物語は、キム・ナクスという家の奴婢、クドクの過酷な境遇から始まる。冷酷な主人に虐げられ、病弱な母は生き埋めにするという非情な仕打ちを受ける。運命を変えることを決意したクドクは、父と共に逃げる日を夢見て、日々懸命に働く。
ある日、街でピーナッツを売っていたクドクは、宋家の長男、ソン・ソインと出会う。小さな誤解から始まった二人の出会いは、次第に心を通わせるものへと変わっていく。クドクはソン・ソインに、ただ殺されず、飢え死にすることなく、老後を穏やかに過ごしたいというささやかな夢を語る。その言葉は、ソン・ソインの心に深く響く。しかし、クドクが婚約者であるソヘの侍女だと知った時、ソン・ソインは苦悩する。
その後、宋家の祝宴で、ソヘを避けてソン・ソインの別棟に隠れたクドクは、二人の仲を疑われ、鞭打ちの罰を受け、更には侍寝を強いられる危機に陥る。追い詰められたクドクは、父と共に主人家から逃亡することを決意し、他の奴婢たちの助けを得て自由を手に入れる。
しかし、自由を得た後も、クドクの生活は苦難の連続だった。父の心配をよそに、クドクの父は娘の重荷になりたくないと、一人姿を消してしまう。クドクは一人で宿屋に残り、父を待ちながら、宿屋の主人を手伝って生計を立てる。
一年後、クドクは宿屋でオク・テヨンという女性と出会う。ソヘとは違い、オク・テヨンはクドクを尊重し、友人として接する。将来について語り合う中で、オク・テヨンは特権を持たない人々を助けるために外支部で働きたいという夢を語る。そして、クドクを養女として迎え入れる。しかし、その夜、宿屋は盗賊に襲われ、オク・テヨンはクドクを守り命を落とす。
翌朝、目を覚ましたクドクは、オク・テヨンからもらった指輪を身につけ、玉家の者たちにオク・テヨン本人と間違われてしまう。咄嗟の判断か、生きるための本能か、クドクは人生で初めての嘘をつき、自分がオク・テヨンだと名乗る。この嘘が、彼女の未来を大きく変えていくことになる。
一方、物語は過去に戻り、クドクとソン・ソインの出会いについてより詳しく描かれる。市場でソン・ソインをうっかり批判してしまったクドク。その言葉がソン・ソインの興味を引き、芸術に対するクドクの見識に感銘を受けたソン・ソインは、彼女に贈り物をする。また、宋家の祝宴で、クドクが偶然にもソン・ソインの私的な空間に迷い込んでしまったことが、彼にクドクへの恋心を芽生えさせるきっかけとなる。ソン・ソインはソヘとの結婚が不適切だと考え、婚約を破棄しようと決意する。ソヘはクドクの仕業だと考え、彼女を殴打する。クドクはこの機会に父と逃亡し、その際に主人家への復讐を果たす。
また、ソン・ソインは自分が捨て子ではなく、芸妓の子供であるという出生の秘密を知る。その事実に衝撃を受けたソン・ソインは家出をし、母の生きた太和館へ向かうが、既に母は亡くなっていた。クドクの父は娘の負担になりたくないと彼女のもとを去り、クドクは宿屋で父を待ち続ける。
物語の最後に、クドクは玉家の娘として、オク・テヨンという偽りの身分で新たな人生を歩み始める。彼女がついた嘘は、これから様々な波乱を巻き起こすことになるだろう。
第1話感想
「オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-」第1話は、過酷な運命に立ち向かう主人公・クドクの力強い姿が印象的な幕開けとなりました。奴婢という身分に縛られ、理不尽な仕打ちを受けるクドクの境遇は、胸を締め付けられるものがあります。それでも、自由への希望を捨てず、懸命に生きる彼女の姿には、心を打たれました。
特に、市場でのソン・ソインとの出会いは、物語に一筋の光を差し込むようでした。身分違いの恋という、時代劇ならではの展開に期待が高まります。二人の間の、まだ淡いながらも確かな心の繋がりは、今後の物語の鍵となるでしょう。しかし、婚約者・ソヘの存在が、二人の関係を阻む壁となることは避けられそうにありません。
クドクがソン・ソインの別棟に隠れたことで誤解を受け、鞭打ちの罰を受けるシーンは、見ていて辛くなるほどでした。クドクの必死の抵抗も虚しく、逃亡を余儀なくされる展開は、彼女の置かれた状況の過酷さを改めて突きつけます。父との逃亡劇、そして父の突然の失踪は、クドクの孤独を際立たせ、今後の試練を予感させます。
つづく