大殿では、重臣たちが緊張した面持ちで並び立つ中、同じ礼服と同じ仮面をつけた二人の王が中央に立っていた。世子イ・ソンと名乗る者と、もう一人のイ・ソン。どちらが本物の王か、重臣たちには判断がつかない。

世子イ・ソンは、幼い頃の記憶を語り、自分が本物である証拠を示す。刑曹判書の靴にいたずらをしたこと、邢判の家の渾天儀のことなど、具体的なエピソードを挙げることで、大臣たちは世子イ・ソンこそ本物だと考え始める。

しかし、辺首会の一員である大司憲が、世子イ・ソンには狩りで負った十字の傷跡が腕にあるはずだと指摘。世子イ・ソンは腕の傷跡を見せるが、辺首会のメンバーは納得しない。揚水庁長は、二人の仮面を外すことを提案。そして、揚水庁長は世子イ・ソンを包袱商の頭領だと指摘し、世子イ・ソンは窮地に陥る。

その頃、カウンは温室で必死に壺を探していたが、見つからない。

世子イ・ソンが危機に瀕したその時、チョンウンが、目の前の包袱商の頭領こそが真の王であると告げる。先王はテモクに殺害され、世子はずっと外で暮らしていたのだと。大臣たちは、テモクが先王を殺し、世子をすり替えたという事実に衝撃を受ける。

偽の王は、大妃に真実を語らせようとするが、大妃はテモクが先王を殺害したことを暴露し、世子イ・ソンを支持する。大妃は、先王が殺害された夜、右丞相がテモクのために宮殿の門を開けたこと、そして自分が世子を毒殺しようとした過去を告白し、悔い改める。

大妃の証言に、辺首会のメンバーはテモクに報告。冷静沈著なテモクも、この事態には動揺を隠せない。

一方、カウンはついに温室で黒い壺を発見。中には「楹嬪殿元子胎」と書かれた赤い小壺が入っていた。カウンは坤たちに守られながら、その壺を世子イ・ソンに届ける。壺の中には先王の遺詔があり、毒に侵された真の世子の右肩には「煊」の字が現れると記されていた。

大臣たちは毒薬を用意し、どちらが真の王か試すことに。偽の王がためらう中、世子イ・ソンは毒薬を一気に飲み幹す。苦しむ世子イ・ソンの右肩には、「煊」の字が浮かび上がる。

正体を暴かれた偽の王は、大臣たちの命を盾に取る。しかし、世子イ・ソンはテモクがもうケシ丸を持っていないこと、ケシ畑が燃やされたことを告げ、辺首会の生死簿を公開。テモクに頼っても無駄だと悟った大妃と大臣たちは、世子イ・ソンに忠誠を誓う。

偽の王は牢に入れられ、揚水庁長はテモクに、世子が王位に就き、ケシ畑が焼失したことを報告。テモクは敗北を悟り、殺し屋たちに辺首会を守るよう命じる。

世子イ・ソンは、官僚たちの地位を回復させ、御医にケシの解毒薬を作るよう指示。

世子はテモクを捕らえるため禁軍を派遣するが、テモクは解毒薬を盾に抵抗。世子は偽の王の母から息子の命乞いを受けるが、解毒薬を探すと約束する。カウンの手当てをしながら、世子は彼女の優しさに感謝する。

ウ・ボは解毒薬作りに励むが、難航。中毒者の体に斑点が出始め、解毒までの時間は残り4日。世子はテモクに会い、解毒薬の処方箋を要求。テモクは、裏切った臣下たちを救う理由を問うが、世子は彼らも自分の民だと答える。交渉は決裂し、テモクは世子を倒すため、揚水庁を解散するという噂を流し、民衆を扇動しようと企む。

第19話の感想

『仮面の王 イ・ソン』第19話は、まさに息をのむ展開の連続でした。二人の「イ・ソン」が対峙し、どちらが本物かという緊迫した状況の中、過去の記憶や証拠が次々と提示され、真実が明らかになっていく過程は圧巻。特に、世子イ・ソンが毒を飲み幹し、右肩に「煊」の字が浮かび上がるシーンは、彼の決意と覚悟が伝わってきて、胸が熱くなりました。

大妃の告白や、カウンが見つけた遺詔など、これまで謎だった部分が一気に明らかになり、物語は大きく動きました。テモクの悪事が暴かれ、追い詰められていく様子は爽快である一方、彼の最後の悪あがきも予感させ、最後まで目が離せません。

また、世子イ・ソンが、単に王位を取り戻すだけでなく、民を思う気持ちを強く持っていることが強調された回でもありました。敵対していた臣下たちでさえも「自分の民」として救おうとする彼の姿は、真の王の姿とは何かを考えさせられます。

つづく