1988年、ソウルへ向かう飛行機の中で、少年が窓から飛行機を追いかける人影を目撃します。その人物、キム・ドゥシクはキム・ボンソクの父親であり、韓国国家安全企画部(国情院)の重要メンバーでした。彼は機体に爆弾が仕掛けられていることを機長に伝えようとしますが、うまくいかず、飛行機は爆発、墜落。乗客乗員全員が死亡します。この事件はキム・ドゥシクに深い後悔を刻みました。

一方、ミン次長はイ・ミヒョンのファイルを見ながら、彼女の境遇に同情します。五感が鋭いイ・ミヒョンは任務中に目を負傷し、外勤から内勤に転属させられました。ミン次長はイ・ミヒョンにキム・ドゥシクに接近し、彼の国への忠誠心を調査する特殊任務を与えます。イ・ミヒョンは乗り気ではありませんでしたが、命令には逆らえず、任務を受け入れます。

ミン次長はキム・ドゥシクとイ・ミヒョンの出会いを演出するため、キム・ドゥシクの報告時間を調整するなど、周到に計画を立てます。イ・ミヒョンは指示通り、キム・ドゥシクと彼の同僚、チャン・ジュウォンが来るたびに偶然を装って出会います。徐々にキム・ドゥシクはこの美しい女性に惹かれ始め、二人はコーヒーメーカーの前で初めて言葉を交わします。

実は、これが二人の初対面ではありませんでした。二年前、「海鷗作戦」でキム・ドゥシクは指揮を、イ・ミヒョンは現場工作員を務めていました。二重スパイ摘発のための作戦で、イ・ミヒョンは歌手に変装して潜入。毒で多くの参加者が倒れますが、スパイたちは逃走。イ・ミヒョンは催涙弾の使用を指示されますが、閃光弾を使い、ドアを開けて逃走を助けます。作戦は失敗し、イ・ミヒョンは負傷。キム・ドゥシクはこの一部始終を目撃し、逃走する者たちを見逃します。この行動がミン次長の疑念を招きます。

キム・ドゥシクはイ・ミヒョンの接近の真意に気づいており、彼女に直接そのことを問いただします。イ・ミヒョンは真相を知られて安堵し、キム・ドゥシクはミン次長の危険性を警告します。二人は徐々に信頼関係を築き、食事を共にします。チャン・ジュウォンはイ・ミヒョンに忠告しようとしますが、彼女の高い地位を知り、言葉を失います。

再会した際、イ・ミヒョンはキム・ドゥシクに接近の理由を尋ねます。「私のことが美しいから?」という質問に、キム・ドゥシクは正直に「はい」と答えます。イ・ミヒョンは驚き、コーヒーを吹き出しそうになります。キム・ドゥシクの率直さに、彼女は可笑しさと共に感動を覚えます。

第8話の感想

第8話は、キム・ドゥシクとイ・ミヒョンの出会い、そして過去の因縁が明らかになる重要なエピソードでした。飛行機爆破事件の悲劇から始まることで、キム・ドゥシクの背負う重圧と、国を守る強い意誌が伝わってきました。彼が任務に忠実でありながら、非情になりきれない人間味あふれる人物であることが、イ・ミヒョンを見逃した行動からも感じられます。

一方、イ・ミヒョンは、優れた能力を持ちながらも、組織の中で翻弄される女性として描かれています。ミン次長の命令に従いながらも、良心に従って行動する彼女の葛藤が印象的でした。任務のためにキム・ドゥシクに近づきながらも、彼の誠実さに触れ、次第に惹かれていく様子が繊細に表現されていました。

二人の出会いは、ミン次長の策略によるものでしたが、実は過去に接点があったことが明らかになります。「海鷗作戦」での二人の行動は対照的でありながら、どこか共通するものを感じさせます。キム・ドゥシクは組織の命令に背き、イ・ミヒョンは指示とは異なる方法で任務を遂行しました。どちらも、人の命を尊重する気持ちから出た行動だったのではないでしょうか。

つづく