第5話では、ロッカールームでテヨンとグォンスクの会話から始まります。コーチのホフンにリングへ呼ばれたグォンスクを、テヨンは引き止め、チョ・アラに一発ももらわないよう励まします。試合が始まり、序盤はアラが優勢でしたが、後半グォンスクがリズムを取り戻し、ノックアウト勝ちを収めます。周囲が勝利を喜ぶ中、グォンスクは倒れたアラを心配し、テヨンもそんな彼女の心情を察します。
試合後、アラは担架で運ばれ、キム代表はテヨンに近づき、最初の試合が計画通りに進んだことに興奮を隠せません。グォンスクは取材を拒否し、アラの様子を見に行きますが、アラはグォンスクの心配を勝利に浸る嫌味と捉え、追い返してしまいます。
アラの部屋の外でグォンスクを待つテヨン。彼女は取材を受けたくないと言い、テヨンは彼女を連れ出し、ドーナツ屋へ。そこでテヨンはグォンスクがボクシングを怖がる理由を尋ねます。グォンスクは、かつて親友のヨンギョンを試合で傷つけ、ボクシングをやめさせてしまった過去を語ります。リングに上がると凶暴になってしまう自分を怪物だと語り、父親に道具のように扱われ、母親も傷つけられた過去、そして母親の死後、ボクシングを続ける理由を失い身を隠していたことを明かします。
その後、グォンスクはテヨンを父親の食堂へ連れて行きます。テヨンは父親と内通していることがバレるのを恐れ、初対面を装います。父親は二人にカルビタンを作ります。
チョルヨンから呼び出されたテヨンは、外で彼と対峙します。そこへグォンスクが現れ、二人が知り合いであることに気づきます。テヨンは怒った彼女に殴られるかと覚悟しますが、グォンスクは二人の企みには構わないと言い、ただ自分を裏切らないでほしいと頼みます。テヨンは約束し、グォンスクは怒りが収まるまで距離を置くように言います。翌日、ジムを休むと告げるグォンスク。それを聞いたチョルヨンは、テヨンに彼女の休日の行き先を探るよう指示しますが、テヨンは拒否します。
翌日、ジェミンがグォンスクを迎えに来ます。テヨンとチョルヨンは二人を尾行し、キャンプ場までついて行きます。ジェミンはキャンプ慣れしている一方、テヨンはテント設営に苦戦します。チョルヨンはジェミンとグォンスクに合流し、食事にテヨンも誘います。一方、アラムのコーチは、プロモーターとの連絡が途絶え、タイトルマッチのプロモーションに苦労していました。キャンプ場では、食事の後、テヨンとジェミンが片付けをし、グォンスクとチョルヨンは海岸を散歩します。チョルヨンはテヨンの悪評を語り、契約解除を勧めますが、グォンスクは自分の人生を狂わせたのは父親だと非難し、二度と口出ししないよう警告します。
夜、ジェミンとグォンスクは焚き火を囲んで過ごします。グォンスクは休日の邪魔をしたことを謝り、ジェミンは次の試合後、もっと長く一緒に過ごそうと提案します。「やり直す」という言葉の意味をグォンスクは気に留めます。チョルヨンは遠くからテヨンとグォンスクが話している様子を窺います。車に戻ると、チョルヨンはテヨンに内容を尋ねますが、テヨンはグォンスクが父親と二度と会いたくないと言っていたことだけを伝えます。二人はキャンプ場を去ります。
アラムの防衛戦は中止となり、スヨンは理由を探ります。ソンコーチとアラムはスヨンに怒り、ジムを訪ねてきた彼女を無視します。テヨンはソンコーチに会い、グォンスクのデータを提供します。テヨンは以前のアラムの対戦相手に手を回し、東南アジアのプロモーターにも圧力をかけて、ソンコーチが代わりの対戦相手を見つけられないように仕組んだことを明かします。そして、グォンスクと対戦し、勝つように頼みます。ボクシング界の活性化のため、グォンスク以外のスターを育てたいという、ソンコーチの夢を葉えるためだと語り、試合費用を負担すると申し出ます。
アラムはジムでグォンスクに、テヨンが自分のタイトルマッチを潰したことを告げ、対戦を要求します。しかしアラムはグォンスクを本物のボクサーではないと拒絶します。夜、テヨンはグォンスクに会いに行きます。謝罪しようとするテヨンに対し、グォンスクは何としてもアラムとの試合を実現させてほしいと頼みます。テヨンはグォンスクに食事と励ましのメモを残します。数日間、野外トレーニングをすることも告げます。
スヨンはスポーツ&パッション社で、テヨンが二人組の男といるのを目撃し、声をかけます。二人はアメリカのスポーツ会社「ランブルハンターズ」の重役でした。スヨンはランブルハンターズがアラムの試合中止に関わっているのではないかと疑い、テヨンの取引材料がグォンスクのアメリカデビューではないかと推測します。
海岸で、グォンスクは引退について尋ねますが、テヨンは答えず、彼女を海に投げ入れます。スヨンは、テヨンがグォンスクのアメリカ進出の取引をしたと考え、グォンスクがアラムに勝つことが条件だと推測します。スヨンはアラムのための計画があると語り、グォンスクに負けることはないと決意します。
第5話の感想
第5話は、グォンスクの過去とテヨンの思惑が交錯する、重厚なエピソードでした。リングの上では圧倒的な強さを見せるグォンスクですが、その内面には、過去のトラウマと父親への複雑な感情を抱えていました。親友を傷つけた罪悪感、道具のように扱われた苦しみ、そして母親への想い。彼女の告白シーンは胸が締め付けられるほど切なく、ボクシングを怖がる理由が痛いほど伝わってきました。
一方、テヨンはグォンスクの父親と繋がっていることが明らかになり、彼の真の目的がますます謎めいています。一見、グォンスクを支えているように見えますが、その行動の裏には計算高さが垣間見え、今後の展開が不安になります。二人の関係は、信頼と裏切りが複雑に絡み合い、緊張感が高まっています。
また、アラムのタイトルマッチ中止の裏にテヨンが関わっていることも判明し、彼の冷酷な一面が露わになりました。ボクシング界の活性化という大義名分を掲げていますが、その手法はあまりにも強引で、犠牲者が出てしまうことに心を痛めます。
つづく