イルジメ 一枝梅 第10話 あらすじ/ネタバレ
夜の帳が下りた京城
月明かりに照らされた妓楼に、ヨンとシワンがそっと足を踏み入れた。賑やかな宴会の音色が響き渡る中、ヨンの心はテーブルに置かれた梭魚食酸に惹きつけられた。一口含むと、酸味と甘みが口の中に広がり、懐かしさが込み上げてきた。それは、母であるハン氏夫人が作ってくれた味。温かく、親しみのあるその味は、時空を超えて彼の心を温めた。
しかし、運命は皮肉なもので、ヨンが母への想いを募らせているその時、ハン氏夫人が部屋に入ってきた。二人はすれ違い、お互いの存在に気付くことなく、未完瞭の母子縁は空気中に漂うのみであった。
一方、宮廷の前では、ヨンは大切な虎抓玩を落としてしまい、焦っていた。それは彼の幼い頃の大切な思い出だった。不安と期待に満ちた眼差しで辺りを見回すヨン。その瞬間、ポンソンがその玩を手に宮廷の前を徘徊し、持ち主を探していた。運命に導かれた二つの魂は、小さな玩によって再会を果たそうとしていた。
ヨンの視線とポンソンの手に握られた玩が交差した時、彼の眼に驚きが浮かんだ。本能的に駆け寄り、ポンソンから玩を受け取り、興奮気味に「これは俺の物だ!」と宣言した。その光景に、ポンソンは呆然と立ち尽くした。目の前の見知らぬ男性を見つめながら、心の中に何とも言えない懐かしさが湧き上がってきた。
夜が更け、一枝梅の姿が幽霊のように夜の闇に紛れ、シム・イリョル大監の宴会場の外に姿を現した。身軽な動きで静かに侵入し、金色の巨大なヒキガエル像を手に入れた。一枝梅は、鮮血に染まった梅の花を印として残し、夜の闇に消えていった。その場に残されたのは、驚きと混乱に包まれた賓客たち。
常に冷静沈著な侍衛統領であるナ・セドルも、怒りを抑えきれず、矢を抜き放ち、鋭い眼光で一枝梅を捕らえることを誓った。しかし、一枝梅はすでに姿を消しており、血染めの梅の花と謎だけが残された。人々は様々な憶測を巡らせた。
ヨンにとっては、この夜は幼い頃の記憶を取り戻しただけでなく、かつての恩人であるポンソンとの予期せぬ再会を果たした夜となった。一方、京城全体にとっては、一枝梅の再出現が新たな波紋を呼び、多くの秘密と真実が明らかになる予兆となった。
第10話感想
第10話は、感動と興奮が詰まった素晴らしいエピソードでした。ヨンとポンソンの再会は、胸が熱くなるシーンでした。二人が幼い頃に過ごした時間は、彼らの心に深く刻まれており、その絆は決して切れることはないでしょう。
また、一枝梅の再出現は、京城に新たな混乱をもたらしました。シム・イリョル大監の宴会場から黄金のヒキガエル像が盗まれた事件は、一枝梅の真の目的が何なのか、そして彼の正体は誰なのかという謎を深めました。
ナ・セドルの怒りに満ちた表情は、一枝梅を捕らえるという彼の強い決意を表していました。しかし、一枝梅は常に一歩先を行っており、ナ・セドルは苦戦を強いられることになりそうです。
つづく