第11-12話、ナム・テイルの冷酷なB計画により、工作員抹殺作戦が始動。ウン・チャンスは更なる危機を懸念し、作戦の中止を訴えるも、ナム・テイルは一切聞く耳を持たず、秘密通路の出口を封鎖し、徹底的な排除を命じる。
一方、危険を察知したイム・スホは仲間と共に密道へ退却し、大学へ戻るも、仲間は重傷を負い、人質たちは再び窮地に陥る。イム・スホは事態収拾のため、全員を女子寮へ集める。その際、負傷したウン・ヨンロを発見し、以前命を救われた恩返しとして、彼女の傷を手当てする。二人の間には言葉にならない緊張感と、ある種の決著が漂う。ウン・ヨンロはイム・スホを見つめ、涙を浮かべる。
人質たちは再びウン・ヨンロを疑いの目で見る。以前、彼女がスパイを助けたという噂が再び広まり、不安を増幅させる。イム・スホはウン・チャンスに電話で圧力をかけ、20分以内に医師を派遣しなければ、強硬手段に出ると警告。ウン・チャンスは要求を呑み、ナム・テイルは恋人であるカン・チョンヤに緊急連絡し、大学へ向かわせる。
イ・ガンムを心配するチャン・ハンナは隙を見て脱走し、大学へ。ウン・チャンスは彼女を叱責するどころか、カン・チョンヤの警護を任せる。イム・スホの部下、チュ・ギョクチャンはチェ・スリョンの影響を受け、イム・スホの判断に疑問を抱き、彼を排除するよう密命を受ける。激しい口論の末、イム・スホはチュ・ギョクチャンを製圧し、部下は組長に絶対服従という鉄の掟を再確認させる。
人質の解放を一部認めたイム・スホだが、館長と意見が対立する。館長は肉体的な健康よりも精神的な健康、特にウン・ヨンロのような胆力と潜在能力のある人物は厳重に管理すべきだと主張する。イム・スホは家庭の事情で苦しむケ・ブノクを解放することにするが、発表の際、先にウン・ヨンロの名前を出したため、ケ・ブノクの仮発を招く。彼女は公平にくじ引きで決めるべきだと主張し、他の学生たちも賛同。ケ・ブノクはかつてない連帯感と力強さを感じる。
この時、ウン・ヨンロは自ら人質として残り、全員の解放を要求する。そして、自らがウン・チャンスの娘であることを明かす。彼女の勇気と自己犠牲の精神は、イム・スホを含め、全員に衝撃を与える。ウン・ヨンロの強い意誌を前に、イム・スホは考え込む。部下たちは彼女に銃口を向けるが、イム・スホは最終的に解放者リストをケ・ブノクに見せ、抵抗すれば解放しないと警告する。
ウン・ヨンロの叫びは拡声器を通してウン・チャンスに届く。彼は娘の勇気に心を痛めつつも、すぐには救出できないもどかしさを感じる。緊迫した状況の中、それぞれの運命は風前の灯火。そして、イム・スホとウン・ヨンロの間には、この事件を通して、何かが変わり始めていた。
第11-12話 緊迫の駆け引きと揺らぐ心
第11-12話は、息詰まるような緊張感と登場人物たちの複雑な心理描写が際立つエピソードでした。ナム・テイルの非情なまでの工作員抹殺計画、ウン・チャンスの苦悩、そしてイム・スホの冷静な判断と時折見せる人間味、それぞれの思惑が交錯し、物語は一気に加速します。
特に印象的なのは、ウン・ヨンロの覚悟と勇気です。人質たちの不安と疑念が高まる中、彼女は自らの身分を明かし、全員の自由と引き換えに自らの人質となることを決意します。この自己犠牲の精神は、イム・スホの心に変化をもたらす重要なターニングポイントとなるでしょう。
イム・スホは冷酷な工作員でありながら、ウン・ヨンロの手当てをするなど、時折見せる優しさや葛藤が彼の複雑な内面を物語っています。チュ・ギョクチャンとの対立も、彼のリーダーとしての苦悩と決意を浮き彫りにしました。
また、ケ・ブノクの行動にも注目です。彼女はくじ引きによる公平な人質解放を訴え、他の学生たちの賛同を得ることで、思わぬリーダーシップを発揮します。これは、極限状態における人間の連帯と希望を象徴するシーンと言えるでしょう。
つづく