キム・ドギは手術室の証拠を探すため、自ら手術台に上がる。ゴウンは執刀医がアン・ヨンスクではなく、コン医師だと気付く。メスが入れられる寸前、パク・ドンソンの家族が手術の催促をし、アン・ヨンスクは患者の取り違えに気付く。こうしてキム・ドギは一命を取り留める。ゴウンは手術室の構造が特殊で、幽霊医師が出入りできるようになっており、秘密が隠されていると推測する。

キム・ドギは尾行の末、アン・ヨンスクが医療機器メーカー「医療楽園」と繋がりがあることを突き止める。コン医師はこの会社の営業部長で、違法な手術を行っていた。機の上には手術スケジュールまであった。

チャン・ソンチョルは、代理手術で人件費を削減できるため、金銭目的で行われていたと推測する。アン・ヨンスクは以前、安智恩という名前で地方で診療所を開いていたが、代理手術で罰金と執行猶予を受けていた。その後、名前を変え、今の病院で同じ罪を繰り返していた。夜、アン・ヨンスクはコン医師を呼び出し、更なる手術を指示する。休暇を求めるコン医師を許さず、キム・ドギは酒を飲んだ二人が手術を行うのを阻止するため、タクシーでコン・スホを連れ出す。道中、キム・ドギはハン・スヨンの手術の真相を問い詰める。

ハン・スヨンの手術中、コン・スホのミスで大量出血が起こる。アン・ヨンスクは一旦は処置を試みるも、傷口を閉じ、秀蓮の父親には手術の成功を偽り、コン・スホには麻酔の副作用だと説明するよう指示した。キム・ドギは真相を知りながら黙っているコン・スホを共犯者だと非難し、アン・ヨンスクの悪行を助長していると責める。一方、コン・スホと連絡が取れなくなったアン・ヨンスクは激怒し、医療機器の交換と取引停止を命じる。しかし、キム・ドギは目的指向で手術を優先するアン・ヨンスクが、なぜ手が震えるほど酒を飲み、ボランティアに時間を割くのか疑問に思う。オン・ハジュンが見舞いに来た時、キム・ドギはアン・ヨンスクの手術室前に家族がいないことに気付き、真相を推理する。

アン・ヨンスクはボランティアで高齢者と接触し、半ば強製的に不要な手術を勧めていた。手術費用は主に公費負担で、家族のいない独居高齢者を狙っていた。手術が失敗しても、アン・ヨンスクは加害者であると同時に後見人でもあるため、疑われることはなく、法の抜け穴を利用した完全犯罪を成立させていた。アン・ヨンスクは新しい医師を見つけ、幽霊医師として手術の練習をさせていた。病院では手術を受けた高齢者が意識不明のまま放置され、死亡した場合は独居老人の病死として処理するよう院長に指示していた。

キム・ドギは病室で院長を排除した後、チームと計画を実行に移す。意識不明の高齢者を転院させ、アン・ヨンスクを陥れる計画を立てる。サイン会とテレビ出演中のアン・ヨンスクは、病院の収益を青鳥基金に寄付すると発表され、「貧民のシュバイツァー」と称賛される。病院には重複使用の注射針と鎮静剤の偽造の告発があり、監査が入る。身に覚えのないアン・ヨンスクは証拠を提出できず、記録や監視カメラ映像も残っていなかった。窮地に陥ったアン・ヨンスクを尻目に、コン・スホは警察に出頭していた。

オン・ハジュンはキム・ドギの家に忍び込み、証拠を探し、弱みを見つけようとする。キム・ドギはアン・ヨンスクが名前を変えて逃亡する可能性を考え、二度と手術ができないよう手を潰すことを決意する。一方、オン・ハジュンは警察上層部を通じてキム・ドギの排除を計画し、キム・ドギとチームの車が爆発事故に巻き込まれる。

第10話の感想

「模範タクシー2」第10話は、息詰まる展開で、アン・ヨンスクの悪行の巧妙さと、キム・ドギの緻密な復讐計画が見事に描かれていました。アン・ヨンスクが、法の抜け穴を突き、高齢者を食い物にするやり方は、まさに背筋が凍る悪質さです。弱い立場の人々を狙い、罪悪感のかけらも見せない冷酷さに、怒りを覚えました。

特に印象的だったのは、キム・ドギがコン・スホを追い詰めるシーンです。自身のミスを隠蔽し、アン・ヨンスクの共犯者となってしまったコン・スホの苦悩と、キム・ドギの鋭い追及が、緊迫感あふれる場面を作り出していました。真実を明かすことでしか贖罪できないコン・スホの姿は、見ていて辛くもありましたが、正義を貫くことの重要性を改めて感じさせられました。

また、キム・ドギがアン・ヨンスクの犯罪を暴くために仕掛けた罠は見事でした。サイン会での寄付発表や、病院への監査など、緻密に計算された計画によって、アン・ヨンスクは追い詰められていきます。彼女の焦りと絶望が、見ていて痛快でした。

つづく