2025年、大椋国と尉国の和平交渉が大椋国の首都、慶康の芳林苑で行われることになった。厳重な警備の中、後宮の厨房では、料理人や給仕たちが尉国の使節団をもてなすための料理の準備に追われていた。
江慈は混乱に乗じて美酒を一本手に入れ、静かな場所で一人楽しもうとしていた。その時、華やかな衣装を著た蓮児が急ぎ足で通り過ぎるのを目撃する。蓮児は美しいが、その表情は冷淡だった。江慈は気にせず、巡回の護衛を巧みにかわし、大樹の下で酒を味わうことにした。江慈は剣鼎侯・裴琰に会えることを期待し、月落で霊柩花を採取することを決意する。
しかし、江慈の行動は銀の仮面をつけた男に見られていた。江慈が酒に酔いしれていると、銀面の男は突然剣を突きつけ彼女を脅す。江慈は驚き、銀面の男は彼女の叫び声が尉国の使者に届くのを恐れ、口を塞いだ。その際、銀面の男は江慈が月落の通行証を持っていることに気づき、とどめを刺すのをためらう。
尉国の使節団が予定通り到著し、鴻臚寺卿の滕瑞が率いていた。銀面の男は滕瑞を見て警戒し、江慈への拘束を少し緩め、彼女は逃げ出すことができた。滕瑞と使節団が席に著くと、裴琰が馬で駆けつける。滕瑞は部下の雷将軍に裴琰へ牽製するよう指示するが、裴琰は雷将軍が投げた茶碗を難なく受け止め、落ち著いて滕瑞の隣に座った。
和平交渉が始まり、蓮児が戦いの舞を披露し、滕瑞の賞賛を得る。舞の後、蓮児は酒を手に滕瑞に近づく。雷将軍は毒を疑い、その場で検めるよう求める。しかし、滕瑞はためらうことなく酒を飲み幹し、蓮児を抱き寄せた。この光景に江慈は疑問を抱き、蓮児が滕瑞に近づくことを望んでいないように見え、彼女への疑念を深める。
銀面の男が滕瑞を暗殺しようとした時、裴琰は蓮児の行動に気づき、その動機を問う。蓮児は滕瑞を慕っていると主張し、滕瑞は彼女をかばう。その間、江慈は銀面の男に抵抗しようとするが、再び捕らえられる。物音を聞きつけた護衛たちが駆けつけ、銀面の男は形勢不利と見て、滕瑞に矢を放つ。蓮児もこの暗殺に加担していた。雷将軍は必死に滕瑞を守り、銀面の男は蓮児を逃がし、裴琰は負傷した江慈を救出し、屋敷に連れて帰り治療を受けさせる。
銀面の男の正体は大椋国の光明司指揮使、衛昭だった。彼は職権を乱用し、悪事を重ね、悪名高い人物である。船に戻り蓮児と合流した衛昭は、次の計画を立て始めると同時に、斉王の護衛である王世荃の行方を追っていた。衛昭は様々な手段で尉国の鴻臚寺卿・滕瑞と王世荃の関係を探り、「天下坤輿図」の偽情報で滕瑞を和平交渉に誘い出し、暗殺しようと企てていた。
最終的に、裴琰の介入により衛昭の計画は失敗に終わる。裴琰は滕瑞の安全を守るだけでなく、刺客の身元を追跡することにも尽力する。重傷を負い昏睡状態の江慈を救うため、裴琰は名医の崔亮を呼び、千年雪蟾丸の使用を検討する。同時に、裴琰はより大きな責任を負い、真実を明らかにし、和平交渉を成功させ、国への約束を果たすことを決意する。
『流水舞花~遥かなる月落城~』第1話感想
『流水舞花~遥かなる月落城~』第1話は、スピーディーな展開と魅力的なキャラクター、そして巧妙に張り巡らされた伏線で、一気に物語の世界に引き込まれました。大椋国と尉国の和平交渉という緊迫した状況下で、様々な思惑が絡み合い、先の読めない展開にハラハラドキドキさせられます。
特に印象的だったのは、江慈、蓮児、そして銀面の男の三者三様の動きです。江慈の奔放さ、蓮児の秘めたる想い、衛昭の冷酷さが、物語に深みを与えています。また、裴琰の登場シーンは、彼の武術の腕前と冷静沈著さを際立たせ、今後の活躍に期待が高まります。
アクションシーンも見応えがあり、特に蓮児の舞は美しく、そしてどこか哀愁を帯びていました。 全体的に、登場人物たちの背景や関係性がまだ完全に明らかになっていないため、今後の展開でどのように謎が解き明かされていくのか非常に楽しみです。
つづく