あらすじ:范閑(ファン・シエン)が江南への旅路につく中、皇族や家族たちが見送りに。宗祠入り宣言で政局が動き出す一方、李承澤(リー・チェンザー)は明家と結託して暗躍を開始。船上では怪しい老人たちが接触を図り、江南では三大坊を巡る権力ゲームが熱を帯びる。愛と陰謀が交錯する大河ロマン、新たな章が幕を開けた!

第33話ネタバレ「江南に渦巻く陰謀 麒麟児の覚悟が試される時」

「そろそろ潮時だな」

船べりに手をかけた范閑(ファン・シエン)が呟くと、甲板の上で王啓年(ワン・チーニニン)が謎の贈り物を片手に苦笑いを浮かべていた。巨大な官船がゆっくりと水面を切り裂く中、彼の胸中は波立つ海のように騒がしい。

帝都最後の温情劇

「お前が我が家の血を継ぐ者だと、天下に示すのだ」

范建(ファン・ジエン)の声が港に響く。皇族たちが見守る中、范閑(ファン・シエン)は「江南から戻ったら正式に宗祠に入る」と宣言。李承乾(リー・ショウケン)が目を丸くして膝を叩く。「これで帝位争いから外れる!」と安堵する一方、李承澤(リー・チェンザー)は扇子をパタリと閉じ、薄笑いを浮かべていた。

涙ぐむ柳如玉(リウ・ルーユー)をよそに、范閑(ファン・シエン)の視線はただひとりを探していた。船の錨が上がりかけた瞬間──

「待って!」

林婉児(リン・ワンアル)が駆けつける姿に、范閑(ファン・シエン)の指先が震える。言葉はいらない。彼女の頬を伝う涙が、全てのわだかまりを洗い流した。

波間に漂う不穏な影

沙洲水域で始まった豪勢な接待劇。王啓年(ワン・チーニニン)が帳簿をパラパラめくりながら突然眉をひそめる。「おいおい、この『特産品』の中身がどう見ても人間ですぜ?」

幾艘かの小舟に乗った老人たちの目に、怨念が渦巻いていた。范閑(ファン・シエン)が懐中の短剣に手をかける。「明家の臭いがするな…」

その頃、江南の明家屋敷では緊迫した駆け引きが。李承澤が青磁の茶碗を床に叩きつけ「犬のごとき分際で主君を選ぶつもりか!」と怒鳴ると、奥の間から杖の音が響いてきた。

「若造の分際で…」

皺だらけの手で簾を開けた明老太太の目が光る。「三大坊を渡す? まさかねえ」

暗躍する刺客たち

「黄金千両で范閑の首を!」

李承澤の懸賞令が闇市を賑わせる中、江北の難民たちが金貨に目を輝かせる。一方、明青達(メイ・チンタ)は自らの指に短刀を突き立てながら「一族に裏切り者はおらん!」と叫んでいた。血の滴る指先が、畳に赤い花を咲かせる。

船室で地図を広げる范閑の耳に、波音が不気味に響く。暗闇から伸びる無数の手が、麒麟児の衣裾に触れようとしていた──

つづく