韓国では、「人は皆平等に生まれる」という言葉が理想論に過ぎない現実がある。特にイ・スンチョンのクラスでは、その格差が如実に表れていた。パク・チャンゴンの家族は2000億ウォンの資産家、呉如真は3000億ウォンの資産を持つ呉建設の娘、クォン・ミンホの父親は病院長、チョン・ユンスの父親は金法律事務所の代表だ。しかし、彼らでさえ、ファン・テヨンの前では霞んでしまう。韓国財界第2位の黄家の御曹司であるファン・テヨンの生活は、まさに別世界のものだった。
毎日、放課後になると金持ちの子供たちは高級車で送迎される中、イ・スンチョンは徒歩で帰宅するか、コンビニでアルバイトをしていた。質素な服装のイ・スンチョンは、ブランド品で身を包み、傲慢な態度を取るクラスメイトとは対照的だった。パク・チンスクは、このクラスでイ・スンチョンにとって唯一の友達であり、いつもいじめられるイ・スンチョンを守ってくれていた。
ある日、パク・チンスクは新しい靴を履いてイ・スンチョンを訪ねてきた。それは、以前雑誌で見て、イ・スンチョンが良い会社に就職したらプレゼントする約束をしていた靴だった。しかし、パク・チンスクはその靴をイ・スンチョンにプレゼントしようとした。イ・スンチョンは喜びながらも、その申し出を断った。これが、二人の最後の会話になるとは知らずに。
翌日、イ・スンチョンはパク・チンスク一家が借金苦で自殺したという知らせを受けた。現場に駆けつけると、遺体の一つから、あの新しい靴が覗いていた。それは、紛れもなくパク・チンスクのものだった。イ・スンチョンは深い悲しみに暮れた。クラスメイトも葬儀に参列したが、中には借金が返済されなくなることを嘆き悲しむ者もいた。イ・スンチョンはその光景を見て、さらに心を痛めた。
パク・チャンゴンは、イ・スンチョンを慰めるどころか、陰でいじめを続けた。イ・スンチョンは仮撃しようとしたが、結局我慢した。お金のない自分が、彼らに立ち向かえるはずがないと分かっていたからだ。しかし、パク・チャンゴンはイ・スンチョンの顔を殴り、5万ウォンを地面に投げつけた。イ・スンチョンは、かつてない屈辱と無力感に襲われた。
この様子を見ていたファン・テヨンが近づいてきた。イ・スンチョンとパク・チンスクの名字は覚えていなかったが、クラスメイトであることは知っていた。イ・スンチョンの涙を見て、パク・チンスクの死を悲しんでいるのだと考えた。車の中で様子を見ていたファン・テヨンの父親は、イ・スンチョンが5万ウォンを拾うのを見て、複雑な表情を浮かべた。車に戻ったファン・テヨンに、父親はイ・スンチョンと友達なのかと尋ねた。ファン・テヨンはただのクラスメイトだと答えると、父親は「釣り合う価値のある者だけが友達になれる」と言い放った。
アルバイト先では、イ・スンチョンの顔のアザはまだ消えていなかった。新人の同僚、ナ・ジュヒは客に丁寧な挨拶をするが、客はゴミを置いて出ていくだけだった。イ・スンチョンは、いつも笑顔でいると疲れるから自分はいつも仏頂面だとナ・ジュヒに言った。ナ・ジュヒは、そんなイ・スンチョンのことを心の中で「かっこいい」と思っていた。
一方、イ・スンチョンの家では家賃の督促が来ていた。父親のイ・チョルは隠れて出てこようとしない。母親と姉はなんとか彼をかばおうとするが、イ・スンチョンは父親の隠れ場所をあっさり教えてしまう。漫画家を自称する父親だが、作品はほとんど売れず、収入もない。イ・スンチョンは、お金がなく借金取りに追われる生活にうんざりしていた。
姉はイ・スンチョンがへそくりを隠しているのを見つけ、家族のために使わないことを責める。しかし、イ・スンチョンは苦労して稼いだお金を家賃に使うのは無駄だと仮論し、姉を追い返してしまう。姉は母親に訴えるが、母親は何も言わない。
ファン・テヨンはイ・チョルの漫画を気に入り、パソコンの前で笑い転げていた。連載化すべきだと考えていると、父親が入ってきて、ファン・テヨンを激しく叱責し、以前書いた分析レポートをゴミ呼ばわりした。ファン・テヨンは心臓発作を起こしそうになるが、父親が去った後、薬を飲んで症状を抑えた。
その日、ファン・テヨンのクラスメイトが集まる会が開かれた。集まったのは皆、裕福な家の子供たちだった。パク・チャンゴンはイ・スンチョンを呼び出し、使い走り errands をさせた。用事を済ませたイ・スンチョンに、パク・チャンゴンは金を投げつけ、立ち去るように命じた。
第1話の感想
「ゴールデンスプーン」第1話は、韓国社会の貧富の差という重たいテーマを、高校生たちの日常を通して鮮烈に描き出した。主人公・イ・スンチョンの置かれた過酷な境遇、そして唯一の友人・パク・チンスクの悲劇的な結末は、視聴者に強い衝撃を与える。
貧しい家庭に生まれたイ・スンチョンは、裕福なクラスメイトたちの傲慢な態度や、理不尽ないじめにも耐えながら、必死に生きている。彼の表情や行動からは、諦めと怒り、そして僅かな希望が複雑に交錯しているのが見て取れる。一方、裕福な家庭で育ったファン・テヨンは、一見恵まれた環境にいるように見えるが、父親からのプレッシャーに苦しみ、本当の自由を知らない。二人の対照的な人生は、お金で幸せは買えないという現実を突きつける。
特に印象的なのは、パク・チンスクの死をめぐる描写だ。彼の死は、単なる悲劇としてだけでなく、社会の歪みを象徴する出来事として描かれている。借金苦による自殺という悲惨な結末は、視聴者に深い悲しみと同時に、社会の不条理に対する憤りを感じさせる。また、葬儀に参列したクラスメイトたちの仮応も、人間の醜さを露呈しており、見ていて胸が締め付けられる。
つづく