ハソンの演技はイ・ホンを大変満足させた。龍袍を脱ぎ捨てると、イ・ホンはすぐにでも宮殿を出て、夢に見た安楽な日々を送ろうと逸る。都承旨は軽率だと諫言するが、頑固なイ・ホンは聞く耳を持たず、宮殿を出ていってしまう。
都承旨はイ・ホンを説得できず、ハソンに助けを求める。ハソンもイ・ホンの無責任な行動に仮対し、妹と仲間の叔父の命を人質に取られても、決して妥協しなかった。しかし、イ・ホンが一生使い切れないほどの財宝を約束すると、渋々承諾する。
ハソンの宮殿での生活は、大勢の宮女に囲まれて起床し、洗顔することから始まった。慣れないながらも、その贅沢な雰囲気を楽しんでいた。慣例に従い、毎日キム・サングンがイ・ホンの著替えを手伝う。こんなに近くで女性に著付けをしてもらうのは初めてで、ハソンは戸惑いを隠せないが、なんとかキム・サングンには気づかれずに済む。
目の前に並ぶ美味しそうな料理に、ハソンは箸を伸ばそうとするが、「一口しか食べてはいけない」という規則を思い出す。焦って食べようとして、思わずむせてしまう。宮女が水を持ってきて漱ぎを勧めるが、ハソンは一気に飲み幹してしまう。チョ内官はハラハラしながらも、大勢の前では何も言えない。
宮殿内を散策していたハソンは、川辺で物思いにふける美しい女性に目を奪われる。彼女が、自分が妓楼でこき下ろした中殿、ソウンだと知ると、ハソンは慌てふためく。ソウンもハソンに気づき、こちらに向かって来るのを見るや、ハソンは一目散に逃げ出してしまう。
状況を把握していないハソンは、チスの国丈処刑の進言を承認してしまう。チョ内官は止めようとするが、言葉が出ない。知らせを聞いたソウンは匕首を持ってハソンの元へ行き、父の無実を訴えようとする。ハソンはソウンの自殺を止め、彼女の父を許すと約束する。ソウンはハソンの真剣な眼差しから、かつて政治とは無縁だった熱血漢の面影を見る。
しかし、この件でハソンはイ・ギュに激しく叱責される。イ・ギュは本気で危害を加えるつもりはなく、ただ脅かしているだけだった。国丈の処遇についてはイ・ギュも決定権がなく、寺に隠れているイ・ホンに会いに行く。ところが、泥酔したイ・ホンは国丈の処刑に同意してしまい、イ・ギュは驚く。
イ・ギュがイ・ホンの聖旨をハソンに渡すと、ハソンが字を読めないことが判明する。イ・ギュから国丈処刑の命を伝え聞いたハソンは、ソウンとの約束を破ることになるため、必死に仮対する。イ・ギュは「無力な身分で軽々しく約束するな」とハソンを叱責し、ハソンは返す言葉もない。
朝廷で、チスは再び国丈の処刑を訴える。ハソンは当初イ・ギュの指示に従うが、土壇場で前言を撤回し、辺境への流刑に減刑する。この判断にチスは困惑し、イ・ギュも驚愕する。ハソンの提案を受け、イ・ギュは自らソウンを護送して父と対面させる。この心遣いにソウンは深く感動する。
夕方、幼い宮女のケファンがハソンに夜食を届ける。ケファンが妹と同じ年頃だと知り、ハソンは妹への思いが募り、ケファンと他愛もない話をする。そして、美味しい夜食を彼女に与える。前日、イ・ホンに熱い粥を無理やり飲まされたケファンは、ハソンの温かい態度に心を打たれる。
宮殿の外では、ハソンの妹のタルレが兄の身を案じ、彼女たちを匿ってくれている妓女に情報を求める。その時、男に妓女と間違われ、声をかけられる。店主は断るが、周りの者は男から金を受け取り、タルレを男の屋敷へ送ると約束してしまう。一方、ハソンは拾った榛の実をソウンに渡し、願い事を託すように勧める。ソウンは彼の優しさに感動する。
再び夜食を届けるケファンは、ハソンに自分の辛い境遇を打ち明ける。ハソンは深く同情し、思わず涙を流す。そして、テーブルの上にあった美しい菓子をケファンに勧める。しかし、その菓子には毒が盛られていた。ケファンは数口食べると血を吐き始め、ハソンが急いで医者を呼ぶが、既に息絶えていた。駆けつけたイ・ギュは、この状況を見て真相を察する。
イ・ギュが見舞いに来ると、ハソンは怒りに満ちた様子で偽りの王の生活から抜け出したいと訴える。しかし、イ・ギュは妹と仲間の命を盾に彼を製止する。そこへソウンが見舞いに訪れ、イ・ギュは一時的にその場を離れる。二人が再び大殿に戻ると、ハソンの姿は消えていた。彼は必死で妓楼へ駆けつけると、妹が危うく男に襲われそうになったことを知る。幸いにもタルレは汚されていなかったが、幼い彼女は恐怖のあまり声を失っていた。兄妹は抱き合って泣き崩れ、見るも無残な光景だった。
タルレを襲った男がチスの息子だと知り、ハソンはチスの手下に暴行され、追い出される。世の中の恐ろしさを改めて痛感したハソンは、ついに王として生きることを決意する。
第2話感想
第2話は、ハソンの人間味と苦悩が深く描かれた回でした。偽りの王として生きる中で、彼は予期せぬ出来事に翻弄され、葛藤しながらも懸命に状況を乗り越えようとする姿が印象的です。
特に、妹のタルレや宮女のケファンとの交流は、彼の優しさや脆さを浮き彫りにしました。タルレとの再会シーンは、偽りの王という立場と、兄としての愛情との間で揺れるハソンの心情が痛いほど伝わってきました。また、ケファンの死は、彼に王宮の冷酷さと無力さを突きつける残酷な出来事でした。何もできない自分の不甲斐なさ、そして大切な人を守れなかった後悔が、彼の心を深く傷つけたことでしょう。
一方で、中殿のソウンとの関係性の変化も注目すべき点です。妓楼での出来事から、当初はソウンを軽んじていたハソンですが、彼女の芯の強さや優しさに触れるうちに、徐々に惹かれていく様子が見て取れます。二人の間に芽生え始めた信頼関係が、今後の展開にどう影響していくのか、期待が高まります。
つづく