「彼はサイコメトラー」最終回、第16話(DVD版の31-32話)のネタバレ、あらすじと感想。
永成マンション火災事件の真犯人がソンモだと気づいたイ・アンは、衝撃のあまり意識を失い、心拍も停止してしまいます。幸い、ジェインがすぐに蘇生措置を施し、一命を取り留めました。目を覚ましたイ・アンは、ソンモの居場所を察知し、彼を捕まえようと決意します。
イ・アンの予想通り、ソンモは彼を待っていました。彼は過去の罪を全て認め、カン・グンテクの鞄の中身(ナイフ、ライター、身分証、そして焼死体の一部)を見たことで、母親と共にカン・グンテクから逃れる方法を思いついたと告白します。より多くの人を殺せば事件が注目され、カン・グンテクに罪を著せることができると考えたのです。愚かで取り返しのつかない行為だと気づいた時には、既に遅すぎました。感情表現が苦手なソンモですが、初めて恐怖と罪悪感を覚え、その感情がイ・アンを救うきっかけとなりました。
ソンモはイ・アンとジェインに心から謝罪し、逮捕を受け入れ、全ての罪を認めました。ジェインはソンモの携帯電話から検事総長との通話記録を発見します。ソンモが持っていた帳簿は、自身の罪を隠蔽するためのものではなく、公職者の汚職を暴くためのものだったのです。彼は闇号を使ってイ・アンに帳簿の場所を伝え、警察に届けさせました。
警察庁長官のウン・ビョンホは、YSS建設からの賄賂を受け取っていたことを公表し辞任。この事件は大きな波紋を呼び、ユン・テハの事件も再審理されることになりました。ジェインは事件解決の功績が認められ、異例の昇進を果たします。一方、逮捕されたカン・グンテクは殺人を否認し続け、姜ウンジュに証言させるため、そして彼女に最後に会うためでした。イ・アンとジェインは、引っ越しの準備をしながら、姜ウンジュに証言台に立つよう説得します。姜ウンジュにとって、これは残酷な選択でした。もし彼女がカン・グンテクに名前を与えていなければ、彼に好意を抱かれることも、恐怖に怯える日々も、長い逃亡生活もなかったはずです。それでも、彼女はこれが自分のすべきことだと理解し、全てを終わらせるため、そしてソンモの自首を無駄にしないため、証言台に立ちました。姜ウンジュの証言により、カン・グンテクは死刑、ソンモは懲役13年の判決を受けました。
1年後、イ・アンは警察署で手伝いをしながら、正式な警察官になるため勉強を続けています。彼の能力を知る警察官たちは、度々捜査協力を依頼します。イ・アンはソンモとも面会を続け、誰かに対する恨みや自責など、何らかの答えを求めていました。ソンモは、この日が来ることを予期しており、イ・アンとジェインを引き合わせ、自分の能力をジェインに託したのだと明かします。イ・アンを救った日から、自分の中に潜む人間と怪物との葛藤が続いていたと語るソンモ。彼はイ・アンの両親を殺した犯人でありながら、同時に命の恩人でもありました。彼がイ・アンを救い、イ・アンに能力が芽生えた瞬間、全ては既に決まっていたのかもしれません。
イ・アンとジェインは一緒に家を探し始め、同棲することを決めます。物件を見学して帰る途中、医療事故の冤罪を訴える人物に出会い、イ・アンはまたもや正義感に駆られて行動を起こそうとします。
最終回の感想
「彼はサイコメトラー」最終回は、息詰まる展開から感動的な結末まで、様々な感情が渦巻く濃密なエピソードでした。事件の真相、そして登場人物たちの複雑な心情が丁寧に描かれ、最後まで目が離せませんでした。
特に印象的だったのは、ソンモの葛藤です。罪を犯しながらも、イ・アンを救い、更生への道を歩もうとする彼の姿は、人間の心の奥底にある光と闇を象徴しているようでした。彼がイ・アンとジェインに出会ったことで、運命の歯車が大きく動き出したことを考えると、人の出会いの不思議さを感じずにはいられません。
また、姜ウンジュの決断も胸を打ちました。過去のトラウマを乗り越え、真実を明らかにするために証言台に立つ彼女の勇気は、まさに正義の象徴と言えるでしょう。彼女が抱えた苦しみと、それでも未来へと歩みを進める強さは、多くの視聴者に希望を与えたはずです。
イ・アンとジェインの関係性の変化も、このドラマの魅力の一つでした。事件を通して互いを理解し合い、支え合う二人の姿は、温かい気持ちにさせてくれます。最終的に二人が一緒に暮らし始めるという結末は、これまでの道のりを考えると、感慨深いものがあります。
全体を通して、サスペンス要素だけでなく、人間ドラマとしても非常に完成度の高い作品でした。それぞれのキャラクターが抱える過去や葛藤、そして成長していく姿は、視聴者の心に深く刻まれることでしょう。