南霊の故郷、長風塢で、容玉蝶ようぎょくちょうは腹心から裴琰はいえん江慈こうじの動向を聞きます。裴琰はいえん阿顔あがんを長風塢に住まわせたことを知り、容玉蝶ようぎょくちょうは碧荷山荘に武器を隠し、裴家再興を企てます。一方、碧荷山荘では、何振文か・しんぶんが武器密造の秘密を裴琰はいえんに知られることを恐れ、杜ママに対策を相談。杜ママは、何があっても裴琰はいえんに秘密を知られてはならないと警告します。

何永林か・えいりん衛昭えいしょうに手のひらを刺され苦しみ、父の何振文か・しんぶんは復讐を誓います。裴琰はいえんの捜査を阻止するため、何振文か・しんぶん阿顔あがんを利用し、何永林か・えいりんに偽情報を流させます。焼けた職人の遺品が鋳造司の作業小屋にあると嘘をつき、阿顔あがんを誘い出そうとします。しかし、裴琰はいえん安澄あんちょう童敏どうびん鄭生ぢょんしょんと同じ作業小屋の職人を探させますが、手がかりは得られず、焦ります。そんな裴琰はいえんを励まそうと、江慈こうじは手作りの菓子を作ります。

衛昭えいしょう阿顔あがんに事件について尋ねますが、阿顔あがんは答えません。その時、阿顔あがんは作業小屋で職人の遺品が見つかったという話を偶然聞き、夜中に侯府を抜け出します。江慈こうじ阿顔あがんがいなくなったことに気づき、衛昭えいしょうに助けを求めます。阿顔あがん何永林か・えいりんの罠にはまり、ひどい怪我を負います。衛昭えいしょう江慈こうじは探し回り、鋳造司の作業小屋で阿顔あがんを見つけます。江慈こうじは傲慢な何永林か・えいりんに立ち向かい、衛昭えいしょうも駆けつけ何永林か・えいりんを懲らしめます。

絶望した阿顔あがんは自ら命を絶とうとしますが、江慈こうじ衛昭えいしょうの励ましで生きる希望を取り戻し、真実を明らかにすることを誓います。衛昭えいしょう易飛えきひに命じて何永林か・えいりんらを連行し、街中を引き回した後、刺史衙門へ連れて行きます。何振文か・しんぶん裴琰はいえんも駆けつけます。阿顔あがん何永林か・えいりんの悪事を訴え、何振文か・しんぶんは息子のために弁護し、裴琰はいえんに治療のため一刻の猶予を求めます。その最中、裴琰はいえんは母、容玉蝶ようぎょくちょうの玉佩を見つけ、裏の陰謀に気づきます。

裴琰はいえんは一刻後に審理を行うことを決め、衛昭えいしょうを陪審員に招きます。審理で阿顔あがんは、鋳造司が粗悪な材料を使い、火事を起こして鄭生ぢょんしょんを殺害したことを暴露します。何振文か・しんぶんは弁解しますが、証拠は明らかです。裴琰はいえんは、江慈こうじ阿顔あがんの信頼を裏切りたくない、しかし母の長年の努力も無駄にしたくないというジレンマに陥り、三日後に判決を下すと宣言します。江慈こうじ衛昭えいしょう裴琰はいえんに失望し、阿顔あがんと共に刺史衙門を去ります。このエピソードでは、登場人物たちの複雑な関係や心の葛藤が描かれ、物語が大きく動きます。

第16話の感想

第16話は、陰謀と裏切り、そして正義を求める者たちの葛藤が入り混じり、非常に見ごたえのある回でした。阿顔あがんが罠にはめられ、傷つく姿は痛々しく、彼女の絶望からの再生には胸を打たれました。江慈こうじ衛昭えいしょうの友情、そして阿顔あがんを支える姿も印象的です。

特に、裴琰はいえんの苦悩が深く描かれていた点が心に残ります。母の陰謀を知り、愛する者たちと母の間で板挟みになる彼の姿は、見ていて辛いものがありました。正義を貫きたい気持ちと、母を思う気持ちの狭間で揺れ動く彼の決断が、今後の物語を大きく左右するでしょう。

何振文か・しんぶんの悪事も明らかになり、物語はクライマックスに向けて加速しています。証拠を前にしてもなお、息子を守ろうとする何振文か・しんぶんの姿には、親としての情も感じられましたが、彼の悪行は見過ごせるものではありません。

つづく