紀星ジー・シンは退社にあたり、同僚一人一人に心を込めたメッセージを残しました。社長でありながら、細やかな気配りで、それぞれの長所を見抜き、温かく包み込むような彼女の言葉に、皆、涙を流しました。こうして、紀星ジー・シンは自らの手で星辰シンチェン蘇之舟スー・ジーヂョウ栗俐リー・リーに託し、より良い未来へと導くよう激励しました。

全ての業務を終えた紀星ジー・シンは、休暇を取りました。韓廷ハン・ティンは何度も星辰シンチェンを訪ねますが、彼女に会うことは叶いません。栗俐リー・リー韓廷ハン・ティンに、紀星ジー・シンに時間を与えるよう告げます。こうして、紀星ジー・シン韓廷ハン・ティンの世界から完全に姿を消しました。韓廷ハン・ティンは深い悲しみに暮れ、家で紀星ジー・シンとの思い出に浸りながら、毎晩のように酒に溺れます。紀星ジー・シンが「お酒で全て忘れられる」と言っていた言葉を思い出し、アルコールアレルギーにも関わらず、飲み続けました。心配した肖亦驍シャオ・イシャオは頻繁に見舞いに訪れ、深夜には病院へ連れて行き、アレルギー治療を受けさせました。

街の反対側で新しい生活を始めた紀星ジー・シンですが、目の前には常に韓廷ハン・ティンの顔が浮かびます。どの街へ行っても、昼夜を問わず、韓廷ハン・ティンのことが頭から離れません。韓廷ハン・ティンもまた紀星ジー・シンを強く恋しく思っていました。普段は理性的な彼ですが、紀星ジー・シンの不在によって自暴自棄になり、見慣れた景色さえも冷たく感じます。二人がよく訪れた海辺に行くと、波の音と恋人たちの笑い声が聞こえてきますが、紀星ジー・シンのいない現実に、韓廷ハン・ティンの心は満たされません。

韓廷ハン・ティンの憔悴した様子を見た肖亦驍シャオ・イシャオ路林嘉ルー・リンジアは、何とか彼を立ち直らせようと手を尽くします。唐宋タン・ソンたちは、韓廷ハン・ティンのために人形劇を披露しました。子供っぽい内容でしたが、久しぶりに韓廷ハン・ティンの顔に笑みが戻りました。しかし、劇の内容から、紀星ジー・シンに「星辰シンチェンを吸収するつもりはない」と約束しながら、結局は裏切ってしまったことを思い出し、韓廷ハン・ティンは罪悪感に苛まれます。

肖亦驍シャオ・イシャオはこの人形劇を通して、紀星ジー・シン韓廷ハン・ティンは住む世界が違うことを伝えようとしました。経験豊富な狩人と無垢なウサギのような二人には、どうしても溝ができてしまう、だから紀星ジー・シンは去ったのだと。

紀星ジー・シンはドイツへ渡り、人工知能の研究を続けていました。そこで、人工知能分野で著名な中国人留学生、秦立チン・リーと出会います。秦立チン・リーは自身の技術を中国に持ち帰りたいと考えていましたが、指導教授は彼を引き留めようと説得を続けていました。

瀚海と合併した星辰シンチェンは、仕事を与えられず、技術部門は徐々に空洞化しつつありました。栗俐リー・リーは焦燥感を募らせますが、蘇之舟スー・ジーヂョウは技術部と大きなプロジェクトを進めていると、謎めいた笑みを浮かべます。

路林嘉ルー・リンジアの母は、息子が家に寄り付かなくなったため、病気を装います。家政婦と示し合わせて、家政婦は路林嘉ルー・リンジアに休暇を申し出ます。母の看病が必要になった路林嘉ルー・リンジアに、塗曉檬トゥー・シャオモンが申し出て、快諾されます。

第33話の感想

第33話は、紀星ジー・シン韓廷ハン・ティンの別れがもたらす喪失感と、それぞれの新たな道を模索する姿が描かれた、切なくも希望を感じさせるエピソードでした。

紀星ジー・シンの同僚への温かいメッセージは、彼女のリーダーシップと人間性を改めて際立たせていました。会社を去る寂しさよりも、未来への希望を託す彼女の強い意志が感じられ、感動的でした。一方で、韓廷ハン・ティンの悲しみは深く、アルコールに溺れる姿は見ていて辛いものがありました。彼の紀星ジー・シンへの想いの強さが、逆に二人の間の溝の深さを浮き彫りにしているようでした。

肖亦驍シャオ・イシャオの人形劇は、一見コミカルながらも、二人の関係性を鋭く指摘しており、印象的でした。狩人とウサギの喩えは、二人の立場の違い、そして埋められない溝を象徴しているように感じました。紀星ジー・シンは、自分の夢を追いかける中で、韓廷ハン・ティンとの未来に限界を感じていたのかもしれません。

つづく