グォンスクはアパートで、テヨンの様子を尋ねるホジュンからのメッセージを受け取る。ランニングに出かける準備をしながら、彼女はテヨンの部屋をノックするが返事はない。部屋に閉じこもったテヨンは、床に散らばった酒瓶に囲まれ、兄とキム氏のことを考えていた。

その後、ホジュンとグォンスクが朝食の準備をしていると、善宰が訪ねてくる。テヨンを心配して様子を見に来たのだ。グォンスクは、テヨンが3日間も部屋から出ていないことを伝える。善宰は、熙媛の遺体が台湾から到著したことを伝えに来たのだった。

葬儀に出席しようと部屋から出てきたテヨンだが、善宰はチームマネージャーのヨンエから葬儀への出席を控えるよう頼まれたと伝える。しかし、テヨンはそれを振り切り葬儀場へ向かう。靴を履くのを忘れ、グォンスクが追いかける。同行を申し出るグォンスクだが、テヨンは一人で行くと言い張る。彼女はタクシーを呼ぶ。

葬儀場には記者たちが待ち構えていた。ヨンエが記者たちの気を逸らそうとする中、スヨンはテヨンを脇に連れ出し、家に帰るよう説得する。テヨンは、熙媛の死を自分の目で確かめなければ信じられないと言い、なぜ熙媛が死んだのか、自殺する理由がなかったはずだと考える。スヨンは、熙媛が亡くなる日まで八百長への参加を強要されていたと記者から聞いたことを伝える。

記者たちは、熙媛の死ではなく、八百長事件の黒幕をカメラに収めようと葬儀場に集まっていた。テヨンは、記者パクから、熙媛が台湾へ発つ前にキム氏の部下と会っていたという話を聞いたことを思い出す。記者たちは、テヨンが八百長に関わっていると睨み、スキャンダルとの繋がりを見つけ出そうと待ち構えていた。テヨンは葬儀場の中には入らなかった。

代わりに、テヨンはパランツアーのキム氏のオフィスへ向かう。警備員に賄賂を渡し中に入るが、オフィスはもぬけの殻で、ロッカーの中に兄の写真があるだけだった。オフィスには隠しカメラが設置されていた。

家に戻ったテヨンは、ホジュンの家に行こうとするが、グォンスクに気づかれる。彼女はテヨンにアパートに留まるよう促す。彼は部屋の壁に飾られたアスリートたちの写真を激しく床に叩きつける。慰めようとするグォンスクに、怪我をするから近寄るなと告げる。

アルムとグォンスクは、試合のプロモーション写真の撮影に臨む。テヨンのことが心配で落ち込んでいるグォンスクは、チャンピオンとしてのオーラを放つ元気もない。撮影後、スヨンはグォンスクを呼び出し、テヨンのことで手に負えなくなったら連絡するようにと伝える。何か力になれるかもしれないと。

チョルヨンは、テヨンに頼まれたと言ってカルビタンを持ってきたふりをして、ジムにいるグォンスクを訪ねる。しかし、本当の目的はテヨンの様子を伺うことで、グォンスクは彼が辛うじて生きている状態だと伝える。チョルヨンは、テヨンの状態がグォンスクの試合に影響するかどうか尋ねようとするが、彼女は彼とボクシングの話をしたくないと言う。

テヨンの母は、電話に出ないテヨンのことを心配し、スヨンを訪ねる。スヨンがテヨンの家まで連れて行こうとする申し出を断るが、テヨンに電話するように頼むと約束する。グォンスクはスヨンに電話をし、スヨンはその夜遅くにテヨンのアパートへ向かう。

テヨンは部屋に閉じこもり、何日も出てこない。グォンスクが寝ている間に時々出てきて少しだけ食事をするが、ノックしても返事はない。

スヨンは部屋に入る方法を見つけ、テヨンは彼女に慰められる。グォンスクはそれを快く思っていないようで、自分の部屋で泣いている。翌日、ランニング中に、年配の夫婦の知り合いに会う。男性は彼女の恋人であるテヨンについて尋ねる。彼女は恋人ではないと言い、どこでそんな風に思ったのかと尋ねる。

夫婦は、以前の彼女のランニングは義務的だったが、テヨンと出会ってからは一緒に走っている時楽しそうだと話す。グォンスクはテヨンのために何かしたいと思っているが、自分がまだ若いため何もできないと感じていると話す。男性は、テヨンが仮対しない限り、何でもやってみるべきだとアドバイスする。

グォンスクは無理やりテヨンを部屋から連れ出し、リングへ連れて行く。彼女は彼にリングで怒りをぶちまけるように励ます。彼女は自身の母の死の経験と、どのようにリングで感情を解放してきたかを語る。彼女は彼に気持ちを吐き出し、話すように促し、自分は喜んで話を聞くと伝える。彼は熙媛について語り、涙を流す。

翌日、テヨンの様子は良くなっているようだ。彼は早起きしてグォンスクに食事を届け、朝のランニングに同行する。彼女は再び一緒に走れることを喜び、飴のおじいさんの言葉を伝える。以前のランニングは宿題のようだったが、テヨンと一緒だと楽しいと。

アルムは練習でベストな状態ではない。コーチのソンとヘジンは彼女を心配するが、彼女は大丈夫だと説得する。しかし、ロッカールームで一人になると、右腕を動かすのに苦労し、痛みを感じている。

テヨンはスヨンに会う約束をする。彼は休養を取ると告げ、次の試合は善宰が担当すると言う。スヨンは、試合後に復縁を申し出た自分に対する彼の別れ方だと考えている。

オフィスで、テヨンは熙媛についての記事の訂正を求めるメールを送った記者から返信を受け取る。記者は、訂正を裏付ける証拠がないため、訂正記事は掲載できないと回答する。その後、彼はジムに行き、ホジュンと個人的に話す。

帰り道、グォンスクは彼が何かを隠していることに不満を漏らす。二人が親しげにしていると、記者パクが写真を撮る。テヨンはグォンスクに帰るように言う。記者パクは、二人の間に何かあるのではないかと探りを入れる。テヨンは、グォンスクが才能あるボクサーなので大切に思っていると認める。

記者パクは、グォンスクの独占インタビューをさせてもらえるなら、熙媛について正しい記事を書くと持ちかける。テヨンはグォンスクにメモを残し、朝のジョギングにはもう同行しないと伝える。ランニング中、グォンスクはテヨンの不在に動揺し、人にぶつかってしまう。

テヨンはチーターのコーチに会うため公園に行く。キム氏の居場所を尋ね、孫娘に彼のしたことを話すと脅す。コーチは賭博サイトを閉鎖して以来、彼らの居場所は知らないと言う。新しいリンクが送られてくるはずで、届いたらテヨンに送ると約束する。しかし、テヨンは密かにコーチの会話を録音していた。

夕方、家に帰ったグォンスクは、テヨンからメッセージの返信がないことに気づく。不満のメッセージを打ち込んでいると、テヨンからジムで会うよう連絡が入り、怒っていた顔が笑顔に変わる。しかし、彼は記者パクとのインタビューを受けるように頼む。彼はなんとかグォンスクを説得し、記者パクと話すことになる。

記者パクは人間関係について質問した後、テヨンが彼女を復帰させた際に何か特別な提案をしたかどうかを尋ねる。グォンスクはテヨンの言葉を思い出すが、試合に負けて一緒に逃げることについては話さない。代わりに、彼は彼女に最高の試合を約束し、行きたい場所に連れて行ってくれると言ったと語る。彼女は約束を守ってくれた彼を賞賛し、記者パクはインタビューを終瞭する。

レストランの外で、記者パクは、熙媛が遺書に誰の名前も書かなかったのは、守りたい人が関係していたからではないかと考える。インタビューの後、テヨンはグォンスクをアパートではなく実家に連れて行く。彼は、次の試合は善宰が担当すると伝える。

彼は契約書を破り、二人の契約は終瞭したと告げる。彼は約束通り最高の試合を用意したからだと言う。そして、彼女がアメリカ行きを望んでいないため、試合後引退しても構わないと伝える。

第8話 感想

「純情ボクサー」第8話は、熙媛の死をめぐる真相と、テヨンの苦悩、そしてグォンスクとの関係の変化が描かれた、重くも心に残るエピソードでした。

特に印象的だったのは、テヨンの深い悲しみと怒りです。兄の死、そして熙媛の自殺という、立て続けに起こった悲劇に、彼は精神的に追い詰められていきます。部屋に閉じこもり、酒に溺れ、怒りを爆発させる姿は、彼の抱える苦悩の深さを物語っていました。

そんなテヨンを支えようとするグォンスクの姿もまた、胸を打つものがありました。テヨンの苦しみに寄り添い、彼のためにできることを精一杯探す彼女の姿は、二人の絆の強さを感じさせます。リングで感情を爆発させるよう促すシーンは、二人の関係性が単なる契約関係を超えたものであることを示す、重要な場面だったと言えるでしょう。

一方で、八百長事件の真相も少しずつ明らかになりつつあります。キム氏のオフィスを訪れたテヨンは、そこで兄の写真を発見し、事件との関連性を強く意識します。記者たちの存在も、物語に緊張感を与えています。

また、テヨンとスヨンの関係、そしてグォンスクとチョルヨンとの関係など、様々な人間関係が複雑に絡み合い、今後の展開がますます気になる終わり方でした。テヨンがグォンスクとの契約を破棄したことで、二人の関係はどうなっていくのでしょうか?グォンスクはボクシングを続けるのでしょうか?そして、八百長事件の真相は?多くの疑問を残しつつ、次回への期待が高まるエピソードでした。

つづく