裴子放は、衛昭と裴琰がそれぞれ西の食糧倉庫と城西の廃寺の調査に向かったと聞き、事の露見を恐れます。そこで、裴英に何永林の部下である趙大らを率いさせ、廃寺にいる者たちを口封じのために襲撃させます。裴英は身元がばれないよう、覆面を著用。飢民たちは無残に斬り殺され、江慈は怯えて隠れますが、結局捕まってしまいます。江慈は衛昭の名前を出して威圧しようとしますが、裴英は動じません。仕方なく、江慈は衛昭から渡された光明司の令牌を見せ、隙を見て縄を解きます。
光明司は大椋皇帝・謝澈にのみ忠誠を誓う、朝廷の他の部門から独立した権力機関です。衛昭の冷酷さを知る裴英は、事が長引くことを恐れ、趙大に江慈を殺すよう命じます。絶体絶命の危機に、江慈は素早く逃げ出しますが、すぐに裴英に捕まります。危機一髪のところで、衛昭と裴琰が駆けつけ、悪党たちを製圧し、江慈を救出します。しかし、ひょんなことから二人は井戸に落ちてしまい、衛昭は必死に縄につかまり助けを求めます。そこに易飛が現れ、二人を救い上げます。
裴英は覆面を取り、裴琰に助けを求めますが、裴琰はそれを無視し、江慈を気遣います。江慈は以前の賭けの景品として、衛昭から光明司の令牌を取り返します。裴琰は衛昭にどうやって江慈を見つけたのか尋ねますが、衛昭は適当な言い訳でごまかします。
裴琰は八大食糧倉庫の問題に裴家の一族が関わっていることを突き止め、決して身内を庇うことはしないと誓います。何振文が帳簿を改ざんするのを防ぐため、衛昭はすぐに刺史府へ行き、鋳造司の帳簿を調べることにします。江慈を同行させ、易飛には八大食糧倉庫の帳簿を持ってくるよう命じます。詳細な調査の結果、鋳造司は借金で穴埋めをしており、さらに余剰金があることが判明。何振文は責任逃れをしますが、衛昭は酔紅楼の妓女たちに証言させ、何振文親子の罪を暴きます。さらに、裴英を呼び出し、飢民殺害は彼が指示したことだと証言させます。
何振文は裴子放に責任を押し付け、裴子放は軍資金の不足を補うために八大食糧倉庫の資金を流用し、古い米を新しい米と偽って米屋で販売したことを認めます。裴琰は、この件を徹底的に調査し、裴家を庇うことはしないと公言し、3日以内に衛昭に回答することを約束します。江慈は崔亮に病気の妓女を助けてくれるよう頼み、裴琰はこれを承諾します。
その夜、裴琰は一族を集めて宴を開き、皆に謝罪します。裴子放は軍需物資横領事件の処理について知りたがりますが、裴琰は直接答えません。酔紅楼の妓女が花柳病にかかり、崔亮は薬を処方し、江慈は自ら薬を煎じます。また、衛昭のために打ち身の薬を用意します。江慈の献身的な看病に衛昭は心温まり、その顔を見つめながら、思わず情が移ってしまいます。
江慈は飢民たちを助けたいと思いますが、自分の力の無さを痛感します。裴琰は過去の裴子放の助けに感謝していますが、宴の席でわざと酔ったふりをし、裴家が新たに役人を選ぶ可能性があることをほのめかし、一族同士の密告を誘います。裴子放はこれが罠だと気づき、裴琰を問い詰めますが、裴琰は彼を追い出し、家の門に見張りをつけます。
第14話の感想
「流水舞花~遥かなる月落城~」第14話は、陰謀と策略が渦巻く中で、登場人物たちの人間関係がより複雑に絡み合い、目が離せない展開でした。
特に印象的だったのは、江慈が光明司の令牌を使って危機を脱する場面。衛昭の冷酷さの裏にある優しさや、裴琰の正義感と葛藤が垣間見え、物語に深みが増していました。また、井戸に落ちるというアクシデントを通して、衛昭と江慈の距離が縮まる様子も微笑ましかったです。
裴子放の焦りや、裴琰の巧妙な罠など、権力争いの描写もスリリング。飢民を救おうとする江慈の純粋な気持ちと、それを取り巻く大人たちの思惑の対比が、物語のテーマを際立たせています。
つづく