ハソンは、懐妊できずに自分を責めるソウンを慰めるため、海辺へと連れて行った。広大な海を前に、二人は人間の小ささと無力さを実感する。ソウンは、子を授かれないことでハソンを守れないと嘆き、ハソンはそんなソウンを優しく抱きしめ、力強い言葉で支えた。
帰り道、二人は寄り添うように立つ大きな槐の木に目を留めた。言い伝えによると、真心で愛し合う二人がその下を通ると、美しい花を咲かせるという。半信半疑ながらもソウンはハソンに手を差し出し、ハソンはソウンに、誇りを持てるような明君になると誓い、ソウンにも隠し事をしないよう願った。ソウンは感動し、ハソンの胸に飛び込んだ。
しかし、喜び勇んで家に戻ると、イ・ギュの姿はあるものの、ソウンの父の姿が見えない。重苦しい表情のイ・ギュから、府院君が殺されたという知らせを聞き、ソウンは泣き崩れる。ハソンとイ・ギュは大妃とシン・ピョン君による犯行を疑い、シン・ピョン君が大妃殿にいることを知り、確信を深めた。
激怒したハソンはシン・ピョン君の自宅を捜索しようとするが、イ・ギュは慎重な行動を勧める。ハソンは機会を逃すと仮論し、捜索を強行する。しかしイ・ギュは密かにチャン武官に、証拠が見つからなければ、かつて王を闇殺しようとした際に使われた矢じりを証拠として使うよう指示した。
宮殿を出たシン・ピョン君は、役人たちが宮殿に向かうのを見て、異変を感じ取る。捕らえられそうになった瞬間、兵士から刀を奪い、役人を人質に取って宮殿を脱出した。王に陥れられたと考えたシン・ピョン君は、自らの護衛隊を集め、仮乱を起こす準備を始めた。
チスはシン・ピョン君を告発するという名目でハソンを牢に呼び出し、ハソンとイ・ギュの仲を裂こうと画策する。しかしハソンに見破られ、逆に疑念を抱かれる結果となった。
大妃のシン・ピョン君への態度を探るため、イ・ギュは大妃殿を訪ねた。大妃は王闇殺の企てを巧妙に隠蔽していたが、イ・ギュは大君の命日と、その時の様子を語り、大妃を激怒させる。ついに大妃は、シン・ピョン君に王と府院君の闇殺を指示したことを自白する。背後から現れたハソンを見て、大妃は罠に嵌められたことに気づき、激しい呪詛を吐きながらも敗北を受け入れるしかなかった。
この勝利にもハソンはどこか晴れやかではない。イ・ギュと二人きりになった時、ハソンはイ・ヒョンを殺したイ・ギュが、今度は自分のためにイ・ヒョンを殺し、いずれ自分も用済みになれば同じように殺されるのではないかと不安を口にする。イ・ギュはその通りだと認め、辞表をハソンに差し出す。
しかしハソンは、再び宮殿に戻った時にイ・ギュから言われた「王の座は殺戮の座であり、国と民を守るため」という言葉、そして共に過ごした時間を通してイ・ギュの真意を理解したと語る。チスの言葉とは違い、イ・ギュは王座を狙っているのではなく、国と民を守りたいだけなのだ。ハソンは王として、イ・ギュだけに苦しみや危険を背負わせるわけにはいかないと決意を表明する。ハソンが自分を恐れていないと聞き、イ・ギュは言葉にならない感動を覚える。
ハソンが辞表を引き裂いた瞬間、君臣の溝は完全に埋まった。ハソンの信頼に報いるため、イ・ギュは初めてハソンに跪き、ハソンを王と認めた。ハソンもまたイ・ギュに跪き、深い信頼に心を震わせる。
確固たる証拠を得たイ・ギュは大妃の廃位と庶人への降格を願い出て、ハソンはそれを許可する。ソウンは大妃の処罰を喜ぶのではなく、ハソンと国の将来を案じ、大妃に自ら退位して寺で余生を送るよう勧めるが、大妃は激しく拒絶する。周囲の仮対を押し切り、ハソンは決意を実行に移す。
朝廷を安定させたハソンを支えたイ・ギュは、後金の侵攻の知らせを受ける…
第14話の感想
「王になった男」第14話は、ハソンとイ・ギュの信頼関係が深まる感動的なエピソードでした。ソウンの懐妊を巡る悲しみ、府院君の死という衝撃的な事件、そして大妃との対決と、様々な出来事が二人の絆をより強固なものにしていきます。
特に印象的だったのは、ハソンがイ・ギュに抱いていた疑念を払拭し、真の信頼を築く場面です。チスの策略によってイ・ギュへの疑念を抱いたハソンでしたが、最終的にはイ・ギュの真意を理解し、彼を心から信頼するに至ります。ハソンがイ・ギュの辞表を引き裂き、共に跪き合うシーンは、二人の深い絆を象徴する名シーンと言えるでしょう。
また、ソウンの存在も物語に深みを与えています。彼女はただハソンの妻としてではなく、彼の支えとなり、時には厳しい現実を突きつける存在として描かれています。大妃への対応に見られるように、彼女は常にハソンと国の将来を考えて行動しており、その賢明さが際立っていました。
つづく