あらすじ

趙子龍(ちょうしりゅう)は、柳擎児(りゅうけいじ)を失い、高則(こうそく)の狂気に直面する。絶命谷に落ちた趙子龍は、師爺との出会いを経て、兵法を学び、再び立ち上がることを決意する。

ネタバレ

柳擎児(りゅうけいじ)が、ついに命を落としてしまいました。趙子龍(ちょうしりゅう)は、彼女の亡骸を前に、黒衣の男に深々と頭を下げます。せめて、彼女の亡骸が獣に荒らされないよう、友人が来るまで見守ってほしいと懇願するのでした。そして、再び激しい戦いが始まります。しかし、目の見えない趙子龍は、黒衣の男に追い詰められ、川の中央の渦に飲み込まれてしまいます。

黒衣の男は、趙子龍が死んだと確信し、覆面を取ります。その正体は、なんと高則(こうそく)でした。高則(こうそく)は、趙子龍に対する積年の恨みを爆発させます。英雄の名誉を奪い、幼い頃から婚約していたはずの女性まで奪った趙子龍を、憎まずにはいられなかったのです。

一方、柳慎(りゅうしん)は、趙子龍たちの身を案じていました。師匠(ししゅく)は、野人の調査に行っただけだから大丈夫だと言いますが、柳慎(りゅうしん)の不安は消えません。

その頃、高則に殺されたと思われていた趙子龍は、絶命谷(ぜつめいだに)の底で目を覚まします。あの川の渦は、絶命谷への抜け道だったのです。そこには、行方不明になっていた師爺(しえ)もいました。師爺の助けで、趙子龍は体内の毒を排出し、さらに武術の腕を上げます。師爺は、自分が楽淵(がくえん)だと明かします。20年以上も絶命谷で過ごし、記憶を失っていたのですが、最近になってようやく思い出したのだと言います。彼は、俗世に戻ることを望まず、絶命谷で仙人のような生活を送ることを決意します。

趙子龍は、師爺に兵法を学ぶ理由を語ります。それは、戦うためではなく、戦をなくすため、戦を止めるための兵法なのだと。師爺は、趙子龍の言葉に深く感銘を受けます。そして、大切に保管していた『楽毅百戦術(がくきひゃくせんじゅつ)』の下巻を趙子龍に託し、自分の知識と責任のすべてを託します。師爺は、趙子龍に百鳥朝鳳槍(ひゃくちょうちょうほうそう)と兵書を持って絶命谷を去り、世のために尽くすように促します。

拾妹(しゅうまい)は、以前、趙子龍の槍が流砂に落ちているのを見つけました。槍はバラバラに折られており、犯人の槍に対する憎しみが感じられます。拾妹は、犯人は高則か耿純(こうじゅん)だと推理しますが、耿純(こうじゅん)の武術はそれほど高くないため、高則の可能性が高いと考えます。師匠は、もし犯人が高則なら、それは最も危険な相手だと警告します。趙子龍は、私怨を晴らすよりも、まず国難に立ち向かうことを決意します。師匠は、趙子龍が軍に加わることを察し、柳慎、拾妹、飛燕(ひえん)も共に従軍することを決意します。

つづく