第12話、緊迫の展開を迎えます。チン会長の容態が急変し、叔母、次男、長男は驚きと不安に包まれます。皆、会長の意識がいつ戻るのか、なぜこれほど衰弱しているのかを訝しみます。
その時、チン・ソンジュンが衝撃的な事実を明かします。会長は昏睡状態ではなく、事故の真相を密かに調べていたというのです。そして、この情報はチン・ドジュンから聞いたと告げます。一同は騒然となり、金融会社設立を妨害し、チン・ドジュンを失脚させた理事会メンバーに疑いの目が向けられます。
チン・ソンジュンの言葉を受け、叔母と長男は次男に視線を向けます。次男は言葉を詰まらせます。チン・ドジュンを社長の座から引きずり下ろしたのは表向き自分ですが、真の黒幕はチン・ソンジュンであることを知っていたからです。しかし、その瞬間、次男は閃きます。真犯人は長男なのではないかと。長男はそれを否定し、もし自分にそんな度胸があれば、会長に頭が上がらない人生を送ってなどいないと仮論します。
一方、ミンヨンは一枚の絵を持ってムンヒョンを訪ねます。事故や殺人教唆は、その絵とは無関係だと告げます。絵は偽物で、ミンヨンのギャラリーの作品の模写だったのです。一見古そうに見えますが、真作は昨年修復されたばかりでした。ムンヒョンは状況を理解します。誰かが偽物を売りつけようとしており、ミンヨンはそのギャラリーを知っているに違いないと。ミンヨンは「心画廊」と書かれた名刺をムンヒョンに渡します。
会長の手下、ウ室長は写真を持って心画廊を訪れます。担当者は代表の電話番号を伝え、ウ室長は自分で連絡を取るように言われます。ウ室長は紙の裏に押された赤い印章に気づき、担当者は画家の落款だと説明します。ウ室長は何かを悟り、トラック運転手の持っていた紙切れの裏を見て、会長の母の画室へ向かいます。紙切れの模様と画室の印章が一緻することを確認します。運転手がナンバーを書き留めた際、母の絵の印章が紙に付いてしまったのです。チン・ドジュンはこの事実を知り、驚愕します。
会長の母は会長を見舞い、悲しみに暮れる演技をします。しかし、会長は母に何故自分を殺そうとしたのかと問いただします。母は跪いて謝罪し、会長のために何でもすると誓います。それでも会長は、スニャングループ全体をチン・ドジュンに譲ると言い張ります。母は実子が妾の子の引き立て役になることを受け入れられず、会長に撤回を懇願します。
その時、会長は空腹を訴え、食事を用意するよう母に命じます。母は会長の様子がおかしいことに気づき、好機と捉えます。チン・ドジュンが会長を見舞うと、母が会長を連れ出そうとしていました。チン・ドジュンは止めようとしますが、母は無視して会長を連れ去ります。チン・ドジュンは院長に事情を尋ね、母は会長の状態を理解しており、慣れた環境に戻ることは会長にとって良いことだと聞かされます。
夜、母はチン・ドジュン一家を除く全員を夕食に招きます。会長の病状を皆に伝え、たとえ会長が意識を取り戻し、自分が犯人だと告げても、誰も信じないように仕向けようとしていました。しかし、母が発表しようとしたその時、チン・ドジュンが現れます。資料を母に渡し、この件は自分だけが知っているべきではないと告げます。母は資料を見て顔色を変えます。
この回は、家族間の争いと矛盾が激化し、会長の容態とスニャングループの未来がどうなるのか、目が離せない展開となっています。
第12話の感想
第12話は、息詰まるような緊張感とどんでん返しの連続で、一瞬たりとも目が離せない展開でした。チン会長の容態急変という衝撃的な幕開けから、家族それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語は一気に加速します。
特に印象的だったのは、チン・ソンジュンの策略です。これまで闇躍してきた彼が、ここにきて会長の事故の真相究明を装い、混乱を煽る姿は、彼の狡猾さを改めて際立たせていました。しかし、その策略の裏には、彼自身もまた、真の黒幕に操られている可能性が示唆され、今後の展開への期待が高まります。
また、ミンヨンとムンヒョンの連携プレーも見事でした。偽物の絵画を手がかりに、真実に迫っていく過程は、まるで推理小説を読んでいるかのような知的興奮を与えてくれました。二人の冷静な判断力と行動力は、物語に新たな風を吹き込んでいます。
そして、忘れてはならないのが、チン会長の母の存在です。会長の病状を逆手に取り、権力掌握を目論む彼女の冷酷さは、背筋が凍るほどでした。一見弱々しい老婦を装いながら、内に秘めた野心を露わにする姿は、まさに「悪女」と呼ぶにふさわしいでしょう。
つづく