第一話、慌ただしい会社の風景から始まります。書類の山に埋もれた機、忙しく働く社員たち。そんな中、イ・ジアンは周囲の喧騒とは対照的に、静かに植物に水をやっています。彼女はどんなに騒がしくても、自分のペースを崩さず、仕事に集中しています。
パク・ドンフンは40歳近い男性で、仕事に打ち込んでいます。自身のキャリアだけでなく、家族の重荷も背負っています。突然、オフィスに悲鳴が響き渡ります。なんとスズメバチが侵入してきたのです。ドンフンはスズメバチを傷つけずに何とかしようとしますが、最終的にジアンが本で叩き落として一件落著。ジアンへの周りの目を気遣い、ドンフンは更に驚くような話を持ち出し、皆の注意を逸らします。
そこに、会社の重役、ユン・サンテ常務が現れ、場の空気は一気に緊張します。尚泰はドンフンたちに、仕事の効率の悪さや資源の無駄遣いを指摘します。ドンフンは冷静に、上司の批判に具体的な行動で仮論します。ジアンがメールを配っている際に、ドンフン宛てではないメールを彼の書類に紛れ込ませていたことが発覚。ドンフンがそれに気付いた時、ジアンが会社の飲み物を持ち帰る姿を目撃し、私用ではないかと疑念を抱きます。
ドンフンは自分の銀行口座を確認し、残高の少なさにため息をつきます。仕事にあぶれている兄、朴サンフンの娘の結婚式のため、こっそりお金を渡していたのです。一方、ジアンは退社後、掛け持ちのレストランで働きながら、耳の不自由なお年寄りの世話もしています。厳しい生活の中でも、彼女は前向きに生きています。
ドンフンは兄弟たちと居酒屋で集まり、それぞれの悩みを打ち明け合います。妻のカン・ユニは、外で密会しており、ドンフンの心労は増すばかりです。ジアンは帰宅後、レストランから持ち帰った残り物で食事をしていると、債権者のイ・グァンイルに遭遇し、借金の返済を迫られます。
ドンフンの母親は、兄に屋台を開くように勧めていますが、ドンフンは母親が住む場所を失うことを心配しています。そんな中、差出人不明のお金がドンフンの元に届きます。普段は非常に堅物なドンフンですが、このお金を受け取ってしまうのでした。
ある日、ドンフンは仕事中に転倒し、危うく怪我をするところでした。自分の立場を固めるため、ジュニョンはパク・ドンウン執事を狙った行動に出ますが、計画が狂い、ドンフンが巻き込まれてしまいます。スーパーでジアンと出会ったドンフンは、彼女が柿を数円足りずに買えずに困っているのを見て、代わりに買ってあげます。
ジアンは借金が返せず、イ・グァンイルに暴力を振るわれますが、周りの人に悟られないように耐えています。出社時には大きなサングラスをかけ、同僚たちは異変に気付いても何も聞きません。ある晩、遅くまで残業していたドンフンに、ジアンは食事をおごってほしいと頼みます。この二人を、弟のギフンが目撃し、興味を抱きます。ドンフンが例の封筒を取りにオフィスに戻ると、社内で誰かが監視カメラの映像を確認していることに気付き、引き返します。二人の運命が大きく動き出そうとしています。
第1話の感想
「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」第1話は、静かな緊張感と登場人物たちの深い苦悩が印象的な幕開けでした。冒頭から、慌ただしいオフィスの中で、イ・ジアンの静かな存在感が際立ちます。彼女は周囲の喧騒に惑わされることなく、淡々と仕事をこなし、まるで嵐の前の静けさのような雰囲気を醸し出しています。対照的に、パク・ドンフンは家族や仕事の重圧に押しつぶされそうな中年男性。スズメバチ騒動での彼の対応は、優しさと思慮深さを垣間見せますが、同時に彼の疲弊も感じさせます。
会社の上層部との確執、金銭的な問題、そして妻の不貞疑惑など、ドンフンを取り巻く状況はどれも深刻で、見ている側にも重くのしかかってきます。ジアンもまた、借金に追われ、暴力に耐えながら生活する過酷な現実を抱えています。二人の境遇はまるで正仮対のようでありながら、どこか共通する孤独や諦念のようなものを感じさせ、不思議な共感を呼び起こします。
特に印象的なのは、ジアンが会社の飲み物を持ち帰るシーンと、ドンフンがジアンに柿を買ってあげるシーンです。ジアンの行動は、一見すると会社の備品を盗んでいるように見えますが、彼女の置かれた状況を考えると、単純な善悪では判断できない複雑な感情が湧き上がります。そして、ドンフンのさりげない優しさは、彼自身の苦悩とは裏腹に、人間の温かさを感じさせ、今後の二人の関係性に期待を抱かせます。
つづく