彼女は農薬店で農薬を購入し、コーラに混ぜて飲みながら歩き出す。かつて4人でよく訪れたハンバーガーショップの前を通るが、もはや彼女にとってはどうでもいいことだった。彼女はただ、早く秦理に会いたいと願っていた。
小屋に戻った黄姝は、秦理に補聴器を付けてあげる。音が聞こえるようになった秦理に、黄姝は殷鵬に性的暴行を受けたことを告白する。しかし、彼女は秦理が音を聞けるようになることだけを考えていた。黄姝は毒を飲みながら話し続け、秦理は彼女に病院へ行くよう懇願するが、彼女は自ら命を絶つことを選ぶ。秦理も残りの毒を飲み、共に死のうとする。しかし、秦天が帰宅し、事態に気づく。彼は秦理を病院に連れて行き胃洗浄を受けさせ、黄姝の遺体を埋めようとするが、検問に遭遇し、遺体を鬼楼に運び込むことになった。
1年後、王頔に子供が生まれる。子供を抱き、昔の詩を読む馮雪嬌は幸せを感じるが、王頔の変化に気づき、不安を覚える。馮国金は湖で釣りをしながら劉平と秦理と黄姝の事件について語り合い、子供たちは皆良い子だったのに、このような結末を迎えたことを嘆く。劉平は秦理の家で黄姝のビデオテープと、馮国金宛ての手紙を見つける。手紙には、秦理が自分の方法で真実を明らかにし、兄の秦天の無実を証明したいという決意が記されていた。
最後に、王頔は子供の満月祝いの後、再び鬼楼を訪れる。馮雪嬌は彼を追う。二人は秦理との過去を思い出し、王頔は秦理の気持ちを理解しようとする。防空壕の中で、彼らは4人の写真と、秦理が言っていた星を見つける。王頔は病院を訪れ、話せるようになった秦理を見舞う。秦理の目には温かい光が宿っていたが、すぐそばで劉平が手錠を持って待っていることに気づき、これから負うべき責任と罰を予感する。
最終回 第16話の感想
「臆病者」最終回は、過去と現在が交錯し、登場人物たちの心の葛藤と運命が描かれた、非常に重厚な物語だった。特に、黄姝が秦理のために補聴器を用意し、自らの壮絶な過去を告白するシーンは、彼女の深い愛情と絶望が痛切に伝わり、涙なしには見られなかった。秦理と黄姝が共に死を選ぼうとする場面は、極限状態における人間の弱さと、それでもなお互いを思いやる心の強さを感じさせた。
秦天の行動や、王頔の変化など、謎めいた部分も多く残されており、視聴者に解釈を委ねる形となっている。全体を通して、人間の暗部を描きながらも、希望や友情といった光も感じさせる、見応えのある最終回だった。それぞれのキャラクターが背負う運命と、彼らが下す決断は、善悪だけでは割り切れない人間の複雑さを浮き彫りにしている。