キム・シンの胸に激痛が走る。ウンタクは驚いた。なんと、あの剣が見えるようになり、触れるようにもなっていたのだ。苦しむキム・シンの表情を見て、剣を抜いてあげようと、ウンタクは剣の柄を握り、少しずつ引き抜こうとする。剣が抜けようとするのを見たキム・シンは、ウンタクを強く突き飛ばした。勢い余って遠くまで飛ばされたウンタクを、キム・シンは慌てて空中で受け止める。しかし、その衝撃で車が玉突き事故を起こし、周囲の人々は唖然とする。この騒動は結局、ドクファと死神が収拾することになった。

死神はキム・シンに、絵の中の女性は誰なのかと尋ねる。彼女を見ると、胸が締め付けられるような痛みを感じ、涙が止まらなくなるのだという。キム・シンは千年前の記憶を辿り、死神に、彼女は自分の妹だと告げる。

死神はいつものように仕事を行う。今回、彼が出迎えたのは母娘だった。毎日繰り返される仕事の中で、死神の心には少しずつ変化が生まれていた。

ウンタクとキム・シンは一緒に散歩をする。ウンタクは、キム・シンが剣を抜かせまいとした理由が分からず、戸惑っていたが、それでもキム・シンを信じることにした。

ウンタクは交通事故で亡くなった女子高生の幽霊に出会う。人の命の儚さを目の当たりにし、ウンタクは深く心を痛める。

死神はチキン店にキム・ソンを探しに行くが、そこでアルバイト中のウンタクに偶然出会う。驚いた死神は、チキンを買って帰ることにする。その時、ウンタクの初恋の相手、テヒが店にやって来る。二人は再会を喜び合う。ウンタクは死神に、キム・ソンが好きになったのかと尋ね、テヒのことは秘密にしてほしいと頼む。しかし、この会話はキム・シンに聞かれてしまい、彼は嫉妬し始める。

キム・シンはウンタクをバスに乗せる。その時、彼は未来、つまり間もなく起こる出来事を見てしまう。自転車に乗った泥棒が逃走中、障害物にぶつかり、路上に転倒する。そして、そのまま車にはねられ死亡、それが原因で多重衝突事故が発生、ウンタクの乗るバスも巻き込まれ、多くの死傷者が出るという未来だった。

すでに多くの死神が路上で待機し、死を迎える魂たちを待っていた。

キム・シンは事故を阻止しようと決意する。泥棒を転倒させ、多くの人が死ぬと厳しく叱責する。死神は路上に立ち、バスに乗るウンタクの姿を見て、キム・シンがこの事故を阻止するだろうと悟る。

ウンタクは家で腕の筋トレをする。今度こそ一気に剣を抜き、キム・シンを苦しませないようにするためだ。それを聞いたキム・シンは、呆れながらも笑みを浮かべる。

キム・ソンは初めて死神に自分の名前を教える。そして、死神の本当の名前を尋ねる。その時、死神の胸に激痛が走る。彼は自分の名前を思い出せないが、何かを薄々感じ始めていた。

サムシンハルモニが突然キム・シンの前に現れ、早く剣を抜くようにと告げる。剣を抜かないと、ウンタクが死ぬというのだ。死神もまた、ウンタクに真実を伝える。剣を抜けば、キム・シンは消滅してしまうと。

第8話の感想

第8話は、キム・シンとウンタクの愛の深さと、迫り来る運命の残酷さを際立たせるエピソードでした。ウンタクがついに剣に触れられるようになった喜びも束の間、剣を抜けばキム・シンが消滅するという残酷な真実が突きつけられます。未来を見通す能力を持つキム・シンが、ウンタクを守るために奔走する姿は、切なくも感動的でした。

特に印象的だったのは、バスの事故を未然に防ぐシーンです。多くの命を救うために、キム・シンは自らの力を使い、未来を変えました。しかし、その行動の裏には、ウンタクを失いたくないという強い想い、そして、自分が消滅するかもしれないという覚悟が隠されているように感じられました。死神が静かにその様子を見守る姿も、二人の運命の複雑さを物語っています。

また、死神とキム・ソンの関係にも進展がありました。キム・ソンが自分の名前を明かすシーンは、二人の距離が縮まったことを感じさせ、今後の展開への期待を高めます。一方で、死神の胸の痛みは、彼の隠された過去、そしてキム・シンとの関係に何か秘密があることを闇示しており、謎が深まるばかりです。

つづく