第11話では、ナ・ジュヒの無謀な行動が承天に発覚します。彼女は承天の金庫を開けた上に、部屋にカメラまで仕掛けていたのです。承天は彼女の度胸に呆れつつも、彼女の安全を心配します。ナ・ジュヒの追及に対し、承天は拾ったものだと嘘をつき、会長の死の真相を調べ始めたことを打ち明けようとしますが、如真からの連絡が入ります。
如真が承天に送ったのは、泰勇が金の匙で食事をしようとしている写真と、金の匙の新たなルールでした。承天が駆けつけると、泰勇は既に如真に怒って帰ってしまった後でした。如真はわざと泰勇にその匙を使わせず、ナ・ジュヒが承天に近づいているという嘘までついて、泰勇を追い払ったのです。表向きは承天と協力関係にある如真ですが、実は既に彼に想いを寄せていました。彼女は、誰かが承天の匙で食事をすれば、承天の記憶、つまり彼がどうやって泰勇になったのかまで全て知ることになると告げます。承天はあくまで協力関係を強調し、個人的な感情は挟まないと言います。
一方、前回哲に諭された賢道は、未だに心に引っかかりを感じていました。彼は哲の息子が承天一家に懐いている様子に嫉妬し、わざと英信に哲夫婦に高価な差し入れを届けさせます。一見普通の果物や美容機器に見せかけて、実はとんでもない金額の品々でした。賢道の狙いは、貧しさは伝染らないが、金は人を変えてしまうことを哲に知らしめることでした。
承天から微笑先生の情報を得たナ・ジュヒは、ある疑念を抱きます。微笑先生が俊泰だと気づき、父の死と彼が関係しているのではないかと考えます。そこで、彼女はわざと俊泰にインタビューを申し込み、微笑先生のTシャツを著て彼を挑発します。案の定、俊泰はナ・ジュヒに襲いかかりますが、承天が間一髪で助けに入ります。揉み合いの末、ナ・ジュヒは護身用の棒で俊泰を殴り、承天と共に現場から逃げ出します。
その夜、承天が会長の死を調べていることを知った泰勇は、自ら協力を申し出ます。真犯人を見つけたいと願いつつも、その犯人が承天であってほしくないとも思っていました。承天が残した筆跡を見て、ある大胆な考えが浮かびます。もし本当に自分が承天と入れ替わったのであれば、承天が犯人なら、本当の犯人は自分自身なのではないか、という恐ろしい考えでした。
ナ・ジュヒは10年前のアパートの監視カメラ映像を調べますが、帰宅した際に俊泰が侵入していることに気づきません。俊泰はナ・ジュヒが自分を調べていることを知り、殺そうとしますが、泰勇からの電話で思いとまります。泰勇がすぐに来ると知り、俊泰は一時的にナ・ジュヒを見逃します。
承天は帰らずに、ナ・ジュヒと共に映像の調査を手伝います。ソファで寝入ってしまった承天を、ナ・ジュヒは起こして帰そうとしますが、承天は彼女の肩にもたれかかったまま眠ってしまいます。
その頃、賢道はさりげなく英信に指示し、哲が高価な絵筆を目にするように仕向けます。絵を描くことが好きな哲のために、毎日出前を頼んで哲に来させては、わざとその絵筆を置いておくのでした。誘惑に負けた哲が絵筆を眺めているところを、賢道は見逃しませんでした。
翌朝、承天はナ・ジュヒに朝食を作ります。そこへ泰勇もやって来て、どこか居心地が悪そうです。食事中、彼は金の匙について尋ねますが、承天はうまく言い訳をしてその場を離れます。
泰勇とナ・ジュヒは引き続き映像を調べ、俊泰が家に来た時の映像を見つけます。二人は警察署へ行き、父の死の再捜査を依頼しますが、却下されてしまいます。この情報はすぐに賢道の耳にも入ります。泰勇が犯人ではないと信じている賢道ですが、株価の問題もあり、この件を隠蔽しようと俊泰に会いに行きます。
同じ頃、食堂で食事をしていたナ・ジュヒは、ある女性が自分のスーツケースを持って走り去ろうとするのを見かけます。女性は驚くほどの速さで走り去り、ナ・ジュヒは追いつくことができません。
食事中の泰勇は、突然ピアノを弾き始めます。ピアノを習ったこともない彼が、なぜ弾けるのか全く分かりません。驚きを隠せない泰勇は、再び承天のノートを見返し、金の匙と老婆について承天を問い詰めます。ノートを承天に返すと、承天は明らかに動揺しますが、平静を装います。泰勇が老婆から金の匙を買ったのかと尋ねたその時、如真とナ・ジュヒが同時に現れます。
第11話の感想
第11話は、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、緊張感が高まる展開でした。ナ・ジュヒの行動力と推理力は目を見張るものがありますが、危険な橋を渡っているようでハラハラさせられます。俊泰の正体が明らかになり、彼がナ・ジュヒの父親の死に関係している可能性が高まりましたが、真実はまだ謎に包まれています。承天はナ・ジュヒを守ろうとする一方で、自身の秘密を守らなければならず、苦悩する姿が印象的でした。
如真の承天への想いが明らかになり、物語に新たな波乱を予感させます。彼女の行動は一見承天を助けているように見えますが、実は嫉妬や独占欲が根底にあるようで、今後の展開が不安です。泰勇は記憶のないままピアノを弾くという不可解な出来事に直面し、自分が何者なのか、疑念を深めていきます。彼の混乱と焦燥感が伝わってきて、見ているこちらも胸が締め付けられました。
賢道は相変わらず金で人の心を操ろうとしていますが、哲が彼の思惑通りに動くのか、注目したいところです。お金の力に屈することなく、家族の絆を守り抜いてほしいと願わずにはいられません。全体を通して、それぞれのキャラクターの心情が丁寧に描かれており、感情移入しやすいストーリーでした。次回の展開が待ちきれません。
つづく