ソウンは依然としてハソンに冷たく接していたが、ハソンが自分のために矢を受け、倒れ込んだ時、彼女の心は揺らぎ始めた。ハソンはソウンの肩にもたれかかり、意識を失った。その時、ソウンは自分がまだハソンを愛していることに気づいた。王の身代わりという立場でありながら、ハソンは確かに彼女の心を掴んでいたのだ。ソウンはハソンの名を呼び続け、彼を目覚めさせようとした。ようやくハソンが目を覚ましたのは、ソウンの父の部屋だった。傍らにはソウンがいた。ハソンはまずソウンの無事を確かめ、その言葉にソウンは深く感動した。彼女はついに彼の王としての立場を受け入れ、もう愚かなことはしないと誓い、ずっと傍にいると告げた。ハソンは安堵し、静かに目を閉じた。
一方、明の使節は宮殿近くの宿に滞在していた。イ・ギュは国の威信をかけて明の使節と議論を交わしていた。そこにチスが現れ、イ・ギュに助けを求めた。官職にも就いていないチスが勝手に使節の宿に来たことに、イ・ギュは苛立ちを覚えた。イ・ギュは明の使節が予定よりも早く宮殿に来る本当の目的を察し始めた。朝廷にて、明の使節は規定通りハソンに国書を差し出したが、ハソンはなかなか姿を現さなかった。チスは明の使節に同行して大殿に入り、周囲の非難を浴びた。空の玉座を見た明の使節は不満を露わにし始めたが、チスは得意げな様子だった。イ・ギュが対応に困っていたその時、ハソンが突然現れた。非難する明の使節に対し、ハソンは怒るどころか、貴重な虎の毛皮を明の皇帝への贈り物として差し出し、狩りに出かけていたと説明した。明の使節は返す言葉もなかった。
内密の会談で、明の使節はチスの復職を提案した。ハソンは気が進まなかったが、拒否することはできなかった。イ・ギュは、闇殺未遂事件の黒幕は大妃だと確信していた。大妃は玉璽と兵符を手に入れるため、チン・ピョングンを動かしていたのだ。大妃はチン・ピョングンを叱責していたが、チン・ピョングンは納得せず、自分は大妃にとって必要不可欠な存在だと主張した。しかし、大妃はすでに別の宗親であるヨンファグンを呼び寄せており、チン・ピョングンは驚きを隠せない。
宮殿に戻ったソウンは中殿には戻らず、ヨンチュンジェの外で茶礼を捧げ、イ・ホンを弔っていた。その様子をイ・ギュが目撃し、ソウンの賢淑さに感嘆した。イ・ギュがソウンに国を守るために中殿を守ってほしいと頼むと、ソウンは「ある人を守るために戻ってきた」と答えた。その言葉にイ・ギュは、かつて宮中の人々を守るために戻ってきたハソンの姿を思い出し、2人の間に不思議な縁を感じた。ハソンはソウンの体を気遣い、服を届けに来た。ソウンは安全のため、以前のように話すようハソンに忠告した。2人は互いに本名を呼び合い、さらに親密になった。
かつて明はイ・ホンの仮乱鎮圧に協力したことがあった。チスはそのことを理由に、後金と戦う明への援軍派遣を提案したが、ハソンは民の命を考え、出兵を拒否した。事態を収拾するため、イ・ギュは兵の訓練を名目に1年間の出兵延期を提案した。チン・ピョングンはチスの唆しで密かに明の使節と会い、王位につけてくれればどんな代价も払うと約束した。ハソンはソウンを連れて大妃への挨拶に訪れた。ソウンの態度を大妃が厳しく非難すると、ハソンはソウンを守るため大妃に仮論し、以前大妃がイ・ギュに玉璽と兵符を要求したことをそれとなく指摘した。大妃は後ろめたさから何も言えず、2人が去るのを見送るしかなかった。
大同法の実施に、イ・ギュとハソンは喜びを分かち合った。民の暮らしをより深く理解するため、ハソンは微服で民の声を聞こうと考えた。危険を考慮し、ハソンはイ・ギュにダルレとカプスの大叔父を都から出すよう指示した。しかし、ダルレは出発前に市場へ行き、イギョムと遭遇した。カプスの大叔父はダルレの復讐のため、鎌でイギョムを襲うが、すぐに取り押さえられてしまう。ダルレも捕らえられた。チスは部下から龍の紋章が入った短剣を受け取り、ハソンの正体を暴く好機だと考えた。ハソンをおびき出すため、チスはカプスの大叔父が捕らえられたことをハソンに知らせた。ハソンは助けに向かおうとするが、イ・ギュに止められる。イ・ギュは調査に向かい、ダルレが王家の短剣を持っていることを発見し、事態の深刻さを悟り、急いで宮殿に戻った。チスはその隙に短剣を持ってハソンに謁見した。混乱の中、ハソンは自分の正体を明かしてしまう。
第12話の感想
第12話は、ハソンとソウンの愛が深まる一方で、ハソンの正体が明らかになる危機が迫る、緊張感あふれる展開でした。ソウンがハソンのために矢を受けるシーンは、彼女のハソンへの深い愛情を改めて感じさせ、胸を打たれました。これまで冷たく接していたソウンが、ハソンの優しさに触れ、ついに心を開く様子は、二人の関係の大きな転換点と言えるでしょう。互いに本名を呼び合うシーンは、二人の親密さを象徴する感動的な場面でした。
一方、政治的な陰謀はますます複雑さを増しています。チスの闇躍により、ハソンの正体が暴かれる危機が迫り、物語はクライマックスへと突き進みます。大妃の冷酷さ、チン・ピョングンの焦り、そしてイ・ギュの苦悩など、それぞれの思惑が交錯し、今後の展開がますます予測不可能になっています。特に、ダルレとカプスの大叔父が捕らえられ、王家の短剣がチスの手に渡ってしまうシーンは、ハソンにとって大きな打撃となるでしょう。
明との外交も緊張感を高める要素となっています。ハソンは民の命を守るため、明への出兵を拒否しますが、それがさらなる波乱を呼ぶ可能性も秘めています。イ・ギュの機転で一時的な猶予を得ますが、根本的な解決には至っておらず、今後の外交交渉の行方が注目されます。
つづく