波乱万丈の末、イ・ホンはついに都城へ戻ってきた。懐かしいながらもどこか違う景色に、様々な感情が胸をよぎる。縄で縛られ、絶望の淵に立たされていた時、まるで天使のように小さな女の子が現れ、鍵を壊し、彼を救い出した。女の子の親密な行動に戸惑いながらも、イ・ホンは彼女が命の恩人であることを深く理解し、その恩義を一生忘れないと心に誓った。
一方、イ・ホンの指示で水を探しに行ったダルレは、戻るとイ・ホンの姿がないことに気づき、焦燥感に駆られる。必死に探すも見つからず、カプッ大叔に名前を呼ばれた時は思わず身を隠そうとしたが、大叔の心配そうな顔を見て罪悪感に苛まれる。やっとのことで大叔の前に姿を現し、言葉を話せるようになったダルレの姿に、カプッは安堵と喜びを隠せない。ハソンから託されたダルレの面倒を、カプッは誠心誠意見てきた。しかし、ダルレから寺の僧侶がハソンを閉じ込めたと聞き、カプッの表情は一気に険しくなる。
その頃、ハソンはソウンと共に屋台の食べ物を味わっていた。庶民の食べ物にソウンが馴染めないのではないかと心配していたが、美味しそうに食べる彼女の姿を見て安堵する。何気なく、もしここに住むならどの家がいいかと尋ねると、ソウンは一番奥の小さな家を指差した。理由を聞くと、「小さな家ならすぐに顔が見られるし、一番奥なら好きな人と長く一緒に歩けるから」とのこと。ハソンに向けられた言葉ではないと理解しつつも、彼は満足げな表情を浮かべる。
夜になり、ハソンはソウンと賑やかな夜市を散策する。ソウンは様々な匂いが混ざり合う空気に酔いしれ、人の汗の匂いまで感じ取ると言う。思わず自分の袖の匂いを嗅ぐハソンに、ソウンは「温かい匂いがする」と告げる。
ハソンの優しさに感動し、前回の迷子騒動を思い出し、ソウンは彼に指南針をプレゼントしようと決める。しかし、店での支払いの際にハソンが見事な値切り交渉を始めるのを見て、ソウンは驚きを隠せない。ハソンは「他人の真価をしただけ」と照れくさそうに笑う。二人が甘い言葉を交わしているところに、ホゴルとエイヨンが現れる。二人は「良かったですね」と言うものの、表情には落胆の色が隠せない。
宮殿では、チョンセン僧侶からイ・ホンの失踪を聞いたイ・ギュは驚きを隠せない。聡明なチョンセンは既にイ・ホンの正体に気づいていた。イ・ギュがハソンを王位に留め置こうとしたのは、実は私心があったからだ。しかし、イ・ホンが戻れば全てが水の泡となる。チョンセンに後事を託し、イ・ギュは覚悟を決めて宮殿の奥へと向かう。
後殿に戻ったハソンは、チョ内官の険しい顔を見て、帰りが遅くなったことを咎められると思った。しかし、殿内に入ると、そこには既に龍袍を著たイ・ホンが座っていた。言い訳する間もなく、イ・ホンはハソンに殴りかかる。物音に気づき入ってきたチャン武官は、その光景に驚きを隠せない。「殿下、大丈夫ですか」と尋ねただけで、イ・ホンの怒りはさらに激化する。ハソンの正体を暴き、チャン武官がハソンを守ろうとし、自分を殺そうとしたと責め立てる。ハソンは身を挺してチャン武官を守り、その姿を見たイ・ホンはやむなく手を止める。
何も知らないソウンがイ・ホンに挨拶に来る。彼女の言葉の一つ一つが、イ・ホンの心に突き刺さる。屏風の後ろで、ハソンは涙を流す。ソウンの変化に激怒したイ・ホンは、ハソンを殺そうとする。その時、イ・ギュが連れて来られる。イ・ギュに幽閉された過去を思い出したイ・ホンは、イ・ギュの言葉に耳を貸そうとしない。イ・ギュはハソンを殺せとイ・ホンに迫るが、同時にハソンを庇う言葉を口にする。イ・ホンの怒りは収まらず、イ・ギュは仕方なくハソンに刀を振るうが、緻命傷は避け、かすり傷を負わせるに留める。ハソンの血で宮殿を汚したくないイ・ホンは、チャン武官にハソンを山へ連れて行き、殺すよう命じる。
ハソンの処遇を終え、イ・ホンはチスを呼び出すが、チスは病と偽り参内を拒否する。キム・サングンに著替えを手伝ってもらいながらも、イ・ホンの頭の中はソウンでいっぱいだ。ソウンに会うため、初夜の予定を明日に早めるよう命じる。不満を感じながらも、キム・サングンは命令に従う。イ・ホンの耳の傷に気づいたキム・サングンは、心配そうに理由を尋ねるが、イ・ホンに叱責されてしまう。
イ・ギュはチャン武官を待ち、ハソンの安否を尋ねるが、既に手遅れだと告げられる。ハソンとの日々を思い出し、イ・ギュは彼を恋しく思う。一方、ハソンは深い穴の中で一人、何が悪かったのかと泣き崩れていた。
第7話の感想
第7話は、イ・ホンの帰還と、それによって宮廷内に渦巻く緊張感が見事に描かれた回でした。これまで偽王として過ごしてきたハソンと、本物の王であるイ・ホン。二人の対比が鮮明になり、物語は大きな転換期を迎えます。
特に印象的だったのは、イ・ホンの豹変ぶりです。幽閉されていた間の経験が彼を歪ませ、冷酷で猜疑心に満ちた人物へと変貌させてしまいました。かつての優しさや温かさは影を潜め、復讐心に燃える姿は見ていて辛く、恐ろしささえ感じました。ダルレを救った少女との触れ合いも、彼の心に変化をもたらしたのでしょうか。
一方、ハソンは偽王でありながらも、民のことを思いやり、ソウンとの愛を育むなど、人間としての成長を見せてきました。だからこそ、イ・ホンの暴力や冷酷な言動は、より一層胸に突き刺さります。理不尽な仕打ちを受けながらも、チャン武官を守ろうとするハソンの姿には、真の王としての風格さえ感じられました。
つづく