キム・ファグンは5年ぶりに故郷に戻り、祖父であるテモクに会う。キム・ファグンは、テモクに包袱商の首領への追殺をやめるよう懇願し、その条件として自らの命を差し出す覚悟を示す。さらに、首領の命を救うため、自分が大辺首になると提案する。テモクは、この気丈な孫娘の提案を受け入れる。
一方、ハン・カウンは、チョンス公子がテモクと辺首会と戦っていることを知る。チョンスが素性を隠していたのは、自分を巻き込むことを恐れたためだと気づき、涙を流す。世子は昏睡状態から目覚め、カウンに謝罪し、辛い選択だったが、これが彼女を守る唯一の方法だったと告げる。
世子の体調が回復するにつれ、世子とハン・カウンの絆は深まる。ある日、二人が森の中で寄り添っていると、キム・ファグンが偶然その様子を目撃し、胸を痛める。しかし、キム・ファグンは平静を装い、二人の前を通り過ぎる。世子がハン・カウンの手を離さなかったため、キム・ファグンは失意を感じる。ハン・カウンはキム・ファグンの気持ちに気づき、嫉妬心を抱くが、世子はすぐに誤解を解き、二人の仲睦まじい様子を見せる。
世子は、辺首会と揚水庁に対抗するため、包袱商、巨商会、市場商会を含むすべての勢力を結集することを決意する。世子の人望は厚く、各組織の首領たちは彼の命令に従うことを表明する。世子は、司諫院、弘文館、司憲府の人事を刷新し、正義感の強い人材を選抜する。キム・ファグンは大辺首となるが、密かに世子を支援し、一族を裏切る覚悟でいる。
宮中の偽の王も、包袱商の頭領の活躍を聞きつける。大妃は偽の王を訪ね、ハン・カウンを後宮に入れるつもりだと告げる。偽の王は喜びと不安を感じながら、もし本物の世子が生きていたら、正義のために戦うだろうかと考える。偽の王は、操り人形ではなく、堂々と生きたいと願うが、それが葉わぬ夢であることも知っている。
大妃はハン・カウンを呼び出し、入宮の意思を尋ねる。その時、少女ヤンが突然病に倒れたという知らせが入る。ハン・カウンはヤンをウ・ボ先生のもとへ連れて行くが、ヤンは毒薬を握りしめていた。ヤンは、深山の花畑で強製労働させられ、皆が毒に侵されていると告げる。ウ・ボ先生は解毒方法を見つけられず、ヤンは亡くなる。ハン・カウンと母親は悲しみに暮れる。
ヤンの死をきっかけに、世子は真相究明を決意する。ハン・カウンを守るため、彼女を利川へ送ることを決め、出発前に全てを打ち明けようとする。偽の王は、付き人に連れられて母親と妹を探しに出かけるが、テモクに見つかってしまう。偶然、世子とチョンウンもその場に居合わせる。偽の王は世子を守るため、テモクの服にすがりつき、懇願する。テモクは世子に気づかず、世子はその隙に逃げ隠れる。
父の復讐のため、ハン・カウンは宮女として宮中に入ることを決意する。世子はその知らせを聞き、彼女を止めようとするが間に合わず、カウンは宮殿の門をくぐる。これらの出来事は、登場人物たちの複雑な関係をさらに深め、今後の物語の伏線となる。
第9話の感想
第9話は、それぞれのキャラクターの想いが交錯し、物語が大きく動いた回でした。キム・ファグンが大辺首になるという決断は、彼女の世子への深い愛情と、一族への忠誠心の間で揺れ動く葛藤を象徴しているように感じます。世子とカウンの距離が縮まる一方で、キム・ファグンの切ない心情が対照的に描かれ、胸が締め付けられました。
また、偽の王の苦悩も印象的でした。傀儡として生きることを強いられながらも、正義のために立ち上がりたいという彼の願いは、本物の世子の存在と対比され、物語に深みを与えています。
そして、羊の死は、辺首会の恐ろしさを改めて浮き彫りにし、世子の決意をさらに固める重要な出来事でした。カウンが宮女として宮中に入るという決断は、父の復讐のためとはいえ、世子との関係に新たな波乱を予感させます。今後の展開から目が離せません。
つづく