あらすじ

第70話では、曹爽(そうそう)が権力を握り始め、司馬懿(しばい)との対立が深まります。曹爽は傲慢で狡猾な人物として描かれ、司馬懿は老獪で慎重な戦略家として描かれています。また、司馬家の息子たちも登場し、それぞれの性格や役割が明らかになります。辟邪(へきじゃ)の悲劇的な最期も印象的です。

ネタバレ

新たな権力者、曹爽の登場

曹爽(そうそう)が新官として登場し、司馬懿(しばい)と共に内宮へ。曹爽は内廷を整理しようと、大内官たちを叱責します。彼は司馬懿(しばい)を巧みに遠ざけ、新任の大内官である韓琳(かんりん)を取り込もうとします。

幼帝曹芳と郭太后(かくたいごう)

内宮では、司馬懿(しばい)と曹爽が幼い皇帝・曹芳(そうほう)に謁見します。曹芳が幼いため、郭(かく)太后が同席し、垂簾聴政を行います。郭太后(かくたいごう)は、自分は女なので、今後の朝廷のことは司馬懿と曹爽の二人に頼ると言います。太子の前で、司馬懿の落ち着きと礼儀正しさ、曹爽の粗暴さが対照的に描かれます。郭太后は、司馬懿と曹爽の一族を重用し、先帝が残した問題である前朝の大内官・辟邪(へきじゃ)を排除しようとします。

辟邪の逮捕と曹爽の野望

太后の命を受け、曹爽と司馬懿は兵を率いて内廷へ行き、辟邪を逮捕します。曹爽はすぐに辟邪を殺そうとしますが、司馬懿は先帝の遺体がまだ冷たいうちに殺すのは良くないと反対します。曹爽は辟邪を権力を乱用し、主君を惑わせたとして、衣服を剥ぎ取り辱めます。辟邪が残した宝飾品を見て、欲深い曹爽はそれを自分のものにしようと考えます。司馬懿はすべてを見抜いています。

司馬家の息子たち

司馬府では、大内官の韓琳が勅命を伝えに来ます。新帝は司馬懿の長男・司馬師(しばし)を散騎常侍中護軍に任命し、宮中の警備を担当させ、次男・司馬昭(しばしょう)を典農中郎将に任命し、洛陽で屯田を行います。司馬昭(しばしょう)は自分が閑職に就かされたことに不満を持ちますが、司馬懿は、これは自分が与えたものであり、司馬昭(しばしょう)の気性を鍛えるためだと叱責します。司馬懿は司馬昭に五禽戯の図を渡し、心身を鍛えるように言います。司馬昭は不満ながらも、父の指示に従います。

曹爽への贈り物と司馬師(しばし)の不満

夕方、曹府には贈り物を届けに来る人々が絶えません。曹爽の直属の部下である司馬師(しばし)は曹爽に会いに来ますが、曹爽は司馬師を軽視し、夏侯玄(かこうげん)の面子も潰します。司馬師は怒りを覚えます。夏侯玄は、幼い皇帝と疑心暗鬼の世の中で、補佐役の仲が悪ければ、将来が心配だと考えます。

丁謐と何晏の策略

司馬師が帰った後、曹爽の友人である丁謐(ていひつ)と何晏(かあん)が訪ねてきます。曹爽は二人をもてなします。丁謐は曹爽の無礼な振る舞いをたしなめ、人心を掌握し、司馬懿の名声を利用して徐々に権力を握るべきだと助言します。何晏は、司馬懿の次男・司馬昭を試す役目を買って出ます。何晏は曹爽に昔の知り合いである蒹葭(けんか)を紹介します。曹爽は蒹葭に心を奪われ、喜びます。

司馬倫と柏霊筠(はく れいいん)

司馬府の西院では、司馬倫(しばりん)が母親の柏霊筠(はく れいいん) に、自分にも官職を与えてくれるよう司馬懿に頼んでほしいと懇願します。しかし、柏霊筠(はく れいいん) はまだその時ではないと言います。柏霊筠は司馬倫に、司馬懿は司馬昭を嫌っているように見えて、実は育てているのだと教えます。これは司馬懿の「大象無形」の韜晦であり、司馬倫に我慢強く自分を鍛えるように言います。柏霊筠は司馬懿を理解していますが、正妻の張春華(ちょうしゅんか)は夫の考えを理解できず、司馬懿が息子と喧嘩していると思っています。司馬懿は張春華(ちょうしゅんか)に、司馬昭に畑仕事をさせるのは、彼の気性を穏やかにし、「春に種をまき、秋に収穫する」という素朴な真理を理解させるためだと説明します。

曹爽の夜

深夜、曹爽の邸宅では歌や踊りが盛んです。丁謐は司馬懿に、大将軍と太尉はどちらも名ばかりの役職で、実権は兵権にあると分析します。

辟邪の最期

牢獄で、司馬懿は裸で拘束されている辟邪に衣服を届けます。辟邪は、以前何度も司馬懿を困らせたのに、なぜ恨まないのかと尋ねます。司馬懿は過去のことは気にしません。現在の状況について、司馬懿は魏を内乱に陥らせないようにし、辟邪を救い出す方法を考えます。しかし、辟邪は死ぬ覚悟を決めており、死後は先帝・曹叡(そうえい)の陵墓の下に埋葬してほしいと願います。司馬懿が去る時、辟邪は彼を人間として扱ってくれたことに心から感謝します。

つづく