2005年11月3日、ヨンソンアパート火災事件当日。怪我をした足首を引きずりながらも、ソンモはアパートの入り口に座り込んでいた。そこはアパートに出入りする人々を観察するのに最適な場所だった。ユン・テハは彼の傷を手当てした後も心配し続け、誕生日ケーキを買って帰宅したばかりのイ・アンと父親にこのことを話した。刑事であるイ・アンの父親は自らソンモに近づき、名刺を渡していつでも連絡するように言った。ソンモは表情を変えなかったが、二人が去った後、その心遣いを示す名刺を静かにしまった。
ソンモとジスはヘッドハンター龍会社を家宅捜索した後、証拠探しに全力を注いでいた。ジスは尋問を通して、キム・ガビョンが二人の女性を殺害した犯人であることを確認した。会社全体もキム・ガビョンを殺した人物を探していたが、警察と同じく成果は得られなかった。厳重な監視をかいくぐった犯人はかなりの腕利きだと推測された。そして黒づくめの男は、ソンモへの尾行をやめなかった。ソンモはそれを承知しており、このままでは大切なものを全て壊されてしまうと危惧していた。ソンモはジスに捜査から手を引くように説得した。捜査が深まるほどジスの危険も増すからだ。しかしジスは、ソンモが本当に大切に思っているのは自分ではなくジェインだと分かっていた。
家で休んでいたイ・アンは、ソンモの部屋で本を物色していた。しかし、知識不足の彼にとって理解できるのは国語辞典くらいだった。辞典を開くと、「嬉しい」「痛い」などの単語にソンモが印をつけていることに気づいた。その時、ジェインから電話があり、イ・アンの家の住所を尋ね、授業をしに行くと言った。イ・アンの心臓は高鳴ったが、ジェインは家に著くなり、イ・アンに辞典を使って超能力の訓練をするように指示した。イ・アンはソンモから何かを感じ取れる自信がなかった。今まで兄から何かを感じたことはほとんどなかったからだ。それでも言われた通り、一つ一つ単語に触れていくと、ついに一つの光景が浮かび上がった。幼いソンモが母親に手伝ってもらいながら、これらの単語を学んでいる光景だった。母親はソンモに、たとえ何も感じなくても、自分や他人を傷つけてはいけない、「あの人」みたいになってしまうと諭していた。情報を読み取ったイ・アンは興奮してすぐに家を飛び出し、ジェインに伝えに行った。
ジェインが戻ると、治安センター入り口の監視カメラの線が切断されていることに気づいた。部屋に入ると、皆が針金で工作をしている男の周りに集まっていた。男の手際の良さに感心したジェインは、思わず「手錠も作れそうですね」と口にした。しかし、その何気ない一言で男の手が震え、切れた針金で顔を切ってしまった。ジェインが絆創膏を渡そうとしながら話しかけると、興奮して駆け込んできたイ・アンに遮られた。男はすぐに会話を切り上げ、その場を去った。
イ・アンは情報を見たものの、意味が分からず、ジェインに逐一説明して分析を頼んだ。ジェインは、ソンモもイ・アンに助けを求めているのだと理解した。そうでなければ、ジェインにイ・アンの訓練を頼んだり、イ・アンが自分を感じ取れるようになるまで続けさせたりはしないだろう。
イ・アンはジェインの靴紐が解けているのに気づき、結んであげようとした。しかし、ジェインは無意識に足を引っ込めてしまい、イ・アンは仕方なく立ち上がった。雪が降り始めた。イ・アンは雪が大好きだった。なぜなら、誰に許可を求めることなく自由に物に触れられ、どんなに触っても、過去の辛い記憶や複雑な感情を感じ取ることがないからだ。ジェインはイ・アンに近づき、自ら手を取らせた。彼女は心を開き、イ・アンに自分の気持ちを伝えようと決心したのだ。イ・アンは、ジェインがずっと自分に抱いていた深い愛情と関心を感じ取り、感動して再びジェインにキスをした。そして、かつてジェインの父親が愛情深く靴紐を結んでくれたように、イ・アンもジェインの靴紐を結んであげた。
第8話の感想
第8話は、ミステリー要素と登場人物たちの心情描写が巧みに絡み合った、非常に魅力的なエピソードでした。特に印象的だったのは、ソンモの過去とイアンの成長です。
冒頭、火災事件の日に怪我をしたソンモを気遣うイアンの父親の姿は、温かさを感じさせました。ソンモが無表情ながらも名刺をしまうシーンは、彼の心の奥底にある優しさを垣間見ることができ、胸が締め付けられました。
一方、ジスとの捜査シーンでは、ソンモの抱える苦悩と責任感がひしひしと伝わってきました。黒づくめの男の影に怯え、ジスを危険から守ろうとする姿は、彼の深い愛情を示しています。
そして、イアンのサイコメトリー能力の訓練シーン。最初は戸惑っていたイアンですが、ジェインのサポートを受けながら、ついにソンモの過去の記憶に触れることができました。幼いソンモと母親の会話は、彼のトラウマの根源を理解する上で重要な鍵となり、今後の展開への期待を高めます。
また、イアンとジェインのロマンスも大きな見どころでした。イアンの不器用ながらも真っ直ぐな愛情表現と、ジェインの揺れ動く心情が繊細に描かれており、二人の関係性の変化に視聴者は心を奪われたことでしょう。特に、雪の中で手を取り合い、見つめ合うシーンは、二人の絆の深まりを感じさせ、非常にロマンチックでした。
つづく