第5話、韓国は国家破産寸前の危機に陥る。大統領は緊急会議を開き、財閥各グループに資金援助を要請する。国内の資金は枯渇し、企業倒産、従業員解雇が相次ぐ中、国内第二位の自動車メーカー、亜真自動車も危機に瀕していた。しかし、20年前のチン・ドジュンは、この事態を予期していた。
テレビ報道を見ても、道俊の表情は変わらない。これは彼が仕組んだことだったのだ。1年前、240億ウォンをドルに換金し、アマゾンに投資。アマゾン上場により資産は100倍に膨れ上がり、オ・セヒョンと共に投資会社「奇跡」を設立。最初の投資先は亜真自動車だった。
一方、チン会長も亜真自動車の買収を狙っていたが、過去の投資で資金が不足していた。道俊は亜真自動車買収に失敗。世炫はスニャングループによる買収を提案するが、道俊は従業員を守るため、自力で買収したいと譲らない。スニャングループに買収されれば、従業員は解雇されるからだ。前世で、抗議活動で負傷した父の姿を見て母が病死した経験から、道俊は同じ悲劇を繰り返したくなかった。
意見の対立から世炫と袂を分かった道俊は、チン会長に直接交渉しようと試みるが、会長は青瓦台に呼び出されていた。大統領はスニャン自動車と亜真自動車の大型車部門の合併を提案。道俊は世炫の元へ戻り、亜真自動車を世界トップ10に押し上げる計画を明かし、17%の株式を提示して世炫との協力を再び取り付ける。
世炫から説得されたチン会長は、大統領に直談判し、合併を実現させる。記者会見で、チン会長は亜真自動車の従業員を全員雇用すると約束。従業員たちは歓喜に沸いた。
道俊は実母の経営する食堂を買い取り、母にサプライズで報告しようと店に向かう。しかし、店の前に弔いの提灯が下がっているのを目にする。店内に入ると、母の遺影が。道俊は言葉もなく、ただ静かに頭を下げた。思いもよらぬ形で母との再会を果たしてしまったのだった。
第5話感想
第5話は、韓国経済の危機的状況を背景に、チン・ドジュンの周到な計画と、亜真自動車をめぐる駆け引きが描かれた緊迫感あふれるエピソードでした。道俊は1年前から危機を予測し、アマゾン投資で巨額の富を築き、その資金で亜真自動車買収を企てるという先見の明と大胆な行動力に感嘆させられます。
しかし、買収は一筋縄ではいかず、オ・セヒョンとの意見の対立、チン会長の思惑、大統領の介入など、様々な困難が道俊の前に立ちはだかります。特に、従業員を守りたいという道俊の強い思いと、合理性を優先する世炫の考えの対立は、企業買収における倫理的な側面を考えさせられる場面でした。
最終的に、道俊は世炫との協力を取り戻し、チン会長も大統領を説得、亜真自動車の買収と従業員の雇用維持を実現させます。危機を乗り越え、目的を達成した道俊の姿は、まさに「財閥家の末息子」のタイトルにふさわしい、圧倒的な手腕と存在感を感じさせました。
しかし、成功の喜びもつかの間、物語は衝撃的な展開を迎えます。実母の食堂を買収し、サプライズで報告しようと訪れた道俊を待ち受けていたのは、母の訃報でした。これまでの張り詰めた空気から一転、深い悲しみと喪失感が画面全体を覆い、視聴者の胸を締め付けます。
つづく