ダノはカン・サンと共に旅に出る夢を一旦諦める。カン・サンは国を治めるべきであり、民もまたカン・サンを必要としているからだ。そんな中、イ・チャンが意識を取り戻し、サンソンは驚き慌てふためく。保身のため、サンソンはイ・チャン側につき、「イ・ソル」の正体を明かすと言う。しかし、彼はカン・サンではなくチョン・ユハを「イ・ソル」だと名指しし、真のイ・ソルであるカン・サンの即位を企む。

チョン・ユハは新たな人生を始めようと旅立ちを決意し、ファリョンに別れを告げ、贈り物を渡す。さらにファリョンに共に旅立とうと誘い、ファリョンは深く感動する。キム・シヨルはカン・サンに何も告げずにいたが、カン・サンは推理によってキム・シヨルとホンジュ、張炫の関係、そしてキム・シヨルの苦悩の理由を知る。

イ・チャンの命を受けたチャン・テファは、「イ・ソル」であるチョン・ユハを捕らえようと動き出す。彼は謀仮人を捜す名目で宮中を捜索し、看守人とイ・ソルを追う口実を作る。キム・シヨルはホンジュと辛い別れを告げ、カン・サンにホンジュの保護を頼む。カン・サンは、キム・シヨルが自由を得たのではなく、より深い闇に落ちてしまったと感じる。この時、チャン・テファは二花院に現れ、ダノとホンジュを人質に取り、チョン・ユハとキム・シヨルをおびき出そうとする。チョン・ユハとカン・サンが駆けつけると、二人もまたチャン・テファの手下に捕らえられる。

窮地に陥った一同は、キム・シヨルの到著を待つしかない。キム・ファンはキム・シヨルに事態を伝えるが、彼は再び剣を手にし看守人となることを拒む。シン・ウォノは宮中でイ・ソルの即位を宣言するが、そこにイ・チャンが姿を現す。カン・サンはチャン・テファと交渉を試みるが失敗し、ついに自分がイ・ソルであることを認める。イ・チャンはチョン・ユハをイ・ソルだと信じ込んでいるため、チャン・テファはチョン・ユハの首に剣を突きつける。皆を守るため、チョン・ユハもまた自分がイ・ソルだと認める。ファリョンはチョン・ユハがイ・ソルではないことを証明しようとするが、チャン・テファは既に剣を振り下ろしていた。ファリョンはチョン・ユハをかばい、最期の瞬間に「お母さん」と叫ぶ。

キム・シヨルがついに姿を現すが、ホンジュは彼の看守人としての正体を知る。チャン・テファはキム・シヨルを追い詰めるため、彼が張炫を殺した事実を暴露する。ホンジュは信じたくないものの、キム・シヨルはついに自ら事実を認める。チョン・ユハは、イ・チャンに自分がイ・ソルだと信じ込ませ、全てを終わらせるため、その場に残ることを選ぶ。彼はカン・サンに助けに来ると言い残し、イ・チャンの軍隊に包囲される。

第16話の感想

第16話は、息詰まる展開の連続で、涙なくしては見られない回でした。特にファリョンの最期は、視聴者の心を強く揺さぶるものでした。母であるチョン・ユハを守るため、身を挺してチャン・テファの剣を受け止める姿は、まさに「母性」の象徴であり、深い感動を覚えました。ファリョンはこれまで、明るく快活なキャラクターとして描かれてきましたが、最後の瞬間で見せた勇敢な行動は、彼女の内に秘めた強さを改めて認識させるものでした。

また、キム・シヨルの苦悩も印象的でした。愛するホンジュを守るため、看守人としての正体を隠し続けなければならず、さらに張炫を殺めたという罪悪感を抱えながら生きてきた彼の苦しみは計り知れません。ホンジュに真実を告白するシーンは、見ているこちらも胸が締め付けられるような思いでした。

そして、カン・サンの決断も注目すべき点です。国と民のために、自らがイ・ソルであることを明かす覚悟を決めた彼の姿は、真の王としての風格を感じさせました。しかし、同時に、愛するダノや仲間たちを危険にさらしてしまうことへの葛藤も描かれており、彼の苦悩が伝わってきました。

つづく