ハン・カウンは絶望の中、王宮に入ります。以前は父の行動、つまり命を捨てる意味が理解できませんでしたが、民の苦しみ、辺首会の悪行、そして羊の毒死を見て、父の深い思いを悟ります。自分の理想のため、父は絶望的な道を選んだのでした。世子はカウンが去ることに耐えられず、連れ戻そうとしますが、チョンウンとウ・ボに止められ、ウ・ボは世子に賤民のイ・ソンの助けを求めるよう助言します。一方、宮中では大妃が、ハン・カウンは若くして父を亡くし孤独だから、特別に王に仕えるため宮中に来たと告げます。偽の王は喜び、大妃は偽の王に、カウンをまず宮女にし、時期を見て側室にするよう勧めます。

キム・ファグンは大辺首となり、都辺首にケシ畑の管理を命じます。テモクには、大辺首の権力を全てキム・ファグンに渡すことへの疑問の声が上がります。彼女はまだ若く、経験不足ではないかと。しかし、テモクは、孫娘が自分の世子殺害に怒り、5年間も家出していたのに、突然戻ってきたことに、何か裏があるのではないかと考えていました。世子とチョンウンは、羊を死に至らしめた花畑を探し続けています。その頃、王宮では、ハン・カウンが偽の王の衣服を整えています。彼女の優しい手つきに、偽の王は久しぶりに心惹かれる人を見つめ、心を動かされます。

世子はハン・カウンを宮中から連れ出すため、危険を冒して偽の王に会います。偽の王は、「以前、世子だった頃、チョンスという名の従者がいた。彼が生きていれば」と、二重の意味を込めて話します。そして「チョンス」に、どうやって包袱商の頭領になれたのかと尋ね、自由に生きられる「チョンス」を羨ましがり、自分は操り人形に過ぎないと嘆きます。最後に、世子は殿下にハン・カウンを解放してほしいと懇願します。偽の王は真実を話そうとしますが、大妃がカウンを側室にすることを認めたことを思い出し、ためらって、カウンには会ったことがないと言います。カウンもまた世子を恋しく思いますが、どうすることもできません。

大妃はハン・カウンの父の復讐を準備しますが、偽の王はあまり関心を示しません。彼は大妃の前にひざまずき、自分が辺首会の操り人形であることには苦衷があり、大妃には約束を守り、ハン・カウンを自分の後宮に入れるよう懇願します。テモクは、偽の王が包袱商の頭領と会ったことを知り、疑念を抱きます。世子はケシ畑の位置をほぼ特定し、機会をうかがって向かう準備をします。偽の王はウ・ボに会い、ウ・ボは目の前の殿下がかつての賤民であることを知っています。ウ・ボは偽の王に、今は自分の心を落ち著かせ、国の主人になる前に、まず自分自身の主人になるべきだと諭します。偽の王はウ・ボを尊敬しており、先生もまた、静かに過ごさなければ傷つくことになると忠告します。カウンのために、偽の王は少しずつ変わり始めています。

カウンは大妃の命を受け、密かに偽の王の宮殿に忍び込みますが、普通の蘭の鉢植え以外、何も見つけられません。カウンは夜警の奴婢に捕まりそうになりますが、偽の王が彼女を救います。しかし、彼女は偽の王の顔を見ていません。ハン・カウンは、殿下がなぜ自分を守るのか、疑問に思います。

第10話の感想

第10話では、それぞれのキャラクターの思惑が交錯し、物語が大きく動きました。ハン・カウンは父の復讐と民のために王宮に入り、世子イ・ソンは彼女を取り戻そうと苦悩します。偽の王イ・ソンは、カウンへの想いと自身の境遇の間で揺れ動き、大妃やテモクはそれぞれの目的のために暗躍します。

特に印象的だったのは、偽の王イ・ソンがウ・ボ先生に諭されるシーンです。国の主人になる前に自分自身の主人になるという言葉は、彼の心の変化を促す重要なメッセージでした。また、カウンが偽の王の宮殿に忍び込むシーンでは、ハラハラさせられるとともに、偽の王が彼女を守る姿に彼の優しさが垣間見えました。

ケシ畑の場所を特定しつつある世子、宮中で立場を確立しようとするカウン、そして少しずつ変化を見せる偽の王。今後の展開から目が離せません。

つづく