ペク・ヒソンとチャ・ジウォンは娘のペク・ウナと3人暮らしの夫婦だ。ペク・ヒソンは暗い過去を持つ。今の両親は実の親ではなく、かつて連州市連続殺人事件の逃亡犯、ト・ヒョンスだったのだ。だが、警察官のチャ・ジウォンと結婚し、今は幸せな家庭を築いているように見える。
ペク・ヒソンの誕生日、一家は祖父母の家で祝う。しかし、家族の雰囲気は冷え切っている。ペク・ヒソンと「両親」の間にはほとんど会話がなく、チャ・ジウォンと恩夏だけが落ち著かない様子だ。このぎこちない空気は日常茶飯事で、ペク・ヒソンも気に留める様子はない。
一方、ソウル西仁洞のアパートで、12歳の少年、キム・インソが階段で頭を打ち、気を失う事件が発生。意識を取り戻したキム・インソは、父親のキム・サンジンに殺されそうになったと訴える。キム・インソによると、肥満の彼を嫌う父親が、ダイエットで弱っているところを突き落としたという。しかし、キム・サンジンは友人と会う約束があり、息子とは別行動だったと主張する。チャ・ジウォンは靴に著目し、防犯カメラの映像でキム・サンジンが逃走する様子がないことを確認。結局、事件は事故と判明。キム・インソは近所の子供の犬に驚いて転倒したのだった。
捜査の中で、チャ・ジウォンはキム・インソの母親、コ・ヘヨンの様子がおかしいことに気づく。薬瓶の中にはゴキブリが入っていた。さらに調べると、コ・ヘヨンのビタミン剤が別の薬にすり替えられており、それが原因で彼女の思考が鈍っていたことが分かる。実は、父親の浮気を知ったキム・インソが、母親に薬を飲ませ、以前の聡明さを失わせ、薬瓶にゴキブリを入れて異変に気づかせようとしていたのだ。キム・サンジンは浮気と家庭への裏切りで罪に問われる。
その頃、記者のキム・ムジンがネックレスの修理でペク・ヒソンの工房を訪れる。そこで、ペク・ヒソンがト・ヒョンスであることに気づいてしまう。正体がバレることを恐れたペク・ヒソンは、スピーカーの音でキム・ムジンの叫び声を消し、睡眠薬入りの茶を飲ませ、抵抗できないようにする。そして、最後は自らの手でキム・ムジンを絞殺する。しかし、キム・ムジンは即死せず、地下室に監禁される。
チャ・ジウォンは姑のコン・ミジャから電話を受け、心無い言葉を浴びせられる。夫に心配をかけまいと、チャ・ジウォンは姑との不仲を隠す。帰宅後、ペク・ヒソンと娘の楽しそうな姿を見て、チャ・ジウォンはひとまず嫌なことを忘れようとする。
ラストシーン、ペク・ヒソン一家はいつものように幸せそうに過ごしている。一方、地下室のキム・ムジンは目を覚ます。生きてはいるが、自由を奪われたまま閉じ込められていることに気づき、物語は幕を閉じる。
第1話感想
「悪の華」第1話は、息詰まるようなサスペンスと、偽りの仮面を被った男の二面性を鮮やかに描いた、衝撃的な幕開けとなりました。一見完璧に見える家族、優しい夫、そして愛らしい娘との穏やかな生活。しかし、その裏には、過去の犯罪を隠蔽し、正体を偽って生きる男の恐るべき秘密が潜んでいるのです。
ペク・ヒソンの巧妙な立ち回り、そして日常に潜む不穏な空気が、視聴者を画面に釘付けにします。誕生日を祝う家族のシーンでは、ペク・ヒソンと両親との間のぎこちなさが、彼の偽りの人生を暗示しているかのようです。対照的に、妻のチャ・ジウォンと娘のペク・ウナに見せる優しい笑顔は、彼が築き上げた虚構の世界を象徴しています。
事件の捜査シーンでは、チャ・ジウォンの鋭い洞察力と冷静な判断力が際立ちます。些細な違和感も見逃さない彼女のプロフェッショナルな姿は、今後の展開における重要な鍵となるでしょう。一方、キム・インソの事件は、一見単純な家庭の問題に見えながら、少年の複雑な心情と驚くべき真相が隠されており、視聴者を深く考えさせられます。
つづく