紀星ジー・シンは目を覚ますと、栗俐リー・リーが傍らに付き添っていることに気づいた。直前に栗俐リー・リーから10万円を借りたものの、それが水の泡になったことを思い出し、紀星ジー・シンは苦い気持ちになった。栗俐リー・リーは気にしなくていいと慰め、会社設立したばかりで倒産したわけでもないのだから、気にする必要はないと励ました。

韓廷ハン・ティンは部下に紀星ジー・シンの状況を見守るよう指示しており、退院を知ると再び陰ながら支援しようと考えた。紀星ジー・シンは携帯を開くと、彼氏から何度も着信があったことに気づいた。どうやら邵一辰シャオ・イーチエンの父親が詐欺事件に巻き込まれたらしく、彼は実家に帰って対応に追われているようだった。

短い休息の後、紀星ジー・シンは再び仕事に没頭した。資金調達が難航し、従業員への給料の支払いが数日遅れることを説明したが、従業員たちは理解を示し、紀星ジー・シン蘇之舟スー・ジーヂョウに休むよう勧めた。

会社の経営は窮地に陥り、蘇之舟スー・ジーヂョウはもう限界だった。彼は詳細な計画表を紀星ジー・シンに見せ、韓廷ハン・ティンとの提携を再検討するよう促した。強力な後ろ盾があれば、その後のソフトウェア開発や運用もスムーズに進むだろうという考えだった。二人が検討している最中、韓廷ハン・ティンの姉から突然の招待を受けた。

唐宋タン・ソンは姉の動きを韓廷ハン・ティンに報告し、今すぐ阻止すべきかどうか尋ねた。蘇之舟スー・ジーヂョウたちは窮地に立たされており、姉からの招待を藁にもすがる思いで受け入れる可能性が高かったからだ。しかし韓廷ハン・ティンはそれを止めなかった。起業の道には多くの困難がつきものであり、強い意志と冷静な判断力が必要だと考えた。もし紀星ジー・シンにそれだけの見極める力がないのなら、この先成功するのは難しいだろうと判断したのだ。

紀星ジー・シン蘇之舟スー・ジーヂョウは東科との交渉に臨んだ。韓廷ハン・ティンの姉は1000万元の追加投資を提案したが、その代わりに3分の1強の株式を要求してきた。紀星ジー・シンが今後の開発チームの体制について質問すると、姉は明確な回答を避けた。紀星ジー・シンは迷い始めたが、蘇之舟スー・ジーヂョウは乗り気だった。彼は紀星ジー・シンに先のことを考えるなと説得し、今は会社の存続のために資金調達が必要なのだから、まずは融資を受けて会社を維持し、後のことはそれから考えればいいと主張した。

蘇之舟スー・ジーヂョウの考えは短絡的だった。紀星ジー・シンは東科の経営方針や過去の買収事例を調べた結果、東科は融資を足掛かりに企業の株式を希薄化させ、最終的に経営権を掌握するという手法を繰り返してきたことがわかった。あらゆる可能性を検討した紀星ジー・シンはすぐに東科へ行き、融資を断った。

唐宋タン・ソンから報告を受けた韓廷ハン・ティンは、すぐに紀星ジー・シンに会いに行った。彼は姉と似た条件を提示したが、紀星ジー・シンのソフトウェア開発チームだけを使い、他のメンバーを加えることはないと約束した。韓廷ハン・ティンの約束を受け、紀星ジー・シンは安心して契約を結んだ。

邵一辰シャオ・イーチエンが帰ってくることを聞いた紀星ジー・シンは、すぐに空港へ迎えに行った。邵一辰シャオ・イーチエンは常に紀星ジー・シンの事業を応援しており、良い知らせを聞いて心から喜んだ。韓廷ハン・ティン紀星ジー・シンに契約書を渡し、彼女がサインする様子、そして左手の薬指に光る婚約指輪を見た。韓廷ハン・ティンの心は複雑な思いでいっぱいになった。10年間片思いしていた女性が、他の男のものになろうとしていたのだ。

星辰シンチェン公司は無事資金調達に成功し、全従業員に給料とボーナスが支払われた。皆、今後の仕事に意欲を燃やしていた。栗俐リー・リーは以前から繋がりのあった医療機器関連の顧客を紹介した。蘇之舟スー・ジーヂョウは彼女に会うたびに心を奪われ、アプローチを始めた。毎回断られているにもかかわらず、彼は諦めずにいた。

邵一辰シャオ・イーチエン紀星ジー・シンと食事をした。彼女はいつも仕事の話で活気に満ちており、結婚の話には全く触れないことに、彼は少し寂しさを感じていた。夜、紀星ジー・シン邵一辰シャオ・イーチエンを映画に誘い、仕事が落ち着いたら一緒に彼の両親に会いに行くと約束した。邵一辰シャオ・イーチエンは何も答えず、話題を変えて映画を見るよう促した。

第8話の感想

第8話は、紀星ジー・シンの会社、星辰シンチェンがまさに崖っぷちに立たされる緊迫感あふれる展開でした。資金調達の難航、従業員への給料の遅配など、リアルなスタートアップの苦境が描かれており、見ているこちらもハラハラさせられました。特に、蘇之舟スー・ジーヂョウの焦りからくる短絡的な判断は、経営者として未熟ながらも人間味を感じさせる描写でした。

対照的に、紀星ジー・シンは冷静さを保ち、目の前の困難に果敢に立ち向かいます。東科の甘い誘いに乗らず、その裏にある危険をしっかりと見抜く彼女の洞察力と決断力は、まさに真のリーダーと言えるでしょう。韓廷ハン・ティンの姉の策略を見破るだけでなく、韓廷ハン・ティン自身からの申し出にも慎重に対応する姿は、彼女の賢明さを際立たせていました。

つづく