幼い頃、姉のジェナは妹のジェイをいつも守っていた。厳しい父親からジェイが罰を受けないように、わざとテストで間違えていたのだ。まるで赤ちゃんのようにジェイを可愛がっていた。

しかし、10代になると状況は一変する。ジェイはジェナと競争するように言われ、ジェナを無視し始める。突然の距離に耐えられなくなったジェナは、祈りに救いを求めた。家族が自分を憐れんでくれるように、不治の病にかかりたいと願ったのだ。奇妙なことに、その願いは叶い、ナルコレプシーと診断される。

診断後も、周囲の期待は変わらなかった。ジェイは見舞いに来るものの、すぐに勉強のために帰ってしまう。ジェナが回復し始めると、父親の反応は冷たかった。病気を理解したのだから、学校で1番になるべきだと言われ、ジェナは打ちのめされる。成功へのプレッシャーは、彼女を限界へと追い詰めた。

大きな期待を背負い、学校に戻ったジェナは、プレッシャーに押しつぶされ、薬に手を出してしまう。ある雨の夜、試験問題を盗むために学校に侵入するが、そこでスルギの父親であるウ・デホ先生に見つかり、彼の前で倒れてしまう。

目を覚ますと、まだ先生がそこにいた。父親に連絡されたのではないかと恐怖に襲われたジェナは、先生に連絡しないよう懇願し、必死の思いで抱きついた。そして、計算ずくでスマートウォッチのカメラを起動し、その一部始終を密かに録画する。この動画が全てを変えることになる。

現在、ジェナとジェイは印刷室で会っている。ジェナはジェイに、父親がデホ先生を殺したことを知っているかと尋ねる。ジェイの手に持っていた電話に気づき、それが亡くなった先生の物だと悟ったジェナは、それを奪おうとする。もみ合っているうちに電話は窓の外へ落ちてしまう。

ジェイは逃げ出すが、ジェナは必死で電話の後を追って飛び降りる。電話を見つける前に警備員が現れ、フラッシュバックに襲われたジェナはパニックになり逃走する。一方、ジェイは茂みを探し、電話を回収する。学校の記念行事は、スルギが怪我をするという騒動で幕を閉じる。

一方、薬で朦朧としたボムスは教師から尋問を受けている。イェリは隅に隠れてそれを聞いていた。ジェイはスルギが搬送された病院へ急ぐ。手術室にはスルギと父親がいる。ジェイが到着すると、父親は驚くべき命令を下す。医大進学のため、スルギの手術を執刀して腕を磨けと言うのだ。ジェイはそれに従う。

教室では、教師が電子タバコや薬などを没収し、生徒たちにロッカーを開けるように指示する。薬を売っていることがバレるのではないかと、ジョアはパニックになり、ジェイに電話で助けを求める。ジェイは黙っているようにと指示する。

一方、チェギョンの母親は、娘がナイフを持っているのを見て、探し始める。チェギョンは学校が隠蔽するだろうから自分でやったのだと主張する。同時に、ボムスがスルギを傷つける衝撃的な動画がSNSで拡散される。

目を覚ましたスルギは、拡散された動画を見る。そこにジェイが現れ、後ろから抱きしめる。ジェイはスルギを慰めようとするが、父親の電話について聞かれると嘘をつく。二人の会話は険悪なムードになる。ジェイは、スルギの父親が生徒と不適切な関係を持っているという噂について話す。怒ったスルギは立ち去る。

施錠されたドアのため病院に戻れずにいたスルギは、恐ろしい光景を目撃する。ジェイの父親が、2、3人の男と共に遺体を運んでいるのだ。その後、ピョンジンから鎮痛剤を求める電話を受け、病院に忍び込むが、そこで見たものはさらに恐ろしいものだった。

病院の中で、見覚えのある黒い袋が置かれた部屋にたどり着く。袋からは足がはみ出ている。恐怖に襲われるスルギ。彼女が反応する間もなく、背後に人影が現れる。心臓が激しく鼓動する。スルギが恐怖に凍りつくところで、物語は幕を閉じる。

第9話の感想

「善意の競争」第9話は、息詰まる展開で視聴者を釘付けにした。ジェナとジェイの複雑な姉妹関係、そして隠された過去の真実が徐々に明らかになるにつれ、物語はより深い闇へと引き込まれていく。

特に印象的なのは、ジェナの絶望感と孤独だ。幼い頃は妹を守るために自分を犠牲にし、成長してからは激しい競争に晒され、ついに薬にまで手を出してしまう。彼女の歪んだ愛情表現と、追い詰められた末の行動は、見ていて胸が締め付けられる。

一方、ジェイの冷酷さも際立っている。父親の命令に従いスルギの手術を執刀する場面は、彼女の倫理観の欠如を如実に表している。スルギとの会話でも、父親の秘密を守るために嘘をつき、冷淡な態度を取る。二人の姉妹の対比が、物語の緊張感をさらに高めている。

そして、ラストシーンのスルギの恐怖は、視聴者に大きな衝撃を与える。ジェイの父親が遺体を運ぶ姿を目撃し、病院で黒い袋に入った遺体を発見する。一体誰が殺されたのか、ジェイの父親は何を隠しているのか、様々な疑問が渦巻き、次回への期待が高まる。

つづく