裴琰は調査の結果、衛昭が滕瑞を暗殺した銀面の刺客であると確信し、決定的な証拠となる暗器入りの箱を見つける。裴琰は江慈を連れて慶康に戻り、大梁帝の謝澈に報告しようとするが、箱は盗まれ、江慈も姿を消してしまう。裴琰は衛昭の仕業だと考え、直接問い詰める。しかし、衛昭は何も知らず、裴琰は彼の住処を探し回るが見つからず、怒りを募らせる。江慈への想いが日に日に深まる中、彼女に真実を隠されていたことに気づく。
裴琰と衛昭の対立は激化し、二人は激しく殴り合う。易飛と童敏らはそれぞれの主人を庇い、激しい口論となる。安澄はその隙に衛昭の住処に戻り、江慈を探すが、見つからない。衛昭は急いで住処に戻るが、江慈の姿はなく、激怒する。結局、衛昭は裴琰を強引に追い返す。
衛昭は、裴琰が大梁帝に自分の正体を明かすことを恐れ、長年の計画が水の泡になることを危惧する。彼は易飛に命じて何振文を探させ、裴琰を脅迫できる証拠を手に入れようとする。一方、江慈は外の騒ぎを聞き、隠れていた戸棚から屋根裏へと逃れる。衛昭が部屋に戻ってきた際、江慈は屋根裏から飛び降りるが、誤って衣が引っかかり、衛昭の上に落ちてしまう。初めての近距離に、二人は顔を赤らめる。
裴琰は江慈が衛昭の部屋に隠れていると信じ、安澄と童敏に衛昭の住処を監視させる。崔亮は自ら江慈を城外へ送り出し、裴琰に彼女を諦めるよう説得する。しかし、裴琰は以前から崔亮を疑っており、彼を長風塢から出られないように罰する。裴琰は衛昭を告発する重要な証拠を失い、衛昭が何振文に帳簿を要求することを恐れ、何振文を厳重に監視する。
江慈は暗器を衛昭に返し、師匠との合流を急ぐ。衛昭は裴琰が罠を仕掛けている可能性を考え、江慈に男装をさせ、南霊から脱出させる機会を約束する。江慈は自分が作った泥人形の猫を取り出し、衛昭はそれを記念に奪い取る。二人は同じ部屋で過ごし、別れが近いことを感じ、複雑な心境になる。
何振文は長風塢の地下牢に監禁され、息子の何永林の仇を裴氏一族に討つことを誓う。裴琰は夜中に帳簿を要求するが、何振文は拒否する。裴琰はこれを予期しており、部下を城外で待機させていた。何振文は盧瑜と容玉蝶の帳簿を慶康に送るが、安澄と童敏に奪われる。しかし、もう一冊の帳簿は覆面をした者に奪われてしまう。
裴琰の部下は盧瑜と鋳造司の帳簿を取り戻し、裴琰はもう一冊の帳簿が衛昭の手に渡ったと推測する。案の定、衛昭は易飛に命じて容玉蝶と鋳造司の帳簿を奪い、裴琰を脅迫する材料を手に入れる。衛昭は事態を静観し、大椋帝の謝澈に密書を送り、鋳造司が軍需品を横流ししていることを報告するが、黒幕については言及しない。謝澈は密書を受け取り、裴家と鋳造司の癒著を疑い、剣鼎侯府を包囲する。家令は急いで南霊の裴琰に知らせ、裴琰はすぐに慶康に戻る。
衛昭は裴琰が去ったことを知り、彼が母親の容玉蝶を救うために盧瑜の帳簿を朝廷に提出すると確信する。そこで、彼はまず江慈を裕洲島に送り、その後月落城の城主選抜に参加することを決める。夜、江慈は眠れず、衛昭の端正な顔を見つめ、彼の隣で眠りにつく。翌朝、衛昭が目を覚ますと、江慈は彼の首に腕を回し、「師父」と呼んでいた。衛昭は驚き、慌てて江慈から離れる。そこに易飛が調査結果を報告しに現れ、気まずい雰囲気は中断される。
易飛は裕洲島を調査し、燕喬霜の居場所を突き止める。しかし、長風塢の者たちも情報を探っていたため、燕喬霜はすぐに姿を消す。易飛は、燕喬霜が江家村で一人の少女と暮らしていたこと、二ヶ月前に師弟が突然失踪し、住居が焼失したことを知る。衛昭はこの知らせに衝撃を受ける。彼が追い求めていた仇敵、燕喬霜は江慈の師匠だったのだ。熟慮の末、衛昭は江慈を裕洲島に送ることを決める。
裴琰は慶康に戻り、盧瑜と鋳造司の癒著を示す帳簿を謝澈に提出し、何振文と裴氏一族の罪については言葉を濁す。謝澈は裴琰の働きを称賛し、母親の容玉蝶に会うため帰宅させる。裴琰は大雨の中、容玉蝶に問責を求めるが、彼女は会おうとしない。裴琰は雨に打たれながら、外で跪き続ける。
衛昭は江慈を裕洲島に連れて行き、約束の場所で連絡人を待つ。数日が過ぎても誰も現れない。衛昭は不憫に思い、易飛に偽の連絡人を探させ、次の行動を待つことにする。
第19話 感想
第19話は、物語が大きく動いた回でした。裴琰と衛昭の対立が激化し、二人の直接対決は迫力満点。同時に、江慈を巡るそれぞれの想いが交錯し、切ない展開となりました。特に、江慈が衛昭に落ちてしまうシーンは、二人の距離が縮まるドキドキする場面でありながら、今後の波乱を予感させます。
また、裴琰が真実を追究する一方で、衛昭の過去や秘密も徐々に明らかになり、物語に深みが増しています。それぞれのキャラクターの思惑が絡み合い、先の読めない展開に目が離せません。個人的には、江慈の師匠である燕喬霜の登場が、今後の物語にどう影響するのか非常に気になります。
さらに、帳簿を巡る攻防や、大椋帝・謝澈の動きなど、政治的な駆け引きも加わり、物語はますます複雑に。裴琰が母親に問責を求めるシーンは、彼の苦悩と決意が伝わってきて胸が痛みました。全体的に、緊張感と切なさが入り混じった、見応えのある回だったと思います。
つづく